適正異世界

sazakiri

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第103話

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「チユキさん?来てますか?」
「来てるわよ」
「…………」
「…………」
「チユキさん?」
「なに?」
「来てますか?」
「来てるわよ」
「…………」
「…………」
「チユキさん?」
「来てるわよ」
「良かったです…!」

「ねぇ」
「なんですか?チユキさん」
「これ意味あるの?」
「あるに決まってるじゃないですか!」
「そうなのかなぁ…」
「そうですよー」

私の名前は桜川千雪。
絶賛、逃亡中だ。

テレビで見たことのある光景が今、現実になっている。

「チユキさん!あれですよ!」
今、私に呼びかけているのが共犯のルナちゃんだ。

まぁなんで逃げたかは説明するのが手間なので、省いておく。
しかし断じて悪意からの行動ではないことだけは言っておくわ

「あれなの?」
「多分そうですよ…!」
司会の先には船がある。
おそらく客船と言った所ね。
人が乗り込んでいる。

「ところで……ルナちゃん?」
「なんです?」
「どうやって忍び込むつもり?」
「そりゃ…堂々と前からですよ」
「えぇ…?それ大丈夫なの?」
「大丈夫です!逆に怪しまれる行動をする方が危ないですよ?」
「いやでも…私たち相当怪しい行動して、ここまで来てるよ?」
「まぁそれは見られてないのでノーカンです」
「そーゆうもの?」
「そーゆうものです!」

さっき私が言った、ここまでの行動について説明をしようと思う。
簡単には言うから分かりづらいと思うけど……

物陰に隠れながら来たのだ!
そして、時には地面に隠れながら……
また、時には、貨物箱の中など…

一生懸命、私達は敵の視界を避けて来たのよ!

「なのに本当に正面突破?」
「急にどうしたんです?」
「いや…気にしないで、こっちの話だから」
「そうです?」
「うん」
そう言って私達は潜入の隙を狙う。
まぁ普通に乗船するだけなんだけどね

「見てください!」
その時、ルナちゃんが指をさして、こちらに話しかけてくる。
「どれ?」
「今、並ぼうとしてる人ですよ!」
「あぁ…!あれね!」
指を指された方向には黒い服で統一している男がいた。

「怪しすぎません?」
「うん…怪しすぎるわ」
「あの人の後に並びましょう」
「え…嘘でしょ?なんで?!」
「私、聞いたことがあるんです。自分達より目立ってたら存在感が薄くなるって」
「そ、それで?」
「つまり、あの人がOKなら私達は楽勝ってことです」
「た、確かに!普通なら私たちより、あいつのことを疑う気がする!」
「ですよね?」
「うん!」

「じゃあ行きますよ!」
「りょうかーい!」
そう言って私たちは例の男の後ろに並んだ。

「………」
「………」
「いよいよですね…」
「そうね…」
次々と乗客が入っていく。

そして例の男の番になった。

「こんにちわー」
船長らしき人が言う。
「………」
挨拶はせずに少しだけ、頷く。
怪しすぎるでしょ…

「どうぞー」
まさかの一言。
そして私たちが一番望んでいた言葉。
この人がOKならなんでもOKでしょ!
これより目立つ要素が他にある?

「次の方ー」
「はーい!」
そう言って前に進む。

「ん……?君たち…指名手配の人でしょ?」
「え?」

告げられたのは予想の反対の言葉だった。
しかも今度は一番望んでいなかった言葉だ。
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