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1章 学園

52話 危機

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俺はナギサの声に返事をする暇なく、そのまま多重行動、超速思考を発動させて、木の枝を折る勢いで飛び出した。

俺がその場に到着したのは僅か数秒後だったが、その数秒で現実が悪夢に変わったようだ。


「うっ、ぐっ、な、なんて力なの」

「ブブー!ブーブブ!」

オークアサシンによって森崎さんが捕まっていて、未来達をアサシンが取り囲んでいるのだ。その事に他のグループは気づいておらず、残党狩りに励んでいる。

俺は森崎さんが捕まっている姿を見て、言葉で表せないような怒りを感じて、ついやってしまった。

何重にも重ねた封印わそのひとつを剥がしてしまったのだを人の身では到底たどり着けない高みの力。その気に当てられただけでその者は絶対的な格の差を知る──────本能をもってして。

俺は未だ制御しきれてない力を解放してしまった。俺はそのままオークアサシンに光を置き去りにして近づきそのまま首を手刀で振り斬り飛ばす。余りの速さに熱が生まれ首なしオークの体を焼く。そして周りにいるオークにはせめてものの神の慈悲として魂諸共体を破壊した。勿論、森崎さんを捕まえたオークの魂はこれから何万年もかけて拷問にかけて行く。それは俺ではなく、そういう施設だ。

俺はみんなの周りを離れてから、自分の力を封印する。

『……マスター、いくらなんでもやりすぎです!神の力の解放は神気を当てるということですよ!それは例えコンマ数秒でも大地や人、魔物に影響を与えます』

『コンマ数秒もいなかったから大丈夫だよ』

『海翔!どうしたの!?地上で神気の解放を感じたのだけれど?』

『ヘラか。別になんでもないよ。ただオークのやり方にイラッてきてやりすぎただけ』

『そうなの?なら良かった。海翔のことを見てない時に起こったことだから何かあったらと思って』

『そんなことそうそうないよ。それに自分の力は封印を解かなくても地上の生物には負けないさ』

『で、でももし世界に別の神王が行って海翔のことを狙ったら』

『そんなレアケースそうそうないよ。それにもう1人の神王は知らないけど、そこまで悪い人ではないんでしょ?』

『うーん、まぁ、悪い人ではないのだけれども………。でも、海翔が無事でよかったよ!それで頼みなんだけど今日か明日に天上さんと2人っきりで来てくれない?』

『相手が応じるかは置いといて俺はいいけど、どうして?』

『創造神がやらかしたことに対しての謝罪と、海翔が協力するってことを伝えるの』

『え、なんで俺まで手伝うの?』

『そりゃ当然だよ。海翔は神だし、神王なのに全く仕事しないから、こっちは僕がやってるんだよー?あーあ、おサボりな神王サマの仕事やってるのに、神王サマは願いのひとつも聞いてくれないんだー?へーへー』

『煽りがが幼稚だぞ。はぁ、分かったよ。その代わり俺が行った時にでも神王の仕事を教えてくれ』

『うん、了解。なら明日か明後日ね?こっちに呼んだ時の時間は止めるからちょっと2人でいるだけ。でもその間を人に見られないようにね』

『それぐらいなら余裕だよ』

『分かったよ。それじゃ~ねぇ』

俺はヘラとの念話を切って、俺はみんなの元に向かう。

「凄い音が聞こえたけど、どうしたんだ?」

俺は何も知りませんという態度で全員に話しかける。

ヘラとの会話時間も含めて1秒くらいしか経ってないので、全員がまだ現状を把握し切れてない。

たった1人を覗いて。

未来の視線を超感じる…………。

「だ、大丈夫かー?ど、どうしたんだー?」

未来からの圧がすごすぎて、演技がままならない。だがわざとらしい俺の演技に気づいた者は幸いいなかったため、どうにかなった。

しかし先程までの恐怖は健在のようで、安心したからか泣き始める者や膝から崩れ落ち落ちるもの、俺に圧をかける者(未来)それぞれだ。

その中でも森崎さんの感じた恐怖は格別のようで、泣いてないものの恐怖で足がすくんでいる。既に終わっているのにも関わらずだ。いや、俺が倒したってことには気づいてないのか。だから、次おそわれるかもって思ってるのか。

