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1章 学園

50話 VSオークキング

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個人的には飽き性なので早めに投稿ペースが下がるかなぁ。とか思ってましたが、意外と楽しんで書いていられました。これも読んでくれている皆さんのおかげだと思ってます。これからもよろしくお願いします

追伸
街や人の名前、ストーリーのアイデア絶賛募集中です


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「ちっ、いくらなんでも動きが早すぎるな」

『ソレハトウゼンダ。カトウシュニマケルコトナドナイカラナ』

その声は目の前に体長3mはあろうかと言う程の巨大なオークから発せられた声だった。しかしその声は酷く聞き取りにくく、言葉を覚えたばかりの子供でもここまで酷くはない。

「下等種の言葉をわざわざ覚えてくれてどーも。でもその苦労も一瞬で終わって哀れだな」

「ナニヲイウ。コチラコソワザワザワレラノエサノタメニデテキテクレテカンシャシヨウ。オレイハイノチデイイゾ」

「今どきそんな古臭いセリフ誰も言わねぇよ」

俺らは合図せずに剣を構える。今一度オークキングを観察すると、でっぷり太った普通のオークと違い、その中にも筋肉があることがひと目でわかる。それでも腹の贅肉は溜まっているのだが。

それとは別に凶悪的なまでの長さの大剣。長さでいえば俺の身長よりあるかもしれない。そしてその剣を持つ腕も当然太いため、技術ではなく力のゴリ押しタイプと予想する。そして意外なことに装備はつけてなかった。鎧や兜などをつけているのかと思ったが、そんなのつけずに、腰巻だけだ。

「デハイクゾ」

その声と同時にオークキングはその巨体からどう出ているんだという程の速さを駆使して俺との距離を詰める。目測10mの距離を瞬く間に詰めてくる。俺はオークの剣に合わせて俺は剣をずらそうと試みるが、その速さと力が乗った剣をそらすことは容易ではなく、かなりの力での対抗を強いられた。

「うぐっ」

「ヨワイ。カトウシュハコノテイドカ」

「散々言ってくれるじゃねぇか、よっ!」

俺は力で剣を跳ね除けそのままオークに向けて剣での振り下ろしを当てる。オークの剣は弾かれてすぐに戻せる状態ではない。俺はそう常識的に考えてまい、そのせいで手痛いしっぺ返しを受けた。

俺はその剣をオークの左手で掴まれる。初めての経験で驚き何もできない俺にオークは剣を俺にぶつけてくる。

幸いにもオークキングの剣は剣というより棍棒に近い形であったから、上半身と下半身が永久にお別れということは避けられた。しかしそれでも腹に強い攻撃を貰い内蔵がかなり潰れてるし、木と衝突したせいでそこの方も骨がいくつか折れてる。そんな状態でも俺がどうしてここまで客観的に自分を見ることが出来るのかと言うと、俺には攻撃をくらっても治す手段があるからだ

「う、ぐぅっ、【パーフェクトヒール】」

俺は自分に最高の明光魔法を使い自分を癒す。そのおかげでさっきまで止まらなかった出血も収まり、内蔵も骨も元通りだ。

「ホウ。ヒカリマホウヲモッテイルカ。ソウデナケレバオモシロクナイゾ」

キングは口角を釣り上げて、俺に向かっていやらしい笑みを向ける。俺はその笑みを見て真っ直ぐに前を向く。正直完敗だな。いくら剣神でも技術だけじゃなくて感覚や経験も大事なんだと思い知らされた。

「御託はいい。俺も本気を出すかかって来いよ」

『ナギサ、相手の攻撃の予測を頼む』

『……あんだけカッコつけたのに……。分かりましたを確実ではありませんが、微力を尽くします』

ナギサの場合全然微力じゃないんだよなぁ。
俺は多重行動を使って相手の気配、魔力、マップの3点からそれぞれ調べ、俺自身が見失わないようにして、更に超速思考によってどれだけ早く動いても、反応できるようにする

そして剣神のスキルをフルに使って、どんな攻撃にも対応できるように構える。

多重行動のひとつを体の全感覚に回し、相手の動き、風を切る音、何ひとつとして見逃さない。

「………マダタリナイヨウダナ。ナラバノゾミドオリヤスラカニコロソウ」

オークキングは剣を構えて、俺に向けて大振りの一撃を。その距離からだと俺には絶対に届かない─────などという慢心はしない。知能があるあいつが無駄なことをするはずがない。俺は剣の先から出る魔法を視認する前に横に避ける。

