適正異世界

sazakiri

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第86話

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「よし、入るか」
「そうだね!」
そう言って俺たちは門をくぐり抜け、図書館に入る。

「あの受付に行かないといけないと?」
「その通りだよー」
「しゃーない」
どうやら受付に行かないと本は読めないらしい。
てか図書館に受付とはな…
なにか意味があるのか?
そりゃ本を借りるって時はいるだろうけどさ

「おはようございます」
受付のお姉さんが挨拶をしてくれる。
「何名様でしょうか?」
「二人で」
「かしこまりました」
そう言って何かを手渡される。
これはカードキーみたいなもんか?
「これは?」
「お客様、もしかして初めてのご利用ですか?」
「はい」
図書館どころかこの世界の初心者なんですけどね…

「このカードキーはですね…」
お姉さんが説明を始める。
「簡単には言うと、盗難防止のための物です」
「それはどういう…」
盗難防止は対策しておいた方がいいが…
このカードキーを使うってことか?
あまり関係性はないような…

「本には魔術がいるので、カードキーをかざしてからお読みください」
なるほど、つまりカードキーがないと読めないと?
それはセキュリティが高すぎるな…
魔術ってなると、そんな簡単に解けるもんじゃない。
てか、魔術師って数少ないんじゃなかったけ?
図書館なんかに居ていいのか?
まぁこれ程デカイ図書館は例外ってことだろう。

「了解です」
「では、ここにお名前をお書きください」
お姉さんが指す先はカードキーだった。
これ大丈夫なの?
もしかして、ペンが水性とか?

「これって…直で書いていいんですか?」
「大丈夫です。あとから消すことが出来るので」
そりゃ有能だな。
まぁこれも魔術の類いだろう。

「言い忘れていましたが…必ずご自身のお名前をお書きください」
「ちなみに…偽名を書くと…?」
「カードキーは使えません」
「了解です」
まじかよ…
これセキュリティが固すぎるだろ
本を盗もうとしても読めない、反対にカードキーを使って読もうとするならば…本名が必須ってわけだ。
これは流石に強盗も涙目だな。

受付が終了して、俺たちは近くのソファに腰をおろす。

「おい、アリス」
「なんだね?」
「お前も名前をかけ」
「りょうかーい」
そう言って俺は名前を書く。
もちろん本名をだ。

「書けたか?」
「バッチリ!」
「よし、ならいくぞ」
そうして俺たちは立ち上がる。

「アリス」
「なに?」
「これってどこから行けばいいんだ?」
「それは人それぞれでしょ」
「まぁ…そうだと思うけど」

なんとこの図書館は五階建てらしい。
なにそれショッピングモールなの?
この大きさに本が敷き詰められているのか…
本を絞る難易度が高すぎるだろ

とりあいず俺がここに来た目的を達成しよう。
それはその世界の歴史を知ることだ。

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