上 下
118 / 148
【第三章】燃え盛るカリバーン帝国

第百十八話……クリームヒルトの憂鬱

しおりを挟む
 今日の副官殿は私の膝の上。



 ……彼女の銀色のサラサラした頭髪を優しくなでる。





――彼女は悩んでいたのだ。



 帝国人民としての人口に、彼女たちバイオノイドやアンドロイドの人数は含まれない。

 しかし、人口10人に対し、アンドロイドは召使いなどに2人いると言われている。



 軍の兵としても存在するが、下士官になるまでは人数に入れてもらえない。

 惑星地上軍の中で存在するアンドロイドは2割と言われている。

 その中でも危険な機雷除去などの担当に回されるのだ……。





 ……そして、彼女の妹が本日戦死した。



 同期生産されたバイオノイド100体の内、今も健在なのはたった1体のみだった。

 一体とは、彼女のみになったということである。



 ……それだけ過酷な扱われかたをされる運命だったのだ。

 それゆえ、彼女はアンドロイドが平和に暮らせる自治領の拡充に勤しんでいるのだ。





「……もっと貯金をせねばなりませんわね!」



 彼女は涙を拭く。



「これを使っていいよ」



 そんな彼女に、私はへそくり用の通帳を差し出した。

 それは、いざという時の為にためていたものだ。



「え!?」

「クリームヒルトさんのお陰で、私は今や不肖にも大将閣下になることができた。それくらいお安いものだよ……」



「……う、うれしい」



「……え?」



「はずかしいから、二度は言えませんよ」



 少し涙が流れる彼女の頬は、いつもより桜色だった気がした……。



 彼女の頭を撫でる。

 その日の私は、とても幸せだったと記憶している……。



 ……窓の外の銀河は今日も奇麗だった。







☆★☆★☆



 今日は久々に地球でのアパートで起きる。

 もはやどこが我が家なのか分からない現状だ。



 郵便受けを漁り、やかんでお湯を沸かす。

 シャワーを浴びた後。PCをつけて、自分の情報を見る。





【DATE】



名前・ヴェロヴェマ



提督レベル・AAA級【UP】

称号・アンドロイドたちの英雄【NEW】



特定スキル・羅針眼

A級スキル・魔眼

S級スキル・邪眼



乗艦・装甲戦艦ハンニバル

階級・大将

爵位・子爵

領地・衛星アトラス、衛星ガイア、惑星ベル、準惑星ツーリア



艦隊戦スキル・A+【UP】

艦載機戦スキル・A【UP】

白兵戦スキルC

内政スキル・AA【UP】

艦船設計スキル・S【UP】





…………。

……。





 ……!? アンドロイド達の英雄ってなんだ??





 その後、海鮮を買ってきた一人鍋をつつき、奮発して買った吟醸酒を熱燗にした。

 贅沢なんだけど、一人だとなんだかおいしくないね……。







ピンポーン



 ……こんな時間に誰だろう!?

 ドアを開けると、小池勝議員の登場だった……。





「君ぃ! 帝国に反乱を起こすとはどういう了見だね?」

「N国民として恥ずかしくないのかね!?」



 いきなり部屋に上がり込み、まくし立てられる。





「いえいえ、私は悪くないんですよ!」

「なんだと!? 説明したまえ!」



 小池勝議員にどちらが帝国の正統政府かという説明を行う。

 リーゼンフェルト帝国たちの方が反逆者だと。

 ついでに、私もそこそこの地位に就いたことを話した。





「……本当かね? 君!?」



「本当だと思いますが?」



 議員は懐疑的な雰囲気だった。

 まあ、目の前の小僧が、宇宙艦隊のNO3だと聞いて素直に信じる人もいなさそうだが……。



 その後、議員はクリームヒルトさんに電話して、納得したようだった。

 ……むしろ、私に聞く必要なんてないよね (´・ω・`)





 議員は少し改まった感で、





「……でだな、帝国軍はいつ地球を解放してくれるのかね?」



「えと、当面予定はありません」



「馬鹿な!」



 議員は怒るが、もはやアルデンヌ星系が我が帝国領ではないのだ。

 ルドミラ教国の支配下であることを説明する。





「早く取り返えさんか!」



 大声で怒られる。

 流石に腹が立ったので、





「私ではなく、リーゼンフェルト提督に頼まれてはいかがでしょう?」



「そうだな、そうする! 君のような若造に頼んだ私が悪かった!」

「失礼するよ!」



 議員は秘書を連れて、怒って帰っていった……。

 秘書さんはちゃんと今回も一万円をこっそり置いていってくれた。



 ……うん、よくできた秘書さんだな。苦労してそうだ。







☆★☆★☆



「悪かった! この通りだ!」



 数日後、玄関に小池勝議員が登場してくるなり、謝られた。





「まぁまぁ」



 玄関で大声を出されても困るので、なだめる。

 どうやら、リーゼンフェルト提督と話して揉めたらしかった……。



 彼等はアルデンヌ星系どころではないだろう。

 ましてや地球のことなど、どうでもいいに違いない。





「……出来たら、帝国の要人を紹介してもらえないだろうか?」



 そう言い、私のズボンのポケットに沢山の一万円札をねじ込んできた。



 ……こ、これが政治の力か!? Σ( ̄□ ̄|||)





 お金の力に負けたわけではないが、後日にゲームの世界で、議員のアバターを再びツエルベルク星系までハンニバルで送っておいてあげた。



 ……あとの交渉は自力で頼むぞ。







 頂いた一万円で、地球のほうのステーキハウスに、生れてはじめて行ってみた。

 結果はおいしゅうございました…… (ノ∀`)



 ……その後、ゲームの世界でも、みんなをつれてステーキハウスに行ったのだった。

 やっぱり、みんなと食べる方が美味しいね。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

旧式戦艦はつせ

古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

身体交換

廣瀬純一
SF
男と女の身体を交換する話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

パーフェクトアンドロイド

ことは
キャラ文芸
アンドロイドが通うレアリティ学園。この学園の生徒たちは、インフィニティブレイン社の実験的試みによって開発されたアンドロイドだ。 だが俺、伏木真人(ふしぎまひと)は、この学園のアンドロイドたちとは決定的に違う。 俺はインフィニティブレイン社との契約で、モニターとしてこの学園に入学した。他の生徒たちを観察し、定期的に校長に報告することになっている。 レアリティ学園の新入生は100名。 そのうちアンドロイドは99名。 つまり俺は、生身の人間だ。 ▶︎credit 表紙イラスト おーい

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...