141 / 148
【第四章】さらば地球、遥かなる銀河へ
第百四十一話……ヴェロヴェマ元帥 VS 大要塞リヴァイアサン
しおりを挟む
「マイクロ・クエーサー砲発射用意!」
「目標、シェリオ伯爵が乗る旗艦のみ! 収束して狙え!」
「了解!」
「現在、エネルギー充填率24.2%」
「それだけあれば十分だ!」
「発射せよ!」
「はっ!」
「……3」
「……2」
「……1」
「発射!」
――ズズズゥゥゥ
解き放たれた膨大なガンマ線の収束光軸が、シェリオ伯爵が座乗する戦艦を、背後から突き刺さる。
一瞬で装甲板を吹き飛ばし、機関部などバイタルエリアに貫通、連鎖爆発を起こし、すぐに光球を解き放って轟沈した。
「敵艦撃沈確認!」
「よし、よくやった!」
「残りの敵艦は、降伏の意向のようです!」
「許可してやれ!」
「はっ!」
ハンニバルは地球への航路まで、単艦で強行軍してきた。
新型エルゴ機関AAA-1型をフル稼働して、連鎖跳躍を繰り返してきたのだ。
艦隊で動く速度の5~6倍の速度は出たと思う。
敵が驚いたことは想像に難くなかった……。
「エンジンが燃えるクマ~!?」
「機関部へ消火班を急いで派遣してポコ!」
「了解!」
ハンニバル側にも、機関部にかなりの負担があったのは事実だったが……。
戦いには勝ったが、ハンニバルも機関部から煙をだしていた。
☆★☆★☆
(……戦闘2時間後)
「提督、あれをご覧ください!」
「お?」
「惑星破壊砲ポコね!」
砲術長がいうとおり、クレーメンス達が持っていた惑星破壊砲は、シェリオ伯爵が地球の近くまで運んでいたようだった。
2kmの長砲身砲の艦長も、私に降伏を打診してきていた。
……もちろん受諾する。
「何に使うつもりだったポコね?」
……Σ( ̄□ ̄|||)
それは怖くて、想像したくない。
「しかし、敵はもう惑星破壊砲を持っていないのではありませんか?」
「あ、そうか!?」
……副官殿に言われて、はっと気づく。
情報筋に寄れば、惑星破壊砲の製造は二基。
一基は以前にハンニバルが破壊していたのだ。
ひょっとして、クレーメンス側は、もう惑星破壊砲を持っていない?
……これは戦略的に凄く大切なことだった。
クーデター以後、さして戦力を持っていないクレーメンス側が多数の星系を支配していたのは、この砲の影響だったのだ。
惑星を安易に残骸にできるこの砲の威力の前には、有人惑星の為政者が歯向かえないのは自明の理だったのだ……。
「このことは、すぐにパウリーネ様にお伝えしろ!」
「わかりましたわ!」
副官殿をとおして、セイレーンの首都星に情報を送る。
この情報が元で、クレーメンス側に与していた諸星系は、次々にパウリーネ様側に鞍替えしていった。
たかが兵器かもしれないが、戦略兵器が政治情勢に与える影響は、とても大きかったと考えられる証左でもあった。
……こうして、我々の前線は、敵首都星であるアルバトロスの近くまで前進することとなった。
☆★☆★☆
「元帥閣下! 是非我々もお味方に加えてください!」
「承知した、是非よろしく願いしたい!」
地方星系の私兵や、星系防衛隊を糾合していった我々は、600隻を超える大艦隊となっていた。
目の前に立ちはだかるのは、旧帝都アルバトロスを守護する大要塞リヴァイアサンだった。
これを陥落させねば、クレーメンス派を倒すことは出来ないのだ。
……皆、大要塞を前に、緊張感が走った。
「敵要塞に降伏の意思なし!」
「しかたない、攻撃を開始する!」
「両翼のミサイル艦艇を前進させろ!」
「了解!」
私はこの時までに、100隻を超えるような艦隊を指揮したことは無い。
常にハンニバルは前線に立ち続け、敵をなぎ倒していったのだ。
……しかし、
「元帥閣下が敵前に出ることはありませぬ!」
「後方で我らの戦いを督戦してくだされ!」
「……あそう?」
という感じで、主に最近にこちら側に降った地方星系の軍人たちに宥めすかされ、後方でぼんやりする羽目になっていた……。
「後方の空母から艦載機を繰り出せ!」
「了解!」
「第一攻撃隊発艦!」
……勇ましい通信は入って来るが、出番がない。
安全なところで艦載機を発艦させる空母の更に後ろにハンニバルはいたのだ……。
「暇ポコね~」
「しーですわ!」
「ごめんポコ」
退屈すぎて、副官殿におこられる砲術長殿。
私も先ほどから、あくびを3つもかみ殺していたのだ。
「ヴェロヴェマ元帥殿! 遅れての参陣、申し訳ありませぬ!」
「いえいえ、お味方はいくらあっても足りませんよ」
……優勢な方には次々と戦力が集う。
リヴァイアサン要塞に攻撃を開始したのちも、こちら側に味方することに決めた有力者がドシドシと集まってきた。
……しかし、
「旦那様! 補給物資が足りなくなりますぞ!」
「ああ、そっちの問題が出たか……」
ヨハンさんに言われ、前線の部隊に対して、物資が足らなくなり始めたことに気づく。
我々の戦力は僅か数日で、約5倍以上にも膨らんでいたのだ。
……このことは逆に、後方の補給線には、5倍の負担がかかることをしていたのだった。
「敵襲!」
「後方の輸送艦がやられました!」
……(´・ω・`) げげげ、
