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1章 学園

20話 事後

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『……残りはいますが、ここまで大規模ではなく、オークリーダーが5~7匹を率いているだけです』

『後で要退治だな』

『……いえ、他のグループのレベル上げに回した方がいいかと』

『それもそうだな。でも危害を加えるようだったら、倒すまでだ』

『……お知らせです。マスターが嫌いで嫌いで仕方がない人がいる男子寮がオーク狩りに出かけました。しかし学園内ではなく、学園の外に出たようです』

『ほう、あいつはそこまで馬鹿じゃないと思ってたが………やはり親の七光りでこの学校に入っただけの馬鹿か』

「これからレベルが上がったらのは生活魔法を取得してもらいたい。そしてそのレベル1のクリーンを使ってあの子たちの避妊をしてくれ」 

俺の言葉を聞いて全員が怪しげな視線を送る。

「そんな目で見るな。ちょっと変な話になるが、オークの子種は胎内でもしぶとく生き残り、10日は残る。例えばあの中に排卵期の子がいれば、妊娠は確実だ。でも妊娠するまでなら生物と扱われずにクリーンで除去することが出来る」

俺がそう説明すると納得したようだ。しかしそんな知識どこで?と聞かれたので、ファンタジーの定番だ。と答えた。未来からの視線が痛い……

「そして治す方法は単純で、腟内に指を入れてクリーンを使うだけ。ちなみに質問は受け付けない。てか早くやらないと妊娠する子が出るかも」

俺がそう急かすと全員が急いでやり始めた。友達の膣に指を侵入させるのはだいぶ恥ずかしいようだが、幸い相手は意識を失っているので関係ない。

それに必死になって取り組んでいるので、感情もプラスに揺れているだろう。

その間俺は倒したオークの回収に勤しんでいる。オークジェネラルの持っていた剣にミスリルが含まれていた。だからこれからのメイン武器はこれになりそうだ。

てかこれだけ数が多いと回収が面倒だな。ゲームなら使い魔とかに回収させてたんだが……使い魔でも召喚するか?

『……マスター、使い魔の召喚は現時点ではスキルとして取得するのは不可能です。なので自動収集などのスキルを創造すればよろしいかと』

『そうなのか?召喚術とか意外と人気があって色んな人がやりそうだから、結構早めに取得できると思ったんだが』

『……召喚術は2つあり、片方は決められた魔力を使い、決められた魔物を召喚する方法。もう片方は魔力を注げるだけ注ぎその力に見合った魔物を召喚します。
1つ目は魔方陣から出てくる時には契約完了しているのですが、もう片方はただ呼び出すだけで契約は完了していません。力で認めさせるか、交渉するかは人それぞれです』

『へぇ、てことは国とか召喚術の使い手で魔力が豊富な人を囲ってそうだな』

『……しかしそう簡単には行きません。その2つが組み合っているというのはかなり珍しいことなのです。そもそも魔力のは成長することで伸ばすことは可能ですが、スキルの取得は出来ません
例え魔力を300込めたところで召喚できるのは中級の魔物がせいぜいです。なので現在は召喚術の需要は高くありません』

『もったいないなぁ。ノーリスクで敵を倒せるのに。その時の経験値はどうなるんだ?』

『……それは召喚主に決定権があります。自分だけ貰うことも出来ますし、召喚獣だけが受け取るようにも出来ます』

『結構便利だなぁ』

『……それよりもオークが食べてない食料を回収しましょう。どうやら調味料は使い方が分からず、そのまま食べようとしても美味しくないためほとんど残っています』

『それは助かるな』

そしてナギサの指示に従いながら食料を回収していく。そして【自動収集】のスキルを創る。

食料は色々と食べられていたが、食べられていたのは1部の肉だけで、残りの野菜は残っていた。オークは野菜嫌いなのかな?
等としょうもないことを考えていると、後ろから未来が話しかけてきた。

「お兄ちゃん、みんなに言ってたことって本当?」

「当たり前だろ。オークは上位種が産んだ子はさらに上の種族になる。それは知ってるだろ?だからあの子たちを助けるのは巡り巡って俺たちを助けることになるんだ」

それにオークは産まれた時から強いしな。と付け足すのも忘れない。

「でも、あんな方法で本当に治るの?」

「ああ、未来に言ったろ?アカシックレコードに接続できるナビゲーターがいるって。それが言ってるんだから問題ないよ。それに万が一があったとしても、何とかするから」

俺にとって第1優先は未来。そして2番目に食い込むホド大事になっているのが、料理部のメンバーだ。

短時間ではあるのだが、既に俺にとっての大切になっている。正直、こんなに移り身が早いのもどうかと思う。ちょっと前まで見捨てた子達なのだ。それでもみんなを見捨てたのは自分にとって馬鹿な決断だと思うし、みんなともっと仲良くなりたいとも思う。

別に下心がある訳じゃない。…………ちょっとくらいはあるけど。それでも仲良くなりたいのは本当だ。

べ、別に料理部が別名美少女部と呼ばれてるからじゃないぞ?

