宇宙打撃空母クリシュナ ――異次元星域の傭兵軍師――

黒鯛の刺身♪

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第二十三話……過分な報酬

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「旦那、あの辺りが奴隷商人のアジトとのことです!」

「よし! 攻撃開始だ!」

 私達は地下賭博施設で貰った地図をもとに、奴隷商人のアジトまでクリシュナで急行。
 敵は大きな山岳地帯の中に基地を作っていた。


「収容区画を傷つけるなよ!」

「了解!」

「艦首主砲斉射!」

 クリシュナの艦首に固定されている32門のビーム砲は、各門とも上下左右5度ほどだけだが、偏光させ射角を変えることが出来た。
 これを時に分散、集中運用させて敵を砕く様を為していたのだ。

 この時は収束させた青白い高エネルギーの光条が、山岳地帯に突き刺さる。

 ビーム砲は濃い大気中では減衰率が高かったが、それでも高温で山肌を解かすのには十分だった。
 刹那、次々に爆炎が上がり、奴隷商人の基地施設は一瞬で大破する。


「乗り込むぞ!」

「おう!」

 さらにクリシュナを瓦礫と化した敵アジトに横付けし、我々は敵地へと乗り込んだのだった。


☆★☆★☆

「捕虜はどこだ!? さっさとさっさと吐け!」

 我々は負傷した奴隷商人の一味を拘束。
 すぐさま、収容施設まで案内させる。


「……あ、案内したら、命は助けてくれるよな?」

「ああ、約束してやるから、さっさと案内しろ!」

 奴隷商人たちをレーザー銃の銃口で小突き、収容棟の扉を開錠させる。


「おお、カーヴ殿!」

「フランツさん、ご無事でしたか!?」

 扉の中にはフランツさんをはじめとした、惑星アーバレストの士官や兵士たち。
 さらには解放同盟軍の兵士たちが収容されていた。

 やつれてはいたが、食事などはきちんとあったようで安心する。
 彼等を急いでクリシュナへと収容。
 簡易の健康診断などを受けてもらった。


「ご領主様、フランツ殿を見つけました!」

『……あ、ありがとう、カーヴ! あなたはとても良くやってくれました! あとで望みの褒賞を与えます!』

「有難うございます!」

 メインモニターでの超高速通信で、セーラさんが涙を流して喜んでくれる。
 その後、私は艦橋にフランツさんだけを残し、ブルー達とクリシュナの食堂へと向かった。


「ブルー、今日の昼食は何だ?」

「旦那、いつも食事当番が俺なのは何とかなりませんかね?」

 ブルーがブヒブヒと文句を言う。


「だってお前の本職はコックじゃないか?」

「まぁ、そうなんですけどね!」

 レイもトムも笑う。
 ただ、この時の食堂の客は、我々だけでは無かったのだ。
 助け出した捕虜が皆、お腹を空かせていたのだ。


「……ということで、旦那たちも手伝ってください!」

「うへ、仕方ないなぁ!」

 結局我々4名がその日の調理スタッフと化す。
 この時ばかりは、やはりブルーが先任だ。


「はいはい、皆さんキビキビ動いてね!」

「……」

 ……チクショウ。
 やつはここぞとばかりに威張りやがった。

 私達は捕虜のお腹を温かいスープで満たし、惑星アーバレストへと舵をとったのだった。



☆★☆★☆

――2週間後。


「カーヴ、褒賞のことなんですけど……」

「はい」

 私は惑星アーバレストに帰り、セーラさんの前にいた。
 約束頂いたご褒美についての話をしてもらっていたのだ。


「奴隷商人がため込んだ財産を、カーヴのものにするというのはどうですか?」

「……え、いいんですか?」

 話を聞くには、犯罪者がため込んだお金をアーバレストの政府が収納するのは、少し体裁が悪いとのことだった。
 それならば、賊を倒した私が受け取ったほうがいいのではないかということだったのだ。


「それじゃあ、38鉱区の開発費にでも使わせて頂きますね!」

「はい、かの地もしっかりとお願いしますね」

 私はセーラさんの部屋を退室した後、執事の方と賊の資産受け取りについて手続きをする。
 契約書にサインを施した後、莫大なお金が私のものになったのだった。

 流石に全部を受け取るのは不味いと感じ、各地の被害者にある程度の額を返還。
 その残りを自分の銀行口座に入れたのだった。



☆★☆★☆

「旦那、暇ですなぁ!」

「ああ」

 私とブルーはA-22基地のハズレで日光浴。
 惑星アーバレストの居住コロニーの外は害悪な環境なのだが、私とブルーは厳しい環境に耐えうるバイオロイドの体であったのだ。


「お金何に使おうかぁ?」

「肉と酒……」

「……お前、莫大な財を全部肉と酒にするとか、馬鹿じゃないのか?」

「俺に聞いた旦那が馬鹿なんでさぁ!」

 ……そういう結論か。
 確かにお前に聞いた私が馬鹿だったのかもしれない。


 ……が、


「司令、基地整備費にも予算を!」

「38鉱区にも予算を!」

 その後、A-22基地の事務責任者のレイと、38鉱区の事務責任者のトムに予算を強請られる。

 悪銭身に付かずとなる前に、これらの有効な投資先に使うことは良いことであると思う。
 よってセーラさんから貰った財の多くを、基地の整備や鉱山の開発に使っていくことになった。

 これにより、A-22基地の司令部はプレハブ小屋から、少しマシなものへと改変。
 冷暖房完備の素敵な司令部となった。

 第38鉱区の労働者の居住施設等も改善。
 さらには多くの坑道を掘り進め、更なる収益へと道を開いたのだった。
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