「森崎さん、大丈夫?」

俺が森崎さんに話しかけると、森崎さんはまるで神でも見つけたかのような目で俺を見た。

「な、中川……君」

今にも崩れ落ちそうな森崎さんを支えてあげると

「あ、ありがとう」

「大丈夫だよ。それより何があったの?森崎さんがこんなになるってことは相当なことだよね」

「う、うん」

「お・に・い・ちゃ・んっ!事情は私が説明するからこっち来てっ!」

俺は未来の威圧に負けて、森崎さんを後から来た水谷先生に任せる。その時に何故か森崎さんが残念がった声を出していたのは気の所為だろう。

「お兄ちゃん、説明して?」

「な、何をだ?」

俺はシラを切り通す。

「お兄ちゃ~ん?」

「な、なんだよ」

「お兄ちゃんの性癖。みんなにバラしちゃうよ?」

「すまん、それだけは勘弁してくれ」

別に特殊な性癖な訳ではないが、そういうのは人に言いふらすものでは無い。俺が抗議の目向けているのを未来は知ってか知らずか

「正直に話したら言わないであげる」

「俺は身体能力強化のおかげで微量な音に気づいて、そのままそっちに行ったら全てが終わってただけだ」

「…………お兄ちゃんはどうして何か(・・・)が終わったってのを知ってるの?私、まだ何も話してないよね?」

やっべぇぇぇぇ!墓穴掘ったぁぁぁ!

「………………………………すいませんでした」

俺は散々迷ったが屈しることにした。

「初めからそう言えばいいだけなのに。それで何したの?」

「神の力の封印をひとつ外して滅した」

「…………ひとつだけ?」

「ひとつだけだ。神に誓う」

「自分に誓ってどうするの。でも全くお兄ちゃんの気配感じなかったんだけど。それに音も」

「それが神の力って奴だ。まだひとつしか外してないのにあの力だ。正直、これはやばいなぁって思ってるよ」

「その力あれば無敵じゃん」

「でも俺は縛ってるよ。神の力を出してると神気っていうのが溢れてて、俺の場合は制御しきれてないから余計酷い。それが大地やら魔物やら人やらに影響を及ぼすらしい。俺の場合はコンマ数秒より全然少なかったから問題はない…………と、思う」

「思うって。でもお兄ちゃんの力はどうするの?正直、その力があれば元の世界に戻れそうなんだけど………」

「それは俺も思ったんだけど、そうするともう一度世界間に穴を開けることになる。その時のエネルギーが莫大で制御をミスると核爆発より恐ろしいことが起こるらしいんだ。それに世界間にそんなに穴開けてるといずれその穴が俺らが何もしなくても勝手に開きはじめて魔物が流れてったり、神隠しみたいなことが起こるんだってさ」

「そうなんだね。でもお兄ちゃんのことだから私の事気遣って聞いてくれたんでしょ?」

「ま、まぁ、そうだな」

「でも私は私でこの世界を楽しんでるから。ゲームじゃないと得られなかった楽しみを今味わってるから。私は大丈夫だよ。でもそれはお兄ちゃんから力を貰ったからだと思うんだ。でも他の子は違う。森崎先輩も雪谷先輩も今は生きるのに精一杯。だから普段は冷静な雪谷先輩もお兄ちゃんに辛辣なことを言ったんだと思う。だからそのせいでみんなを嫌いにならないで欲しいな。むしろみんなのことを好きになって欲しい。それでお兄ちゃんの力を与えてあげて欲しい」

「…………ああ、その件は大丈夫だ。既にみんなのことは信用してる。俺が言っても言いふらすことはしないだろう。でもそのせいで俺から人が離れるのが嫌なんだ。過ぎた力は争いを生む。それはその力を人が恐れるから。それに今は未来の言う通り全員がピリついている時。そんな時に俺が神だって言ったら信じて貰えるかもしれないな、そのせいで異端扱いされたり、元の世界に戻せ、って責められるのも嫌だ。全員のことを既に仲間と思ってしまった分余計に嫌だ」

「…………確かにお兄ちゃんの言うことに一理あるけど、少なくともお兄ちゃんの言う通りにはならないと思う。だってみんなお兄ちゃんのこと大好きだから」

未来は天真爛漫といった様子で俺に向けて笑った。

「そうだな。そうだといいな。分かった、近いうちにみんなに打ち明けるよ」

「うん、そうして。みんなも絶対にお兄ちゃんのことを受け入れてくれるよ」

──────────────────────────────

別の神王様が海翔のことを狙うことなんてレアケースかぁ。………………( ̄▽ ̄)ニヤリッ
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