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【第四章】さらば地球、遥かなる銀河へ
第百四十六話……トロスト再び!
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――暗がりで試験管を眺める男。
奴の名はトール。
少し前まで技術少将を務めていた。
リーゼンフェルトが戦いに負けたので、奴と俺はとある辺境星系へ逃亡する羽目になった。
奴の発明品は、宇宙海獣操縦装置、ダークマター潜航艇、惑星破壊砲の三つ。
「トロストさん、新しい体は大切にしてくださいね」
「おうよ」
……さらに奴は、俺に新しい体をくれた。
96%は機械なのだが、パワーとスピードが凄い。
ライオンにも素手で楽に勝てそうだ。
そして新しい乗艦も……。
元・クレーメンス公爵元帥乗艦、戦略打撃戦艦ペテルギウス。
全長1852m全幅243mの巨大な戦闘艦だ。
俺たちが逃げるときに乗ってきた船だ。
星間ギルドに頼み、最低限の乗員をかき集めた。
「いざ、母なる地球ってか!?」
俺はトールの奴と別れ、アルデンヌ星系にあるワームホールを目指した。
☆★☆★☆
「……な、ない!?」
「ワームホールがないぞ?」
俺は目をこする。
地球に繋がるワームホールがない。
すぐさま、トールの奴に連絡をとった。
「トロストさん、ワームホールってのは気まぐれなんです。ときたま現れては消えてって感じなんです」
「じゃあ次はいつ現れるんだ?」
「明日かもしれませんし、何万年後かもしれません」
「……ふ、ふざけんなよ!」
俺はモニターに怒鳴りつけ、通信を切った。
地球で神になる以外、俺にふさわしい仕事ってないぞ?
「……ああ、ワームホールが現れるまで、この世界の神にでもなっておくか……」
俺にはカリバーン帝国国有企業の株式がある。
この財力をもってして成りあがってやるぜ!
俺は仕方なく、この日からこの世界の神を目指すことにした。
――翌年、標準歴4年4月。
トロストという男が、突如グングニル共和国の地方星系の議員として当選した。
☆★☆★☆
――標準歴5年1月。
ハンニバル開発公社は、ラム星系周辺の開発と発展に成功。
カリバーン帝国第二の巨大企業となった。
その利益に伴い、ハンニバルも大改修を行う。
防御力を中心に底上げし、全長1600m級の双胴の艦体は、半ば動く要塞と化してきた。
さらには、内部に兵器工廠や研究開発室も設けていた。
「大きいポコ♪」
「大きすぎて入港できない宇宙港も出てきたクマね」
「ふむう」
……まぁ、そういうところは衛星軌道上にとめて、シャトルで乗り降りするしかないね。
大きいのも不便なこともある。
「とりあえず試験航海にでますか?」
「賛成ポコ!」
「乗ってあげるニャ!」
「楽しみですわ♪」
そうなのだ、実は今回、遂に艦隊司令官席を作ったのだ。
……実は、退役してしまったので、司令官ではなくなったのだが。
司令官席はフカフカの椅子にしてみた。
リクライニングで気持ちがいい。
戦闘中に寝たらダメだよね……。
その後、ハンニバルは周辺星域を航行。
各星系の資源調査に赴いた。
資源はいくらあっても良かったためである。
その後、ハンニバルは塗装される。
カリバーン帝国の所属艦艇としての基本色である藍色に塗られた。
艦艇ナンバーは、BB1001。
現在は無き栄光の第十艦隊の戦艦一番艦という意味合いだ。
……あの激しかった帝国の内乱戦争の影も少しずつ消えている。
時がたつのは早いものだった……。
☆★☆★☆
準惑星ツーリアの地方局の放送を見ていると、臨時ニュースが入る。
『……先ほど、グングニル共和国で大規模な反乱が起きました!』
他所の国など、今はどうでもいいような気がしたが、どうやら最高議会が占拠されたらしい。
……いわゆるクーデターというやつだろうか?
