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猫への転生編
第1話
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ボクの名前は白石黒音。25歳の会社員だ。ボクはいわゆる社畜という奴で、大学を卒業してからブラックな職場でもう3年も働いている。
「白石先輩、お疲れ様です」
「ああ、田山くん。お疲れ様。」
「今日も定時で上がれなさそうっすね…」
「そうだね。しかも飲み会もあるし、また帰る時間は終電ギリギリかなー…」
そしてボクらはいつも通り残業をした。ボクが勤めてる会社の定時は午後5時だが、4時間から5時間ほど残業させられる為、帰りは大体午後9時か午後10時ほどになる。
そして今日は飲み会。また部長に俺が若い頃は~、なんて話を聞かされるんだろうなぁ。
そして、飲み会も終わり、案の定終電間際の時間に帰る事になった。
「今日もまた部長の武勇伝とか聞かされましたね。で、またいびられると」
「そうだね…ボクはなんだかんだで3年続いたけど、1年とか半年で辞めてった人もいるし」
「そう考えると白石先輩って凄いですよね。もしかしてこの職をずっと続けるつもりですか?」
「いや、そこまでは考えてないけど、でもボクみたいなのが転職しようとしても上手くいかないだろうし。ボクってばなんの才能もないしさ」
「そんな事言わないでくださいよ。オレがこの会社にいるの、白石先輩と話せるからですよ!」
「そっか、そう言ってくれて嬉しいよ。ありがとうね。」
そしてボクらは別れて帰路についた。
「ん?あれは…猫かな?」
ボクが自宅に向かって歩いていると、前方にうずくまっている黒と白の模様の猫がいた。
そして、その猫の前方からは車が迫ってきていた。
♢♢♢
「ここは…」
気付くとボクは見知らぬ場所にいた。周りを見渡すと開けた空間におり、上を見上げると眼前に星空が広がっていた。
屋根のある場所から出ると、どうやらそこは神殿のような場所であり、見たこともない白い花が咲き乱れる花畑が広がっていた。遠くには宙に浮いた島のようなものが見える。
「なんだろうここは…」
そして気付く。目線が何より低い。近くには水の流れる音がしているので水場を探し、そこで水面に映る自分の姿を見た。
「….え?猫?」
水面に映っていたのは、黒と白の毛並みのハチワレ模様の猫だった。
「う、嘘…夢だよねコレ…?」
「待っていましたよ」
振り向くと、そこにはこの世のものとは思えない美しい女性がいた。
「あ、あなたは…?」
「私はアルカンシエル。転生を司る女神です」
「女神…?え、なんでしょう、ボクは夢でも見てるんですか?」
「夢ではありません。あなたは一度現世で亡くなられました」
「え….あーーーー」
そう。死んだ。ボクは一度死んだ。人間の身体というのは時速150kmで走行するスピード違反車の速度に耐えられるようには出来ていない。
そう。あれは車に轢かれそうになった猫を助けようとしたのが運の尽きだった。猫を助ける事には成功したが、ボクは車に跳ね飛ばされてーーー
「あわわ….やっぱボクあの時死んだんだ…」
「思い出したようですね」
「というかここは何なんですか?もしかして死後の世界ってやつですか?」
「死後の世界とはまた違いますが、似たようなものです。ここは聖域。これから転生をする魂が集う場所です」
「転生をする魂が集う場所…ってことはボク、これから生まれ変わるという事ですか?」
「はい。その通りです」
「….あ、あの…この状況についてお伺いしても…?」
「それが一番気になりますよね。そこに関してもお話し致します。あなたは車に轢かれそうになった猫を助けましたよね?」
「はい。…それがどうかしたんですか?」
「本来はその猫が死に、転生するはずだったのですが、あなたがその猫を助けた事により、その猫の転生の枠が空いたのです」
「そして、ちょうどその猫の魂が転生する予定の世界にも、魂の空きが一つできました。黒音。あなたはこれから猫の姿で異世界に転生できます。ですが、これは義務ではなく権利です。別の方にこの転生する権利を渡す事も可能です。しかしその場合ーーー」
「その場合…?」
「あなたの精神は虚無へと落ち、完全に消滅します」
「選択の余地ないじゃないですか!?」
「今現在、あなたがいた世界の総人口はおよそ70億人。平行世界の人口も増えつつあり、人間の転生枠が中々ない状況なのです」
「どうしますか?黒音よ」
「もちろん転生します!!猫の姿でも!!」
「かしこまりました。それでは、猫を助けた褒美として、あなたに幾つかの能力を与えます」
「ありがとうございます、女神様…。ううう、でも不安だな…」
「それではしばしの別れです、黒音よ。また会うことがあればその時は必ずやあなたの力となりましょう」
「まあそうですよね、女神様はついてきてくれませんよね…」
かくしてボクは、異世界に転生する事になった。
猫の姿で。
「はあ。これからどうしよう….」
