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【第四章】さらば地球、遥かなる銀河へ

最終話……宇宙S級提督への野望

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「敵接近! 距離360光秒!」

「敵影、約860隻」

「戦闘準備!」



「揃いも揃ってやってきたか……雑魚どもめ!」



 俺は神らしく、好き放題させてもらった。

 6か月もそうこうしていたら、カリバーン帝国どころか、ルドミラ教国まで連合して攻めてきやがった……。





「改良型惑星破壊砲用意!」



「了解! エネルギー充填開始します!」



「エネルギー充填50%」

「……80%」

「……100%! 充填完了!」



「敵艦隊めがけて発射しろ!」



「了解! 発射します!」





 特大の光条が敵艦隊先頭に命中。

 恒星を思わせるほどの光球が現れる。





 ……が、





「!? 敵艦隊被害なし!」

「敵艦隊先頭、識別装甲戦艦ハンニバル!」



「……!?」

「馬鹿な! あの戦艦は惑星破壊砲を単艦で弾いただと!?」



「敵艦隊、なおも接近!」



「やむをえん、通常砲撃戦用意!」



「了解!」







☆★☆★☆



「特型電磁障壁解除!」



「解除完了ですわ!」



「全艦砲撃戦用意!」

「装甲ミサイル艦、艦列前へ!」



「砲撃用意完了ポコ!」



「撃て!」



 私はハンニバルの司令席にて、全艦に砲撃命令を下す。

 今回私は、カリバーン・ルドミラ連合軍の臨時の艦隊司令長官を務めていたのだ。





「長距離ミサイル発射!」

「艦載機発進用意!」



 ……大出量のレーザー光条が飛び交い、ミサイルが炸裂する。

 光球が次々に産まれ、文明の叡智を残骸へと変えていった。





「お味方、優勢です!」



「よし! これよりハンニバルは、敵左翼に横撃をかける!」

「了解ですわ!」



「機関全速!」

「取り舵一杯! 側砲射撃開始!」



「斉射ポコ!」



 ハンニバルは僚艦であるオムライスとジンギスカンを率い、高火力と高機動をもってして、敵左翼の艦列を切り崩す。





――次第に、敵に混乱の色が見える。





「戦略打撃戦艦ペテルギウス発見!」

「大きいポコ!」



 ……敵艦列を切り裂くと、ついに敵旗艦にお目見えする。

 砲術長が言うように大きい。

 多分ハンニバルより大きかった……。





「機関に短期ブーストを掛けろ!」

「ブースト了解ですわ!」



「ブースト完了! 機関出力255%! 限界です!」



「マイクロ・クエーサー砲用意!」



 機関で生み出された大量のエネルギーが、艦体下部のマイクロ・クエーサー砲に流れこむ。

 そのあまりの大エネルギーに、艦がきしむ音が聞こえる。





「用意良し、エネルギー充填完了!」

「発射!」



 高密度化したガンマ線の束が、敵旗艦ペテルギウスの側面に直撃。

 電磁シールドを切り裂き、大爆発を起こした。





「敵旗艦、大破炎上!」

「敵艦隊が逃げ始めます!」



「追撃開始! 一隻も逃すな!」

「了解!」







 こうして、カリバーン・ルドミラ連合軍は、銀河最大勢力であるグングニル共和国艦隊を撃破。

 この後、ハンニバルは更に200回の戦闘と同じ数の勝利を記録したといわれる。







――標準歴8年12月。

 有文明銀河は再び、皇帝パウリーネの元に再統一された。







☆★☆★☆



 私は再び元帥号を得ることになったあと、ハンニバル開発公社の利権の殆どを、皇帝パウリーネ様と幕僚たちに分けた。





「ヴェロヴェマ元帥! 行ってしまうのかの?」

「……はい! しかしいつかは戻って参りまする」



「朕は何時までも待っているぞ……」

「有難き幸せ!」





 実は地球よりSOSが来たのだ。

 ……しかし、あのワームホールはもうない。



 このカリバーン帝国がある銀河星雲を飛び出して、地球のある銀河系を探し当てに行くのだ。

 本当に二つの世界が、宇宙のどこかで繋がっているのであればという話だが……。





 ……このため、今のハンニバルは私だけで操縦できるように、極秘改造してあった。

 そう、今回の任務は帰ってこられないかもしれないから、私だけで行くのだ……。







☆★☆★☆



「提督!」



「……ぇ!?」



 こっそりと艦橋に入ると、副官であるクリームヒルトさんがいた。





「一人でいくのはずるいですわ!」



「……でも、もうここには返ってこられないかもしれないよ……」



「何を仰います、ここが私の家ですわ!」

「家ポコ!」

「家ニャ!」

「一緒に行こうメェ~♪」

「準備完了クマ!」



 ……よく見ると、みんなもいた。





「……みんな……手伝ってくれるの?」



「「「もちろん」」」









――213X年。



 地球は謎の星間国家の大艦隊に襲われるが、たった一隻の装甲戦艦に救われる。

 その船の責任者は美しいアンドロイドであり、お側に一つ目巨人の騎士を従えていたという。



(宇宙装甲戦艦ハンニバル・完)
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