雪を溶かすように

春野ひつじ

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第三章

2 side悠

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 外に出た俺と葉は、真っ直ぐに馬小屋へと向かう。

「どこに行ってるんだ?」

 不思議そうに凱が尋ねる。そうか、あまりに馴染んでいたから忘れていたが、凱は人間国の人ではなかった。

「こっちに馬小屋があるから、そこに向かってる」

「どうして馬小屋に行くんだ?」

「どうしてって……そりゃ馬に乗って行くから……」

 質問の意図が分からず、躊躇いがちに言う。

「俺の背中に乗っていけばいい」

「いいのか?!」

「ああ。馬に乗って行くと、早くても三日はかかるだろ?俺だったら一日半で行ける」

「じゃあお願いしてもいいか?」

「いいぞ。あと、葉はどうにか頑張れば獣化できるはずだぞ」

「それは本当ですか?!」

「意識を集中させて、息をゆっくり吐くんだ。獣化した自分を想像して」

 すると、凱に言われた通りにしている葉の体が光り始め、光が収まった頃には、俺の腰よりも少し低いくらいの大きさの、琥珀色の犬がいた。

「上出来だ。じゃあ俺も」

 そう言うと同時に凱の姿も大きな狼に変わる。そして目で、後ろに乗れ、と合図される。恐る恐る乗った俺はその毛の柔らかさに驚く。すると、凱が走り始めたので、慌てて俺は凱にしがみついた。
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