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【第四章】さらば地球、遥かなる銀河へ

第百四十話……ヴェロヴェマ元帥、転戦中!

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――翌日。





「……え? またそんな話かよ?」

「すいません」



 私は頭をかく。

 私がクリームヒルトさんの件を相談したのは、蛮王様だった。





「……ふむう」

「他の方には内密にお願いしますね」



 私が話すことに頷く蛮王様。

 変にバレては、副官殿が危険になると思い、内緒にと釘を刺した。





「しかし、後方に匿っても変に見られるだろうしなぁ……」

「とりあえず、いまのままでいいんじゃないのかぁ?」



 ブタ族の蛮王様は、ブヒブヒとそう言ってくれた。

 結論は出なかったが、相談できただけで胸のつかえがとれた。





「それとは別に、元帥昇進おめでとう!」

「ありがとうございます!」



 昔、一緒に苦労した仲だけに、御祝の言葉も嬉しかった。

 その晩、私たちは再び沢山のお酒を飲んだのだった……。







☆★☆★☆



「ヴェロヴェマ元帥よ、麾下の艦隊を率い、逆賊クレーメンスを追討し、もって帝国領土を開放せよ!」



「はっ!」



 首都星セイレーンの宮殿にて、皇帝パウリーネ様より受けた命令は、帝国領土奪還だった。

 命令というより、長期方針という形に近かった。



 しかし、クレーメンスの勢力がグングニル共和国と戦っているので、これを攻める好機でもあったのだ。





「至急、幕僚を集めてくれ!」

「わかりましたわ!」



 副官殿が応じる。



 カリバーン正統政府、宇宙艦隊の陣容は以下の通りだった。





宇宙艦隊司令長官……ヴェロヴェマ元帥

総参謀長……空席



◎第十艦隊司令官……ヴェロヴェマ元帥

幕僚長……クリームヒルト准将

砲術参謀……ポコリーヌ大佐

整備参謀……熊三郎大佐

兵站参謀……ヨハン中佐



〇第一戦隊司令……司令官直卒、麾下50隻

・第一支隊長……アンナ少佐、麾下5隻

・第二支隊長……レーナ少佐、麾下5隻



〇第二戦隊司令……マルガレーテ大佐、麾下25隻

〇第三戦隊司令……バフォメット大佐、麾下25隻

〇第四戦隊司令……アルベルト大佐、麾下25隻



◎首都星系防衛艦隊司令官……パルツァー中将、麾下80隻





 ……まぁ、艦隊と言っても、現在は2艦隊しかないのだ。

 新設艦隊でも創るべきだろうか?



 それには、人材と艦艇が足りない気がする。

 現在、各星系に防衛隊を配備している。

 もし、新設艦隊を創るなら、星系防衛隊が手薄になる恐れがあったのだ。







☆★☆★☆



(……二か月後)





「全艦砲撃開始!」

「主砲斉射ポコ!」



 ハンニバルと第十艦隊主力は、マールボロ星系外縁部に進出。

 逆賊クレーメンス側の守備艦艇を、開戦後30分で一蹴した。



「敵艦隊の降伏を確認!」

「了解!」



「以後、占領戦に移行する!」



「惑星地上軍に連絡! 惑星揚陸艦前へ!」

「了解! 惑星揚陸艦前進します!」



 惑星地上軍を統率するシャルンホルスト中将に、連絡を出す。

 地上軍は艦隊支援の下、上陸に成功した。





「艦載機発艦! 地上軍を支援せよ!」

「了解! 第一、第二爆撃隊発艦!」



 その後、第十艦隊は恒星系内を概ね制圧。

 惑星地上軍に後を任せた。





 さらに進撃予定の中……、





「提督! 緊急通信です!」

「どうした? どこからだ!?」



 一体どこからだろう?

 後方には十分の戦力を残してきたのだ。



 慌てる必要もなさそうに思えたのだが……。





「地球からだそうです!」



 Σ( ̄□ ̄|||) また、ソッチか!?







☆★☆★☆



「ワームホール外縁部機雷原の破壊完了!」





「……くっくっく、ヘガクサイの奴め、こっちが手薄なんだよ、馬鹿が!」

「クレーメンスの奴なんかしったことか!」

「ゲームの世界から、こんな簡単に地球に来れる方法があったなんてな!」



 俺様は、ワームホールの向こう側の青い地球を眺める。

 ……これから真っ赤に燃える地球にしてやるぜ!





「シェリオ様! N国政府より通信、『講和の条件を問う!』とのことです!」



「そんなものはないと伝えよ! 熱いバトルあるのみだぜぇ!」



 ……俺様はこの日の為に、牢屋の中にいた宇宙海賊たちを連れて来ていた。

 どいつもこいつも悪役ぞろいの風貌だ。





「野郎ども! これから奪った土地は、全てお前たちのものだ!」



「やったぜ! 流石はシェリオ伯爵!」

「ひゃほい!」



 ……ふふふ、宇宙海賊たちの猛者は、意気揚々だな。

 楽しめそうだな!





「降下シャトル用意!」

「敵防衛設備へは、衛星軌道上から徹甲弾をお見舞いしてやれ!」



「了解!」





 トロストの奴みたいに、N国の支配者の椅子なんていらねぇ……。

 破壊と殺戮あるのみだぜ!!





 俺様はまず、地球ある自分の体を救出させた後、攻撃命令を下した。

 トロストの奴のやり方を踏襲したのだ。





 ……まぁ、ヘガクサイの奴が救国の英雄の国だ。

 遠慮なんて要らん。

 全部が燃えてしまえばいい……。





「あははは……!! N国民よ、逃げまどえ!」



 俺様はN国上空から、各都市の惨状を眺めた。





「いいワインがあっただろ? あれをもってこい!」



「はっ!」



 ……俺様は、最高の肴で美味しい酒を愉しんだ。

 そのうち、奴等は全てを投げうって、俺様に助けを乞うのだ……。



 それまで、恐怖に逃げまどうがいい。





「後方に高エネルギー反応!!」



「ん!? どうした? 何者だ!?」



「艦種照合! 装甲戦艦ハンニバルです!」



「……げぇ!? 早すぎだろう!」
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