雪を溶かすように

春野ひつじ

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第一章

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「この店はじいさん一人でやってるんだけど、たまに僕が手伝いに来てるんだ」

新の表情から、店主を慕っている様子がよくわかる。それから、三人それぞれで店内を見て回ることにした。僕はまず、レターセットを探す。すぐに、たくさんまとめて置いてある場所を見つけた。一つ一つの商品の裏に、その商品の説明が品の良い整った字で書いてある。レターセットにも付いていて、僕は使い方は誰でもわかるんじゃないかな?と不思議に思いながらも、説明に目を通す。僕は内容を見るにつれ、こんなことってあり得るのか、と呆気にとられる。

「すごいでしょ?」

新と、びっくりした顔の悠がこちらへやってくる。

「うん。なんだか魔法みたい」

そう言った後に僕はハッと気がつく。魔法?まさか……。僕のハッとした顔で思い当たったのか、悠も同じような顔をする。

「新、もしかしてさっきのおじいさんは獣人?」

「よくわかったね!そうだよ」

やっぱり、と思って悠に目配せをすると頷きで返された。僕たちは気づいたーたぶんこの店の店主は、物を作る“能力”を持っているということに。
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