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1章 学園

58話 狂人

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「あ、天上さん、その刀貸して」

天上さんは素直に渡す。

「ふむふむ、あー。創造神、相手が邪神なのは分かるけど、この付与は間違ってるよ。他にも魔物と戦うんだから、最低でも【魔物斬り】くらいはつけないと」

魔物斬り……?そういうスキルか何かか?俺は気になったので、あの神刀を調べる。

神刀 星斬り
スキル
神殺し
邪特攻

まぁ、名前通りのスキルだろうな。それにしても刀の名前がカッコよすぎる。これって神様が作った刀なのか。それとも元々存在する刀なのだろうか。

「これに【魔特攻】と【聖特攻】をつけとくよ。これ以上はバランスが崩れるから無理なんだよ。でも天上さんの人柄なら信じてこれを渡せるよ」

「はい、神帝様の御心のままに」

俺はドラマやアニメであったシーンを間近で見れて感動している。まぁ、それを俺の身近な人間がやってるのは普通に笑えるんだが。

「うん、これでやることは全部かな。海翔もあんまり無茶なことはしないでね」

「あんまりむちゃなことをやったことはないんだがなぁ」

「海翔が手加減して下界にいる時点でボクは十分不安だよ。神気の解放はしなくていいからせめてステータスを下げて欲しくはないよ。ナギサに力の解放を任せるなり、海翔が調整するなりすればいいのに」

「こういうのは自分と仲間が一緒に強くなっていくのがいいんだよ。でもチートは必要だけどな」

「海翔の感性は分からないなぁ。でも気をつけてね?一応神王は不老不死だけど、肉体の方は傷つけられると死ぬからね」

「分かってるさ。でもそのスリルを味わうのがまた面白いんだよ」

俺は自分でも分かっているが狂人だ。別に異世界転移の影響で狂った訳では無い。元から自分さえ良ければいい、という考え方だった。まぁ、昔は俺よりも未来の方の優先順位が高かった訳だが。

自分の命がかかっているのにこんな余裕ぶってられるのは、不老不死だから、なんて理由じゃない。ただこの状況が楽しくて興奮している。

自分の持てる力、考えられる知恵それらを使って命という賭け金を払って、魔物とのギリギリの賭けがどうしても楽しい。

本来ならこんなの自己満でしかないのだが、俺はその考えを知らず知らずのうちに周りに押し付けていた節があった。それを気づいたのはさっきなんだが。

「ボクにじゃ分からないな。あ、そういえば海翔は星龍拾ってたね」

「青龍?聖竜?」

「星に日本の龍で星龍。星龍は星の守護者だね。まぁ、寿命が一万年くらいあったからその間に子供を何匹か産むんだけど、そのうちの一匹だけが星龍に選ばれるの。海翔が拾ったのは星龍に選ばれなかった個体だね」

「選ばれてない個体は星龍じゃないのか?」

「うん、厳密に言うとそうだね。でも星龍限定のスキル【星龍魔法】と【星龍技】を持ってないんだよ。でも鱗や皮もちゃんと星龍だね。でも選ばれなかった個体も【全属性ブレス】【全属性魔法】【全属性耐性】とかの伝説級のスキルは持ってるから十分強いよ」

「そんなにか!でもドラコがいつまで経っても起きないんだが」

「あれは普通に産まれる時に消耗した体力を睡眠で得ている状態だね。でも順調に体力は回復してるからいずれ目覚めると思うよ」

「そうか?なら安心だ」

「あんなに動物に興味を示さなかった海翔が龍には興味を示すんだ」

なんで知ってるんだ!?

俺は事もの頃から動物に対して興味がなかった。動物園も水族館も。行ったら行ったですげぇー!くらいにはなるが、個人的には遊園地やアスレチックに行った方が楽しめた。

「まぁ、ドラコは龍で特別だからな。それにあんなところで倒れてる姿を見せられたら助けるしかないだろ」

「うんうん、そうだね。さてと、そろそろ2人を元の世界に戻すよ。天上さん、頼んだよ。海翔、死んじゃダメだよ」

俺と天上さんが各々返事する。天上さんはさっきみたいに格式張った挨拶なのに対し、俺のはフランクな挨拶だ。俺の場合は親子だからな。

そして俺の目の前は暗転なら明転した。






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