ボクは気付くと夜の森の中にいた。さっきまでいた聖域と呼ばれる空間とは違うみたいだ。
ボクは周囲の情報を集めるために、トボトボと歩き出した。
「白石先輩、お疲れ様です」
「ああ、田山くん。お疲れ様。」
「今日も定時で上がれなさそうっすね…」
「そうだね。しかも飲み会もあるし、また帰る時間は終電ギリギリかなー…」
そしてボクらはいつも通り残業をした。ボクが勤めてる会社の定時は午後5時だが、4時間から5時間ほど残業させられる為、帰りは大体午後9時か午後10時ほどになる。
そして今日は飲み会。また部長に俺が若い頃は~、なんて話を聞かされるんだろうなぁ。
そして、飲み会も終わり、案の定終電間際の時間に帰る事になった。
「今日もまた部長の武勇伝とか聞かされましたね。で、またいびられると」
「そうだね…ボクはなんだかんだで3年続いたけど、1年とか半年で辞めてった人もいるし」
「そう考えると白石先輩って凄いですよね。もしかしてこの職をずっと続けるつもりですか?」
「いや、そこまでは考えてないけど、でもボクみたいなのが転職しようとしても上手くいかないだろうし。ボクってばなんの才能もないしさ」
「そんな事言わないでくださいよ。オレがこの会社にいるの、白石先輩と話せるからですよ!」
「そっか、そう言ってくれて嬉しいよ。ありがとうね。」
そしてボクらは別れて帰路についた。
「ん?あれは…猫かな?」
ボクが自宅に向かって歩いていると、前方にうずくまっている黒と白の模様の猫がいた。
そして、その猫の前方からは車が迫ってきていた。
♢♢♢
「ここは…」
気付くとボクは見知らぬ場所にいた。周りを見渡すと開けた空間におり、上を見上げると眼前に星空が広がっていた。
屋根のある場所から出ると、どうやらそこは神殿のような場所であり、見たこともない白い花が咲き乱れる花畑が広がっていた。遠くには宙に浮いた島のようなものが見える。
「なんだろうここは…」
そして気付く。目線が何より低い。近くには水の流れる音がしているので水場を探し、そこで水面に映る自分の姿を見た。
「….え?猫?」
水面に映っていたのは、黒と白の毛並みのハチワレ模様の猫だった。
「う、嘘…夢だよねコレ…?」
「待っていましたよ」
振り向くと、そこにはこの世のものとは思えない美しい女性がいた。
「あ、あなたは…?」
「私はアルカンシエル。転生を司る女神です」
「女神…?え、なんでしょう、ボクは夢でも見てるんですか?」
「夢ではありません。あなたは一度現世で亡くなられました」
「え….あーーーー」
そう。死んだ。ボクは一度死んだ。人間の身体というのは時速150kmで走行するスピード違反車の速度に耐えられるようには出来ていない。
そう。あれは車に轢かれそうになった猫を助けようとしたのが運の尽きだった。猫を助ける事には成功したが、ボクは車に跳ね飛ばされてーーー
「あわわ….やっぱボクあの時死んだんだ…」
「思い出したようですね」
「というかここは何なんですか?もしかして死後の世界ってやつですか?」
「死後の世界とはまた違いますが、似たようなものです。ここは聖域。これから転生をする魂が集う場所です」
「転生をする魂が集う場所…ってことはボク、これから生まれ変わるという事ですか?」
「はい。その通りです」
「….あ、あの…この状況についてお伺いしても…?」
「それが一番気になりますよね。そこに関してもお話し致します。あなたは車に轢かれそうになった猫を助けましたよね?」
「はい。…それがどうかしたんですか?」
「本来はその猫が死に、転生するはずだったのですが、あなたがその猫を助けた事により、その猫の転生の枠が空いたのです」
「そして、ちょうどその猫の魂が転生する予定の世界にも、魂の空きが一つできました。黒音。あなたはこれから猫の姿で異世界に転生できます。ですが、これは義務ではなく権利です。別の方にこの転生する権利を渡す事も可能です。しかしその場合ーーー」
「その場合…?」
「あなたの精神は虚無へと落ち、完全に消滅します」
「選択の余地ないじゃないですか!?」
「今現在、あなたがいた世界の総人口はおよそ70億人。平行世界の人口も増えつつあり、人間の転生枠が中々ない状況なのです」
「どうしますか?黒音よ」
「もちろん転生します!!猫の姿でも!!」
「かしこまりました。それでは、猫を助けた褒美として、あなたに幾つかの能力を与えます」
「ありがとうございます、女神様…。ううう、でも不安だな…」
「それではしばしの別れです、黒音よ。また会うことがあればその時は必ずやあなたの力となりましょう」
「まあそうですよね、女神様はついてきてくれませんよね…」
かくしてボクは、異世界に転生する事になった。
猫の姿で。
「はあ。これからどうしよう….」
ボクは気付くと夜の森の中にいた。さっきまでいた聖域と呼ばれる空間とは違うみたいだ。
ボクは周囲の情報を集めるために、トボトボと歩き出した。
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