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【第三章】燃え盛るカリバーン帝国

第百二十七話……外務省の会見劇

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――グングニル共和国艦隊は、クレーメンス帝国の生体艦隊に苦戦していた。





「敵影確認!」

「敵、甲殻型宇宙海獣28体、軟体型宇宙海獣47体!」



 クレーメンス帝国の操る生物は、超巨大なカニやエビのような甲殻類の宇宙海獣と、同スケールのイカやタコのような宇宙海獣で構成されていた。





「全艦艇、総力戦用意!!」

「全砲門開け! 主砲斉射!」



 戦艦や重巡洋艦の大口径ビーム砲の光条が、宇宙海獣たちを次々に襲う。

 凄まじいエネルギー量が、大質量体に叩きつけられた。



 しかし、超硬質の外皮や、超再生力の軟体にほとんど効果は現せなかった。





「命中確認、されど効果極小を確認!」



 砲術担当士官からの情報を聞き、グングニル共和国の指揮官の表情は歪む。





「ここより後背は、人口が多い有人星系だ! 撤退は許されん!」



「了解! 砲戦継続!」

「ミサイル発射!」



 しかし、効果は虚しく……、





「敵触手に、次々に高エネルギー反応確認!」



「いかん! 全エネルギーをシールドに回せ!」

「了解!」



 ……しかし、この後に共和国艦隊は残骸と化し、宇宙の藻屑となった。



 クレーメンス帝国艦隊は更に、惑星攻撃戦を展開。

 抵抗する有人惑星には、惑星破壊砲を使い、容赦なく粉々にしていったのだった……。







☆★☆★☆



「えっさ、ほっさ」

「今度の領主さまは良い人だべな」



「んだべ」



 惑星ベルの地表は、海面が多く陸地は少なかった。

 しかし、誘致民の増加により、どんどん農地が広がり、今期の予想食料生産高がうなぎ登りだった。





「旦那様、緑が広がっていきますな!」



「……ああ、奇麗だな」



 私は都会育ちだったので、田舎暮らしに憧れたこともある。

 だが、そのほのぼのとした理想の情景は、目の前に実現された形で広がっていた。



 澄んだ小川に水車が回り、黄金色の耕作地が広がっていた。







☆★☆★☆



「造船の具合はどう?」

「順調クマ♪ 人手不足が解決して嬉しいクマ♪」



 移民の大量受け入れで、従業員が補充された造船部門のクマ整備長はご機嫌だった。

 彼の整備服は油で汚れ、充実した忙しい様がよくわかる。



 ここ準惑星ツーリアは、惑星ベルと違い、自然が乏しい岩石惑星である。

 よって、造船を中心とした工業を重視させていた。



 そのための資源調達を行うために、宇宙港を整備し、商人を呼び寄せた。





「いらっしゃい、いいお酒がはいってますよ!」



「お! いいな、寄らせてもらおうか!」



 その商人たちを相手にする飲食店が多く出店し、準惑星ツーリアは繁華街を伴った商業的宇宙港へと発展していた。





 その準惑星ツーリアには、ハンニバル専用の隠しドック施設がある。





「おかえりなさい!」

「おかえりポコ!」



 ここは、私の初めてのマイホームといった感じだった。

 地球においても、いつかは家を建ててみたいものだが、いまはここだけで十分だった。





「今日のご飯はなにかな?」



「ビーフシチューですよ♪」

「やったポコ!」



 私はここ準惑星ツーリアで、アンドロイドの副官殿とタヌキの砲術長殿と暮らしていた。

 この星は、元古代人の貴族の隠れ別荘で、とても居心地が良かったのだ。





「今日も美味しいね」

「美味しいポコ!」



「ありがとうございます、作り甲斐がありますわね♪」



「お替わりポコ!」

「わたしもください!」



「はいはい!」



 副官殿が作ってくれるご飯は、毎日美味しかった。







☆★☆★☆



 久しぶりに、ログアウトする。

 例の如く、シャワーを浴びて、出来合いのご飯を食べ、テレビでニュースを見るくらいの物である。



 ……テレビをつけると、向こうの世界の話をやっていた。





『我がN国の同盟国、クレーメンス帝国は素晴らしい国です!』



 政府外務省の報道官のコメントだ。



『彼らの行いは素晴らしく、地球から外部勢力を一掃してくれるに違いありません!』



 報道官にマスコミから、



『いつになったら彼らが地球に援軍に来てくれるのか?』



 ……ときかれ、



『可及的速やかに助けてくれる』



 と答えていた。



 ……それっていつになるのかと、いつも不安になるコメントなんだけどね。

 が、それは少し裏切られる。





『私が一か月後に何とかして見せます!』



 報道官に紹介された20代くらいの若い男が、突然そんな発言をし、皆を驚かせた。





『皆さん、私は金山豪というものです。向こうの世界で宇宙艦隊の提督をやっているものです!』



『おー!!』



 マスコミが一斉に食いつく。



 ……凄い奴だな、と正直に思う。

 自分だったら、あのようなところではしゃべる度胸はない。





 私の予想では、ワームホールの向こう側は、あのゲームの世界だと思う。

 それがなぜ、現実世界とつながりをもてているのかもわからない。



 ……多分、この金山という人間はゲームをしている人間ではないかと思う。

 どうやら、クレーメンス帝国の提督の様だ。





「……まてよ」



 私はひとり呟く。



 私が知っているクレーメンス帝国の提督で考えると、リーゼンフェルト氏かトロスト氏ではないだろうか?



 ……たしか彼らは、敵対勢力の民衆を売却してるよな?





 そんな奴等が、はたして地球を救ってくれるのだろうか?

 私は急に不安になった……。

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