戦いは一筋縄にはいかなかった……。
「目標、シェリオ伯爵が乗る旗艦のみ! 収束して狙え!」
「了解!」
「現在、エネルギー充填率24.2%」
「それだけあれば十分だ!」
「発射せよ!」
「はっ!」
「……3」
「……2」
「……1」
「発射!」
――ズズズゥゥゥ
解き放たれた膨大なガンマ線の収束光軸が、シェリオ伯爵が座乗する戦艦を、背後から突き刺さる。
一瞬で装甲板を吹き飛ばし、機関部などバイタルエリアに貫通、連鎖爆発を起こし、すぐに光球を解き放って轟沈した。
「敵艦撃沈確認!」
「よし、よくやった!」
「残りの敵艦は、降伏の意向のようです!」
「許可してやれ!」
「はっ!」
ハンニバルは地球への航路まで、単艦で強行軍してきた。
新型エルゴ機関AAA-1型をフル稼働して、連鎖跳躍を繰り返してきたのだ。
艦隊で動く速度の5~6倍の速度は出たと思う。
敵が驚いたことは想像に難くなかった……。
「エンジンが燃えるクマ~!?」
「機関部へ消火班を急いで派遣してポコ!」
「了解!」
ハンニバル側にも、機関部にかなりの負担があったのは事実だったが……。
戦いには勝ったが、ハンニバルも機関部から煙をだしていた。
☆★☆★☆
(……戦闘2時間後)
「提督、あれをご覧ください!」
「お?」
「惑星破壊砲ポコね!」
砲術長がいうとおり、クレーメンス達が持っていた惑星破壊砲は、シェリオ伯爵が地球の近くまで運んでいたようだった。
2kmの長砲身砲の艦長も、私に降伏を打診してきていた。
……もちろん受諾する。
「何に使うつもりだったポコね?」
……Σ( ̄□ ̄|||)
それは怖くて、想像したくない。
「しかし、敵はもう惑星破壊砲を持っていないのではありませんか?」
「あ、そうか!?」
……副官殿に言われて、はっと気づく。
情報筋に寄れば、惑星破壊砲の製造は二基。
一基は以前にハンニバルが破壊していたのだ。
ひょっとして、クレーメンス側は、もう惑星破壊砲を持っていない?
……これは戦略的に凄く大切なことだった。
クーデター以後、さして戦力を持っていないクレーメンス側が多数の星系を支配していたのは、この砲の影響だったのだ。
惑星を安易に残骸にできるこの砲の威力の前には、有人惑星の為政者が歯向かえないのは自明の理だったのだ……。
「このことは、すぐにパウリーネ様にお伝えしろ!」
「わかりましたわ!」
副官殿をとおして、セイレーンの首都星に情報を送る。
この情報が元で、クレーメンス側に与していた諸星系は、次々にパウリーネ様側に鞍替えしていった。
たかが兵器かもしれないが、戦略兵器が政治情勢に与える影響は、とても大きかったと考えられる証左でもあった。
……こうして、我々の前線は、敵首都星であるアルバトロスの近くまで前進することとなった。
☆★☆★☆
「元帥閣下! 是非我々もお味方に加えてください!」
「承知した、是非よろしく願いしたい!」
地方星系の私兵や、星系防衛隊を糾合していった我々は、600隻を超える大艦隊となっていた。
目の前に立ちはだかるのは、旧帝都アルバトロスを守護する大要塞リヴァイアサンだった。
これを陥落させねば、クレーメンス派を倒すことは出来ないのだ。
……皆、大要塞を前に、緊張感が走った。
「敵要塞に降伏の意思なし!」
「しかたない、攻撃を開始する!」
「両翼のミサイル艦艇を前進させろ!」
「了解!」
私はこの時までに、100隻を超えるような艦隊を指揮したことは無い。
常にハンニバルは前線に立ち続け、敵をなぎ倒していったのだ。
……しかし、
「元帥閣下が敵前に出ることはありませぬ!」
「後方で我らの戦いを督戦してくだされ!」
「……あそう?」
という感じで、主に最近にこちら側に降った地方星系の軍人たちに宥めすかされ、後方でぼんやりする羽目になっていた……。
「後方の空母から艦載機を繰り出せ!」
「了解!」
「第一攻撃隊発艦!」
……勇ましい通信は入って来るが、出番がない。
安全なところで艦載機を発艦させる空母の更に後ろにハンニバルはいたのだ……。
「暇ポコね~」
「しーですわ!」
「ごめんポコ」
退屈すぎて、副官殿におこられる砲術長殿。
私も先ほどから、あくびを3つもかみ殺していたのだ。
「ヴェロヴェマ元帥殿! 遅れての参陣、申し訳ありませぬ!」
「いえいえ、お味方はいくらあっても足りませんよ」
……優勢な方には次々と戦力が集う。
リヴァイアサン要塞に攻撃を開始したのちも、こちら側に味方することに決めた有力者がドシドシと集まってきた。
……しかし、
「旦那様! 補給物資が足りなくなりますぞ!」
「ああ、そっちの問題が出たか……」
ヨハンさんに言われ、前線の部隊に対して、物資が足らなくなり始めたことに気づく。
我々の戦力は僅か数日で、約5倍以上にも膨らんでいたのだ。
……このことは逆に、後方の補給線には、5倍の負担がかかることをしていたのだった。
「敵襲!」
「後方の輸送艦がやられました!」
……(´・ω・`) げげげ、
戦いは一筋縄にはいかなかった……。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる