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第三章
11 side悠
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山の中は思っていたよりも、登りやすかった。人が通れるように道があるし、まだ少し薄暗いだけだったから危険なわけでもない。
「今は大丈夫だが、暗くなると視界が悪くなる。そうなる前に出来るだけ進んでおこう」
凱の言葉に、楽観的だった自分を戒める。余計なことを考えずに、黙々を進むように心がけた。
「着いた?」
随分と高いところまで登ってきたように思う。下を見下ろすと、木々が生い茂っているのが見える。どうやら、この山には冬でも枯れない木が植えてあるようだ。
「もう少しじゃないか?」
「私もそう思います。もう少しです、頑張りましょう」
励ましてくれる葉の優しさが身に染みる。あと少しだと思ってひたすら足を動かす。人生の中で、こんなに運動した数日はないだろうというくらい動いている。まだかまだかと思っていると、急に視界が開け、少し先に崖があるのが見える。
「今度こそ……!」
「着きましたね!」
思わず飛び上がりそうなくらい嬉しい。ここまでくるのに、三時間はかかった。もうすっかり日は暮れて、一昨日と同じ、いや少し太くなった月が夜空を照らしている。
「少し休もう」
各自で水を飲んだり、弁当を食べて、一息つく。疲れていた体が回復した頃、二人をみると、二人ともちょうど動き出そうとしていた。
「今は大丈夫だが、暗くなると視界が悪くなる。そうなる前に出来るだけ進んでおこう」
凱の言葉に、楽観的だった自分を戒める。余計なことを考えずに、黙々を進むように心がけた。
「着いた?」
随分と高いところまで登ってきたように思う。下を見下ろすと、木々が生い茂っているのが見える。どうやら、この山には冬でも枯れない木が植えてあるようだ。
「もう少しじゃないか?」
「私もそう思います。もう少しです、頑張りましょう」
励ましてくれる葉の優しさが身に染みる。あと少しだと思ってひたすら足を動かす。人生の中で、こんなに運動した数日はないだろうというくらい動いている。まだかまだかと思っていると、急に視界が開け、少し先に崖があるのが見える。
「今度こそ……!」
「着きましたね!」
思わず飛び上がりそうなくらい嬉しい。ここまでくるのに、三時間はかかった。もうすっかり日は暮れて、一昨日と同じ、いや少し太くなった月が夜空を照らしている。
「少し休もう」
各自で水を飲んだり、弁当を食べて、一息つく。疲れていた体が回復した頃、二人をみると、二人ともちょうど動き出そうとしていた。
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