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第二章
50 side那
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部屋に入ると、薫がベッドの上に横たわっている。説明を求めて、兄の方を見る。
「薫は今、仮死状態にある」
仮死状態?慌てて薫の手を触ると、微かに暖かいが、脈がない。
「そんな……どうしてですか?」
「そんなのお前のせいに決まってるだろっ!お前が薫を命の危険に晒したから、こうなったんだよっ!」
先ほどからいる美丈夫がそう言う。葉がさっき耳打ちしてくれて、薫の従兄弟の凱という人だと教えてくれた。
「私の……せい?」
「ああそうだよ!お前があんなことしなければ、少なくともあと一ヶ月は生きられたのに……」
そう言ったと同時に、涙ぐみ始める。状況が理解できていない私に、葉が静かに説明してくれた。
葉から聞いた内容に、ショックを受けすぎて、言葉が出ない。私のせいで薫が死にかけている?自分が行った、取り返しのつかないことに激しく後悔する。
「……すみません……」
意識のない薫にそういうことしか出来なかった。すると急に視界が歪む。不思議に思って目を擦ると、私は涙を流していた。
「薫は今、仮死状態にある」
仮死状態?慌てて薫の手を触ると、微かに暖かいが、脈がない。
「そんな……どうしてですか?」
「そんなのお前のせいに決まってるだろっ!お前が薫を命の危険に晒したから、こうなったんだよっ!」
先ほどからいる美丈夫がそう言う。葉がさっき耳打ちしてくれて、薫の従兄弟の凱という人だと教えてくれた。
「私の……せい?」
「ああそうだよ!お前があんなことしなければ、少なくともあと一ヶ月は生きられたのに……」
そう言ったと同時に、涙ぐみ始める。状況が理解できていない私に、葉が静かに説明してくれた。
葉から聞いた内容に、ショックを受けすぎて、言葉が出ない。私のせいで薫が死にかけている?自分が行った、取り返しのつかないことに激しく後悔する。
「……すみません……」
意識のない薫にそういうことしか出来なかった。すると急に視界が歪む。不思議に思って目を擦ると、私は涙を流していた。
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