「提督!」
「……あ!?」
ニュース画面を見て、副官殿と一緒に驚く。
そのクーデターの首謀者は、元カリバーン帝国宇宙艦隊所属のトロスト中将だった。
……トロストはどうやら議員であったらしく、安易に議会に入れたようだった。
驚いたことに、彼に同調するグングニル共和国議員も多く、単純に武力クーデターといった様相でもなかった。
クーデター側の主力兵は昆虫型の非人族。
ある種の非人族型の反乱要素もあったようだった……。
「栄光あるグングニル共和国の威信を取り戻す!」
すぐにトロストは、グングニル共和国暫定政府の首班に指名され、翌日には大統領に就任した。
彼は疲弊したグングニル共和国の経済と財政を立て直すらしい。
……しかし、その方針は奇抜だった。
「まずは金持ち星系のラヘル星系を攻略する!」
この世界の大商都といわれるラヘル星系は、確かに富の偏在する場所であったが、そこはグングニル共和国の領土である。
自国の領土に、武力侵攻するという、トンデモ政策であった……。
これにはラヘル星系の地方政府が驚き、すぐさまカリバーン帝国に助けを求めた。
しかし、以前、ラヘル星系ではカリバーン帝国軍は痛い敗北をしていたのだ。
今回、その星系を逆に守ってくれという話だった。
……まさに、昨日の敵は今日の友といった様相だった。
カリバーン帝国は人道支援という名目で、軍を派遣することとなる。
……そして、その分防備が薄くなった帝都の守りとして、臨時にハンニバルは首都星系アルバトロスの守りに就くこととなった。
奴の名はトール。
少し前まで技術少将を務めていた。
リーゼンフェルトが戦いに負けたので、奴と俺はとある辺境星系へ逃亡する羽目になった。
奴の発明品は、宇宙海獣操縦装置、ダークマター潜航艇、惑星破壊砲の三つ。
「トロストさん、新しい体は大切にしてくださいね」
「おうよ」
……さらに奴は、俺に新しい体をくれた。
96%は機械なのだが、パワーとスピードが凄い。
ライオンにも素手で楽に勝てそうだ。
そして新しい乗艦も……。
元・クレーメンス公爵元帥乗艦、戦略打撃戦艦ペテルギウス。
全長1852m全幅243mの巨大な戦闘艦だ。
俺たちが逃げるときに乗ってきた船だ。
星間ギルドに頼み、最低限の乗員をかき集めた。
「いざ、母なる地球ってか!?」
俺はトールの奴と別れ、アルデンヌ星系にあるワームホールを目指した。
☆★☆★☆
「……な、ない!?」
「ワームホールがないぞ?」
俺は目をこする。
地球に繋がるワームホールがない。
すぐさま、トールの奴に連絡をとった。
「トロストさん、ワームホールってのは気まぐれなんです。ときたま現れては消えてって感じなんです」
「じゃあ次はいつ現れるんだ?」
「明日かもしれませんし、何万年後かもしれません」
「……ふ、ふざけんなよ!」
俺はモニターに怒鳴りつけ、通信を切った。
地球で神になる以外、俺にふさわしい仕事ってないぞ?
「……ああ、ワームホールが現れるまで、この世界の神にでもなっておくか……」
俺にはカリバーン帝国国有企業の株式がある。
この財力をもってして成りあがってやるぜ!
俺は仕方なく、この日からこの世界の神を目指すことにした。
――翌年、標準歴4年4月。
トロストという男が、突如グングニル共和国の地方星系の議員として当選した。
☆★☆★☆
――標準歴5年1月。
ハンニバル開発公社は、ラム星系周辺の開発と発展に成功。
カリバーン帝国第二の巨大企業となった。
その利益に伴い、ハンニバルも大改修を行う。
防御力を中心に底上げし、全長1600m級の双胴の艦体は、半ば動く要塞と化してきた。
さらには、内部に兵器工廠や研究開発室も設けていた。
「大きいポコ♪」
「大きすぎて入港できない宇宙港も出てきたクマね」
「ふむう」
……まぁ、そういうところは衛星軌道上にとめて、シャトルで乗り降りするしかないね。
大きいのも不便なこともある。
「とりあえず試験航海にでますか?」
「賛成ポコ!」
「乗ってあげるニャ!」
「楽しみですわ♪」
そうなのだ、実は今回、遂に艦隊司令官席を作ったのだ。
……実は、退役してしまったので、司令官ではなくなったのだが。
司令官席はフカフカの椅子にしてみた。
リクライニングで気持ちがいい。
戦闘中に寝たらダメだよね……。
その後、ハンニバルは周辺星域を航行。
各星系の資源調査に赴いた。
資源はいくらあっても良かったためである。
その後、ハンニバルは塗装される。
カリバーン帝国の所属艦艇としての基本色である藍色に塗られた。
艦艇ナンバーは、BB1001。
現在は無き栄光の第十艦隊の戦艦一番艦という意味合いだ。
……あの激しかった帝国の内乱戦争の影も少しずつ消えている。
時がたつのは早いものだった……。
☆★☆★☆
準惑星ツーリアの地方局の放送を見ていると、臨時ニュースが入る。
『……先ほど、グングニル共和国で大規模な反乱が起きました!』
他所の国など、今はどうでもいいような気がしたが、どうやら最高議会が占拠されたらしい。
……いわゆるクーデターというやつだろうか?
「提督!」
「……あ!?」
ニュース画面を見て、副官殿と一緒に驚く。
そのクーデターの首謀者は、元カリバーン帝国宇宙艦隊所属のトロスト中将だった。
……トロストはどうやら議員であったらしく、安易に議会に入れたようだった。
驚いたことに、彼に同調するグングニル共和国議員も多く、単純に武力クーデターといった様相でもなかった。
クーデター側の主力兵は昆虫型の非人族。
ある種の非人族型の反乱要素もあったようだった……。
「栄光あるグングニル共和国の威信を取り戻す!」
すぐにトロストは、グングニル共和国暫定政府の首班に指名され、翌日には大統領に就任した。
彼は疲弊したグングニル共和国の経済と財政を立て直すらしい。
……しかし、その方針は奇抜だった。
「まずは金持ち星系のラヘル星系を攻略する!」
この世界の大商都といわれるラヘル星系は、確かに富の偏在する場所であったが、そこはグングニル共和国の領土である。
自国の領土に、武力侵攻するという、トンデモ政策であった……。
これにはラヘル星系の地方政府が驚き、すぐさまカリバーン帝国に助けを求めた。
しかし、以前、ラヘル星系ではカリバーン帝国軍は痛い敗北をしていたのだ。
今回、その星系を逆に守ってくれという話だった。
……まさに、昨日の敵は今日の友といった様相だった。
カリバーン帝国は人道支援という名目で、軍を派遣することとなる。
……そして、その分防備が薄くなった帝都の守りとして、臨時にハンニバルは首都星系アルバトロスの守りに就くこととなった。
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