宇宙打撃空母クリシュナ ――異次元星域の傭兵軍師――

黒鯛の刺身♪

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第四十五話……機械生命体

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「勇者殿！　これは旨いですな！」
「お強いだけでなく、料理もおできになるとは……」

「素晴らしい！」

　私はクリシュナを駆り、未開の惑星を次々に開拓。
　そこで、その地域特有の未知の巨大生物を倒し、そこでの先住民の支持を得た。

　巨大生命体を倒すたびに、私は【神】だの【伝説の勇者】だのと崇められた。
　……まあ、それは一時だけだったのだが。

　その後にはセーラさんをホステスとして、クリシュナの食糧庫を開いて歓迎パーティーという順序で、惑星サンドマンに続き６つの有人惑星との友好確立に成功した。

「ブルー、２番テーブルに鮭缶のお替わりだ！」

「へぃ、旦那！」

　セーラさんと先住民の族長達が食事をとる中。
　私とブルーはファミレスのウエイターという感じだったが……。

　どこの惑星でもクリシュナの缶詰の中身は好評。
　料理アレンジは、本来本職がコックのブルーに任せた。

　我々は先住民たちと友好を深め、彼等からは新規で発掘された超文明の古代遺跡の情報を得ることにした。
　さらに、先住民たちに分け与える惑星アーバレストの技術と引き換えに、超文明の古代遺跡を譲り受ける契約などを結んでいったのだった。

☆★☆★☆

「カーヴ、次はどこを目指すの！？」

「ええと、ですねぇ……」

　セーラさんに尋ねられるも、私は残る未開星系の選択に難航していた。

　クリシュナの巨大コンピューターをしても、新たな文明生物がいそうな星系が割り出せないでいたのだ。

　未開惑星についたはいいが、文明も資源もない惑星に我々が求めるものは無い。
　かといって、アーバレストに残した残留部隊のことがある。

　……いかなる時、いかなる分野においても、成果は時間との戦いであった。

――二日後。

【システム通知】……Ｑ６４Ｅ８６宙域に高エネルギー反応があります。

「……うん？」

　クリシュナのセンサーやコンピューターと生体結合させた副脳が反応。
　しかし、生命反応はないとの報告だった。

　……どうしたものか？

　文明生命体が居る確率は低いが、残してきたフランツさん達や惑星アーバレストの趨勢も気になる。
　よし、ここはこの宙域にかけてみよう。

「ブルー、ワープ準備だ！」

「旦那、了解でさぁ！」

　私達は先住民たちと別れ、新しい宙域へと次元跳躍を試みる。
　ワープは概ね成功。
　目標の星系外縁に到達し、用心深く星系中央部へと艦を進めた。

☆★☆★☆

『重力圏進入！』

『生成軌道上に到達。依然、生命反応は無し！』

　私はクリシュナからの音声報告にひとり頷く。

　……この惑星の選択は、やはり失敗だったか！？

　しかし、ここまで来たのだ。
　降下せずに引き返すわけにもいくまい。

　少しの希望はある。
　大きな生命反応はないが、この惑星の地表は緑の木々に覆われていたのだ。

「クリシュナは衛星軌道上で待機！　ブルーは私と共に地上用のステレス戦車に乗り込め！」

「了解！」

　私とブルーは地上戦闘用のステレス戦車に乗り込む。
　クリシュナの艦載機は整備中の為、今回は地上を走って調査することにした。

「落下傘開け！」

「了解！」

　クリシュナに搭載されていたステレス戦車【バトルマスター】は、大気圏降下が出来る空挺部隊御用達の名車であった。

「地上に到達します。２秒前……１秒前！」

――ドスン

　大きな衝撃の前に、強力な重力制御装置が働くも、サスペンションとショックアブソーバーが軋む。
　この惑星の重力は、概ね地球の１．５倍といったところだった。

「全システム検査開始！」

「異常なし！」

　ブルーの返事に気を良くした私を乗せ、【バトルマスター】は地表を疾走。
　私は戦車のハッチを開けて身を乗り出し、久々の地表の新鮮な酸素を味わった。

☆★☆★☆

――二時間後。
　大きな茂みを前にして副脳が警告を送って来た。

【システム通知】……注意してください！　高エネルギー反応。

「！？　ブルー、戦闘用意だ！」

「了解！　５次元防御スクリーン準備良し！」

【バトルマスター】は周囲の重力を捻じ曲げ、周囲の可視光線や赤外線の光軸をも屈曲させた。

「射撃用意良し！」

　我々は準備するも、茂みから出てきたのは、概ね６ｍほどの巨大な虎の様だった。

「……うん？」

「旦那！　あれは何ですかい！？」

「虎のような？　……しかし」

　……が、よく見てみると毛皮がないのだ。
　凝視して確認すると、全身が鋼鉄に包まれた、いわば機械でできた生命体の様だった。

「ガルルルル……」

　機械製の虎に凄まれるも、特に攻撃してくる様子はない。
　私とブルーは初めて見る生命体に驚き戸惑うだけだった。

「センサー全開！　同じような反応を探せ！」

「了解！」

　ブルーに命じて、センサー範囲を拡大。
　それを車長用の円形のモニターに表示させた。

「……こ、これは！？」

　【バトルマスター】が収集してきたデータは、周囲５ｋｍに同じような機械生命体が２００体もいるとの報告だった。

　……虎型に象型、サイ型に馬型。

　この惑星は、機械で出来た動物の楽園といった感じだった。
　きっと今まで、上空にクリシュナがいる間は、警戒して出てこなかったのだろう。

　私とブルーは新たな発見に息をのんだのだった……。

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