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1章 学園
51話 配分
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『マリー、後ろから圧力をかけろ。絶対に生きて返すな』
『御意ですわ』
『だがマリー、ローマ、ヒミコ、リアンは絶対に姿を見せるな。配下たちだけで戦わせろ』
『もちろんでごさいます』
そう言って俺のマップの反応にチラホラとオーク達を囲い込むように戦い始めた。オークジェネラルとオーククイーンが階級5だが、それより高いのが多いので問題は無いだろう。
俺はマップで反応がある未来達のところに戻った。そこはかなりの激戦区と化しており、四方八方か、攻められる状態だった。しかし未来が的確にカバーしている。水谷先生が盾職で木で作った盾を使っていた。正直見ていて危なっかしい戦い方だが、縦を選んだ理由も想像はつく。
「全員、オークキングは倒した。後はただの掃討戦だ。だが今回はオークリーダーとクイーン、まだ残っているジェネラルが引っ張っている。だから油断だけは絶対にするな」
『マリー、ほかの魔物たちに絶対に俺らの前に姿を見せないよう厳命してくれ』
『既にしてあるのでご安心を』
俺はマリーに感謝を伝えて、次は武器を配布する。
「森崎さん、この武器を使ってくれ。オークジェネラルが持っていたんだ。使いたくないなら別にいいけど……」
「そんなことないわ。もちろん使わせてもらうわよ」
「森崎さんってたまに話し方変わるよね」
森崎さんの普段の話し方は誰にでも敬意を持って話す敬語が多い。しかし今のように咄嗟の時は素が出るのかな
「っ!べ、別にいいじゃない」
俺はそんな森崎さんを見てホッコリとしていると、今度は隣にいた未来からほっぺをつままれた。
「お兄ちゃん、私たちが必死に戦ってる間に何森崎先輩口説いてるのかなぁ?」
言い方は優しいが目も口も笑ってない。
「へふにひひふんなへふにひひふんなははほっほりひへははへはほははほっほりひへははへはほ」
「ふーん。どうなんだか」
そう言って未来は手をほっぺから話してくれたが、同時にそっぽを向いてしまった。
「はいはい、この武器を上げるから許してくれ」
俺はオーククイーンとの平和的交渉によって手に入れた杖を未来に渡す。この杖は一見ただの鉄製の杖だが、その実魔法の威力を高める効果を持つかなり貴重な杖なのだ。
未来に効果の程を説明すると、すっかり機嫌を直して、杖を貰って言った。あんな単純でいいのかと思ってしまうが、あれが未来のいい所でもあるのでなんとも言えない。それに危険が迫ったら俺が守ればいいだけの話だからな。
そして宿木にも何かをあげようかと思ったが、短剣は持ってなかったし、盗賊の効果を高めるような効果を持つ道具もなかったので、渡すことが出来なかった。
その後も料理部メンバー優先で、戦利品を与えていく。三浦さんが使うナックルや少し違うクローなども見つからなかった。
そして珍しいオークナイトと戦っていたのか盾を手に入れていた俺は水谷先生にそれを差し上げる。
「水谷先生、その木の盾よりこっちの盾を使ってください。オークナイトが使っていたのでかなり強いと思いますよ」
「それはありがとう!でもタダで貸してくれるの?嬉しいけど何か不安ね」
それもそうだな。タダほど怖いものはないと言うほどだ。ならばこちらも対価を示した方が良さそうだ。
「なら、今回の戦いの戦利品はオーク肉や武具も含めて7:3の分け方でどうですか?もちろんキングの肉はこちらで貰いますけど」
「…………………ええ、それで問題ないわ。でも余っている武器があるのなら渡して欲しいわね」
「いえ、既に森崎さんなどが渡しているようです。なのでその心配はないかと」
森崎さんが倒したオークの武器を与えて、その武器でレベルを上げさせていた。女子寮は後衛希望が多いから杖がいいのだろうが、杖はメイジやプリースト、クイーンが持っているのが上限であり、それは今回の10%も満たなかった。
流石に盾ひとつで要求はしすぎだと思うので、武器の分配は当然するつもりであった。その前に森崎さんや雪谷、未来なら俺がダメと言ってもこっそり渡しそうな程優しいからな
そしてオークの動きが統制の取れた動きから徐々に散漫な動きに変わっていった。どうやらキングが殺られたことが末端にも知れ渡ったようだな。
「未来、ここで畳み掛けろ。ポイントを今振る必要は無い。今のうちに上げられるだけレベルを上げろ。でも他の子も一緒に上げてやってくれ」
「お兄ちゃん…………うん!分かったっ!」
未来は俺の事を見つめていたが、すぐに目を逸らし指示に戻った。何度も言うが目線だけで長文会話ができるのはラノベだけだぞ。
俺はその様子を遠くから見守っていた。俺はさっきの戦いで疲れた脳を癒すため、多重行動を解除し、超速思考も解除する。
木の枝に飛び乗り戦場を見回す。全員が俺の言った通りにレベル上げのためにオークを手当り次第狩っている。瀕死の状態まで追い込んで、トドメだけ譲っているのも見かけた。
その遠くではテイムしたモンスターが姿を表さずにオーク達を囲い込むように立ち回っていた。体躯の大きい魔物ばかりだが、スパイのように足音を減らして戦っている。しかし倒すことはせず、牽制にとどめている。
俺は満足して木の枝に腰を掛け──────
