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第三章
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「でも、男同士で結婚ってできるの?」
人間国ではどうなのかと思ってそう尋ねた僕に、悠はキョトンとした顔。
「えっ、本人たちがしたいと思っていたら、できるんじゃないのか?」
「そうなの?」
「いや、薫に気持ちを伝えることで精一杯で、そのことは考えてなかった……」
前から思っていたけど、悠ってしっかりしているように見えて、意外と抜けているところがある。
「じゃあ、報告がてら聞きに行くか?」
「そうだね」
そうして立ち上がろうとした僕は、まだ立てないことに気づく。でも悠と離れたくない気持ちで悩む。
「体は大丈夫なのか?」
「うん。きつかったりはしないんだけど……」
「そうか」
すると、悠がひょいっと僕の身体を持ち上げる。
「えっ?」
ふわりとした感覚に驚いて、慌てて悠の体にしがみつく。これってもしかしてお姫様抱っこ?
「ま、まって!」
「どうしたんだ?」
「このまま外に行くの?」
「ああ、そのつもりだぞ」
そんなの恥ずかしすぎる、そう思う僕に悠はさらっと言う。
「だって、薫と離れたくないから」
心臓がどくどくと脈打っている。僕は聞こえるか聞こえないかギリギリの小さな声でゴニョゴニョと言う。
「ぼ、僕も……」
恥ずかしくて、顔に熱が集まるのを感じる。
「それはよかった」
爽やかに微笑む悠の顔が眩しい。悠ってこんなにかっこよかったっけ? 元々かっこいいとは思ってたけど、最近進化したような……。
悠はじっと見つめる僕に気づかず、スタスタと歩き始めた。
人間国ではどうなのかと思ってそう尋ねた僕に、悠はキョトンとした顔。
「えっ、本人たちがしたいと思っていたら、できるんじゃないのか?」
「そうなの?」
「いや、薫に気持ちを伝えることで精一杯で、そのことは考えてなかった……」
前から思っていたけど、悠ってしっかりしているように見えて、意外と抜けているところがある。
「じゃあ、報告がてら聞きに行くか?」
「そうだね」
そうして立ち上がろうとした僕は、まだ立てないことに気づく。でも悠と離れたくない気持ちで悩む。
「体は大丈夫なのか?」
「うん。きつかったりはしないんだけど……」
「そうか」
すると、悠がひょいっと僕の身体を持ち上げる。
「えっ?」
ふわりとした感覚に驚いて、慌てて悠の体にしがみつく。これってもしかしてお姫様抱っこ?
「ま、まって!」
「どうしたんだ?」
「このまま外に行くの?」
「ああ、そのつもりだぞ」
そんなの恥ずかしすぎる、そう思う僕に悠はさらっと言う。
「だって、薫と離れたくないから」
心臓がどくどくと脈打っている。僕は聞こえるか聞こえないかギリギリの小さな声でゴニョゴニョと言う。
「ぼ、僕も……」
恥ずかしくて、顔に熱が集まるのを感じる。
「それはよかった」
爽やかに微笑む悠の顔が眩しい。悠ってこんなにかっこよかったっけ? 元々かっこいいとは思ってたけど、最近進化したような……。
悠はじっと見つめる僕に気づかず、スタスタと歩き始めた。
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