『……マスター、ツンデレはもういいので、そろそろみんなのところに戻ってください。既に治療が終わっています』

『…………あ、りょ、了解っ!』

俺は足早にみんなのところに向かう。すると裸の女の子だらけの楽園があった。コホン、全員服は引きちぎられているようで、服はなくて当然か。可哀想だとは思いつつも、ついついそっちを見てしまうのが残念な男の性というものだろう。

「ちょっと、中川。みんなを見るのをやめなさいよ」

俺がチラ見しているのを雪谷に見つかった。くっ、なんてタイミングだ。俺の脳に焼き付け切れてないと言うのに。

しかしここで周りからの評価が下がるのは痛い。ということで、見るのをはやめようと思う。

俺は気配感知を使い、女の子の体型を空間ごと認識する。正直、直に見たいが背に腹は変えられないとはこのことだろう。

「コホン。それで全員の治療は終わったのか?」

「ええ、一応ね。それでも本当にこの方法でいいのか不安も残るし、なんで中川がそんなことを知ってるのか気になるわ」

雪谷が俺にジト目を向けてくる雪がやがやるとギャップの差があって、可愛く感じる。これこそが真のツンデレと言うやつなのだろう。

「そのことは後で話すよ。とりあえず、この場にいる子達が起きない限り、ここから先に行けないからな」

『……マスター、寝ている子は全員悪夢を見ているようです。オークに犯されるのを現実として受け止めきれなかった結果、夢として現れているようです』

『それってどうするんだ?闇魔法で治せるのか?』

『……はい。今は心の傷が原因なので、治すことは可能です。マインドケアで治るかと』

俺はナギサに言われた通り、マインドケアを使うと、強ばっていた表情が収まり、全員静かに眠っている。これなら時期に起きるんじゃないかな。

「それじゃ、全員が起きた時の話をするよ。全員が起きたら体育館、女子寮、地下にの3つの選択肢を聞く。男子寮と道場も一応聞いて欲しいが、危険だということも伝えてくれ。それでその子らを俺らで引率だな。その間にオークに会えれば殺さない程度に弱らせて、ステータスがない子に経験値をあげるんだ」

俺の話を真剣に聞いてくれる子達。そして俺は話を続ける。

「移動は3グループに分ける。俺、未来、森崎さんと宿木をリーダーとしてそれぞれ護衛してくれ。ちなみに俺が女子寮に行って食料の交渉をしてくる」

そして未来のグループが遠い方の体育館となったが、それに待ったをかけたのが雪谷。俺はまたもや邪魔をするのかと思われたが、

「体育館にあの変態教師で有名なバスケ部顧問がいるの。その中に未来を連れていくのは危険だわ。だから、私達の年長組にやらせて欲しいの。それなら中川の心も痛まないでしょ?」

そうだったな。体育教師は変態なロリコンで有名だったな。守備範囲が広いせいで教師から中1まで口説いている。それでも成功例はないと聞く。

それに雪谷が未来の心配だけじゃなくて、そんな俺の心まで気遣っている……だと。

初めの頃からしたら考えられないな。雪谷が俺の事を思って未来を助けようとしてくれてるのは助かるな。

「確かにその理由なら納得だ。でも配置換えの変更はなしだ。未来は俺に似て頭がキレる。だからあの教師を言い負かしたというのを何度も話で聞いてるからな。それに今となっちゃ物理手段も聞かない訳だしな
それに今の俺からしたら全員が等しく大事だ。でも未来が1番大事なのは変わらないが、俺の気持ちは本当だ。だから自分の身を削ってまで、とか考えるのはやめてくれ」

俺がそう言うと、全員がポカーンとした顔になる。そんなに変なこと言ったつもりはなかったんだが……結構心にくる表情だな。そんなに意外だったか?

『……ツンデレなマスターにしては頑張った方です。神帝様もマスターが一世一代の告白したー!キャー!とか言ってました』

『告白じゃないよ!?友達として大事に思ってる方だからね!?勘違いしないでよね!』

『……はいはい、マスターのツンデレは需要があるのが嫌ですねぇ。そんじょそこらの男のはいらないのですが』

ナギサの言い方が酷い!てか自我は持たせたけど、初めと比べて成長してない?マスターに毒吐くってどゆこと!?
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