『……マスター緊急事態です!未来達がオークアサシンが狙っています。至急援助に!』
『御意ですわ』
『だがマリー、ローマ、ヒミコ、リアンは絶対に姿を見せるな。配下たちだけで戦わせろ』
『もちろんでごさいます』
そう言って俺のマップの反応にチラホラとオーク達を囲い込むように戦い始めた。オークジェネラルとオーククイーンが階級5だが、それより高いのが多いので問題は無いだろう。
俺はマップで反応がある未来達のところに戻った。そこはかなりの激戦区と化しており、四方八方か、攻められる状態だった。しかし未来が的確にカバーしている。水谷先生が盾職で木で作った盾を使っていた。正直見ていて危なっかしい戦い方だが、縦を選んだ理由も想像はつく。
「全員、オークキングは倒した。後はただの掃討戦だ。だが今回はオークリーダーとクイーン、まだ残っているジェネラルが引っ張っている。だから油断だけは絶対にするな」
『マリー、ほかの魔物たちに絶対に俺らの前に姿を見せないよう厳命してくれ』
『既にしてあるのでご安心を』
俺はマリーに感謝を伝えて、次は武器を配布する。
「森崎さん、この武器を使ってくれ。オークジェネラルが持っていたんだ。使いたくないなら別にいいけど……」
「そんなことないわ。もちろん使わせてもらうわよ」
「森崎さんってたまに話し方変わるよね」
森崎さんの普段の話し方は誰にでも敬意を持って話す敬語が多い。しかし今のように咄嗟の時は素が出るのかな
「っ!べ、別にいいじゃない」
俺はそんな森崎さんを見てホッコリとしていると、今度は隣にいた未来からほっぺをつままれた。
「お兄ちゃん、私たちが必死に戦ってる間に何森崎先輩口説いてるのかなぁ?」
言い方は優しいが目も口も笑ってない。
「へふにひひふんなへふにひひふんなははほっほりひへははへはほははほっほりひへははへはほ」
「ふーん。どうなんだか」
そう言って未来は手をほっぺから話してくれたが、同時にそっぽを向いてしまった。
「はいはい、この武器を上げるから許してくれ」
俺はオーククイーンとの平和的交渉によって手に入れた杖を未来に渡す。この杖は一見ただの鉄製の杖だが、その実魔法の威力を高める効果を持つかなり貴重な杖なのだ。
未来に効果の程を説明すると、すっかり機嫌を直して、杖を貰って言った。あんな単純でいいのかと思ってしまうが、あれが未来のいい所でもあるのでなんとも言えない。それに危険が迫ったら俺が守ればいいだけの話だからな。
そして宿木にも何かをあげようかと思ったが、短剣は持ってなかったし、盗賊の効果を高めるような効果を持つ道具もなかったので、渡すことが出来なかった。
その後も料理部メンバー優先で、戦利品を与えていく。三浦さんが使うナックルや少し違うクローなども見つからなかった。
そして珍しいオークナイトと戦っていたのか盾を手に入れていた俺は水谷先生にそれを差し上げる。
「水谷先生、その木の盾よりこっちの盾を使ってください。オークナイトが使っていたのでかなり強いと思いますよ」
「それはありがとう!でもタダで貸してくれるの?嬉しいけど何か不安ね」
それもそうだな。タダほど怖いものはないと言うほどだ。ならばこちらも対価を示した方が良さそうだ。
「なら、今回の戦いの戦利品はオーク肉や武具も含めて7:3の分け方でどうですか?もちろんキングの肉はこちらで貰いますけど」
「…………………ええ、それで問題ないわ。でも余っている武器があるのなら渡して欲しいわね」
「いえ、既に森崎さんなどが渡しているようです。なのでその心配はないかと」
森崎さんが倒したオークの武器を与えて、その武器でレベルを上げさせていた。女子寮は後衛希望が多いから杖がいいのだろうが、杖はメイジやプリースト、クイーンが持っているのが上限であり、それは今回の10%も満たなかった。
流石に盾ひとつで要求はしすぎだと思うので、武器の分配は当然するつもりであった。その前に森崎さんや雪谷、未来なら俺がダメと言ってもこっそり渡しそうな程優しいからな
そしてオークの動きが統制の取れた動きから徐々に散漫な動きに変わっていった。どうやらキングが殺られたことが末端にも知れ渡ったようだな。
「未来、ここで畳み掛けろ。ポイントを今振る必要は無い。今のうちに上げられるだけレベルを上げろ。でも他の子も一緒に上げてやってくれ」
「お兄ちゃん…………うん!分かったっ!」
未来は俺の事を見つめていたが、すぐに目を逸らし指示に戻った。何度も言うが目線だけで長文会話ができるのはラノベだけだぞ。
俺はその様子を遠くから見守っていた。俺はさっきの戦いで疲れた脳を癒すため、多重行動を解除し、超速思考も解除する。
木の枝に飛び乗り戦場を見回す。全員が俺の言った通りにレベル上げのためにオークを手当り次第狩っている。瀕死の状態まで追い込んで、トドメだけ譲っているのも見かけた。
その遠くではテイムしたモンスターが姿を表さずにオーク達を囲い込むように立ち回っていた。体躯の大きい魔物ばかりだが、スパイのように足音を減らして戦っている。しかし倒すことはせず、牽制にとどめている。
俺は満足して木の枝に腰を掛け──────
『……マスター緊急事態です!未来達がオークアサシンが狙っています。至急援助に!』
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