出てきたものは風魔法だった。それも弱いものではなく、かなりの魔力が込められた一般人程度なら両断出来そうな威力を伴った【ウインドカッター】だ。

「面倒なことしやがって。でも魔法が使えるのがお前だけだと思うなよ?」

相手が魔法を使ってくるなら、俺が使わない道理はない。俺はキングと同じように剣を振った軌道上に風魔法を展開する。しかしキングとの明確な違いが1つ。それは剣の振る速さだ。キングは振るスピードも速いが、どちらかというと威力の方が上だろう。しかし俺は力よりも速さ、手数で相手を圧倒するスタイルだ。剣を振るう回数が多ければ、その分風の刃の数も増える。キングはそれを捌きながらも風の刃で補助するのが精一杯だ。

「ウッ、グゥ」

キングも捌ききれなくなってきたのか、徐々に体に傷をつけていった。しかしどれも致命傷となり得るものではない。それにオークキングはなんのスキルなのか自然治癒能力がずば抜けて高く、魔法でつけた傷はいつの間にかふさがっている。

このまま戦っていればいつかは勝てるだろうが、決着が着くのはかなり長いこと先になるだろうと見切りをつけた俺は一気に勝負を詰める。

俺は風魔法を剣からでは無く普通に使いながらキングとの距離を詰める。そのままキングが応戦で精一杯となっている間に件を引き絞り最速の突きをキングの胸に向けて穿つ。

しかしそこは腐ってもキング。野生の本能か、そういうスキルかでその攻撃を間一髪で避け、肩をえぐる程度だった。

「グヒィ」

キングは誰が見てもわかるように口角を釣りあげ笑った。大方、俺が剣を素早く戻す前にまたぶっ飛ばそうとでも考えているんだろう

「さすがにそれはを舐めすぎだ」

俺はさっきと同じ攻撃が来ると踏んで剣を手放して体を地面に落とす。その後一陣の風が俺の上を吹いていく。その風は俺の首をえぐりとるように放たれていた。

当の俺はそんなこと露知らずに体を起こしてキングの隙だらけの体に見よう見まねの貫手をキングの胸の中心に突き刺す。

その場所にはまるで石のように固いものが。それこそラノベ界隈でよく言われる【魔石】と呼ばれるものだ。魔石は魔物の体の中に埋まっていて、魔物の心臓と呼ばれている。魔物は心臓の代わりに魔石があるだけで、それ以外は他の生物と全く変わらない。

魔石は魔物によって色やサイズ、純度も異なる。しかし一つだけ明確になっていることは、魔物が強ければ強いほど、持っている魔石は大きく、純度も高い。

しかし例外として色が付いているものがある。それこそが特定の魔物から取れるものでは無い。長い年月を生きてきて、魔石自体に色がついたのだ。その魔石は一般の物と差別化をしようというどこぞのコレクターが【魔晶石】と呼ばれた。

そして魔石の使い道だが、魔石は読んで字のごとく魔力を孕んだ石の事だ。だから自分の魔力の補給もできるし、魔道具として自分の魔力ではなく、魔石で代用することが出来る。

しかしここでの注意として魔石に魔力を込めることは出来ないという事だ。魔石から人に魔力を渡すことは出来るのだが、人の魔力は受け付けない。なので魔石は常に需要が高い

特に魔道具を多く持つ貴族はより長時間稼動させようと内包魔力の多い魔石を求める。内包魔力の多い魔石とはもちろん強い魔物から取れる。その分岐権が伴うからこそ、高ランクの魔石の納品依頼は報酬の色がいい。

閑話休題。

俺はそのまま胸の中から俺の掌ほどもある魔石を引き抜く。生きた魔物から魔石を引き抜くのは俺が初めてじゃないか?

「グアアアアアア。カエゼエエエエ。マセキヲカエゼエエエエエエエェェェェ」

俺はそのまま目の前で朽ちていくキングを見守った。別に思い入れなどないが、お互い本気を出して戦ったんだ。その分の敬意を払ってもいいだろう。例えそれが自分たちを害するものだとしても。

そしてオークキングは完全に動かなくなった。オークキングは戦利品扱いとなり、俺のインベントリに入っていく。
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