宇宙打撃空母クリシュナ ――異次元星域の傭兵軍師――

黒鯛の刺身♪

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第四十八話……新惑星ライス

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「……人手が足らないんだよなぁ……」

「人手デスカ?」

 フランツさんとセーラさんが、惑星アーバレストでクーデター派と外交儀礼を行っている時。
 私は惑星アルファのウーサの店でお酒を飲んでいた。
 新規本拠地には目星がついていたのだが、開発する人手が圧倒的に不足していたのだった。
 ……よって、私は悩み、ウーサに愚痴っていたのだ。


「……そうなんだ、何をするにも人手が必要で、我々にはそれがないんだ」

「一ツ、ソレラシイ当テガアリマスガ……」

「え? 何だって!?」

「コノ宇宙船ノ地下格納庫ニ、汎用ロボットノ製造施設ガアルトオモイマス……」

「お! 是非その情報を教えてほしい!」

「……カシコマリマシタ」

 私はウーサから話を聞き、宇宙船アルファ号の地下格納庫に降りる。
 宇宙船アルファ号はキロ単位の大きさなので、地下格納庫に降りるまでも沢山のエレベーターに乗り換えが必要であった。



☆★☆★☆

「旦那、暑いですな!」

「……ああ」

 ブルーと共に地下格納庫の入り口に到達。
 この巨大な宇宙船の外は猛吹雪なはずだが、この格納庫の入り口は何故か蒸し暑かった。


『データキー照合完了! オ入リクダサイ』

 ウーサに貰ったカードキーを差し込むと、大きな金属製のシャッターが重々しく開く。
 中から現れたのは、沢山の居並ぶロボットたちだった。

 よく見るとウーサと違い、人に酷似したタイプが数百体も並んでいる。
 近づいて観察してみると、全高160㎝くらいの人型の人形のようなロボットたちだった。


「旦那、製造装置もありますぜ!」

「おう、今行く!」

 ブルーの方へ駆け寄ると、この人形のようなロボットの製造装置があった。

 説明書を読むと、このロボットたちの名前は【コンポジット】というらしい。
 さほど高性能ではないらしいが、簡単な軍務や工事、もしくはサービス業に従事できる汎用型のタイプのようであった。

 ……これがスイッチかな!?

 居並ぶロボットたちを起動。
 さらにはブルーと手分けして、かなりの数のロボットを起動させてみた。


「ご用は何ですか?」

 意外なことに、ウーサより人間らしく喋る。
 というか、彼らはほぼほぼ人間の肉声と同じ様な発音だった。

 調べたところによると、【コンポジット】達は私達と違い、食事も排泄もしない。
 全て電気で動くタイプのロボットだった。
 しかし、これだけの数を十分に充電するには、大きな発電プラントが必要そうであった。



☆★☆★☆

「この次は何をするんで?」

「この惑星を移住候補地にするのだ!」

 我々は惑星アルファを進発し、惑星アルファの隣にある不毛な岩石惑星の衛星軌道上に進出していた。

 まずは、クリシュナで氷でできた小惑星をけん引してきて、この岩石惑星に次々に投下。
 海や湖、更には大気を大まかに作った。

 更には【コンポジット】達を使い、衛星軌道上に巨大ミラーを設営。
 この惑星に降り注ぐ太陽光を調節する。

 荒っぽい手法だが、ポコリンの乗る艦載機により、爆撃で整地もしていった。
 更にはアルファ号にあった種子の種も、艦載機で上空からばら撒いていく。

 この惑星には生物がすんでいないので、好き放題に惑星を作り変えることが出来る。
 まるで神のような所業だが、実際にやってみるとただの楽しい土建工事の態であった。


「旦那、次は居住施設の建設ですね?」

「……ああ、頑張っていこう!」

 ここでも頑張ってくれるのは、数百体の働き者の【コンポジット】達。
 電力さえ供給すれば、昼夜分かたず不平を言わずに働いてくれた。
 ちなみに発電機の役目は、とりあえずはクリシュナの仕事だ……。

 居住施設はドーム型のコロニーを選択。
 主要素材は宇宙船アルファ号から持ち出していき、汎用部品はこの惑星から掘り出して使う予定だ。
 2週間の突貫工事の末、とりあえずは人が棲めそうな惑星へと姿を変えたのだった。



☆★☆★☆

――1か月後。

「……こんなもので、どうですかね?」

「こ、これは……」

「すごいわ、カーヴ!」

 セーラさんとフランツさんに造成した惑星を見てもらうと、とても喜ばれた。


「この星の名前は何なのかね?」

「いえ、まだ決まっておりません。誰も住んでいませんので……」

「……ふむう」

 フランツさんはそう言った後に、セーラさんと二人で相談。
 その結果、惑星の名前は、ライス家の星ということで惑星ライスと決定した。

 さらには、この惑星ライスの統治者。
 セーラさんはアーバレストの統治者でもあるという名目から、フランツさんが初代総督として赴任することが決定した。
 だが、【コンポジット】達は私しか使えないので、実質的な開発責任者は私ということになった。


 その後も惑星ライスは開発を加速。
 居住型ドームが完成を見たこともあり、惑星アーバレストから第一期の移民10万人を受け入れた。

 その後も、マーダ連邦に居住惑星を奪われた移民たちを収容することに成功。

 移民問題に悩まされていた周辺星域の問題も一挙に解決し、ライス家の地位向上にも貢献した。
 その僅か一年後には、アーバレストを超える人口を有する惑星となっていくのだった……。

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