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【第三章】燃え盛るカリバーン帝国
第百十四話……高速船と帝国の忠臣たち
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現皇帝派と前皇帝派の暗闘激しい中、ハンニバルはアルデンヌ星系の哨戒についていた。
帝国の主力部隊は他方面で共和国軍とにらみ合っているために、この星系の哨戒は輪番制で行われていた。
我が偵察艦隊の編成はハンニバルとドラグニルの二隻のみである。
いわゆる燃料の節約だった。
「敵艦発見! 方位F-51」
「宇宙空母ドラグニル、艦載機発艦!」
宇宙空母の格納庫からエレベーターにてマルチロール機が姿を現す。
電磁カタパルトにて次々に発艦する。
「各隊、二機編隊を崩すな!」
「「「了解!」」」
敵の偵察艦は、ほどなくドラグニル艦載機によって機関を破壊されて停船。
拿捕した後、ハンニバルの簡易ドックに収納する。
……貴重な航行可能宇宙船だ。
一隻も無駄にはしたくない。
小さい船だが、修理すれば小型商船にはなるだろう。
このアルデンヌ星域は重要星系なので、各国の哨戒部隊が多数暗躍していた。
例えるなら、美味しい食べ物に群がるハエを追い払っていたのである。
「敵艦発見! 方位P-163」
「し、しかし、大きさが偵察艦ではありません!」
「艦体規模は!?」
「重巡洋艦の模様!!」
……偵察に重巡洋艦は大きい。
本格的な侵攻部隊の斥候だろうか?
此方は二隻しかいないのだが……。
「宇宙空母ドラグニルへ連絡! 艦載機を発艦させろ!」
「了解!」
今回はドラグニルの搭乗員の習熟訓練も兼ねている。
発艦、発艦、また発艦であった。
「艦載機部隊から連絡! 敵速度が速く捕捉不能!」
……艦載機で追えないほど速い巡洋艦!?
さらに、
「提督! 敵巡洋艦、急速接近中ですわ!」
「副砲の電磁レールガンで応戦せよ!」
「了解ポコ!」
しかし、敵艦は目を疑うような速さだった。
敵の接近を阻むはずの電磁レールガンの射線が追いつかず虚空を彷徨う。
「敵ミサイル多数発射!」
「いかん! 撃ち落とせ!」
「了解!」
敵超高速巡洋艦は此方へめがけて対消滅弾頭ミサイルを投射。
ハンニバルは回避に成功したが、鈍重な空母のドラグニルはその1発を甲板に受けた。
「ドラグニル大破! 格納庫炎上!」
Σ( ̄□ ̄|||) ぇ~!? 修理代が……。
「許さないポコ! 主砲斉射!!」
タヌキ砲術長が主砲に射撃指示をだすが、まんまと敵に逃げられてしまった。
その後、高速戦艦オムライスに援軍に来てもらうが、私の当番の内には例の巡洋艦は現れなかった。
「ムカつくポコ!」
「修理が大変クマ!!」
私はその後、空母の被害でクマ整備長にシコタマ怒られてしまった。
……その後、報告書を出したのだが、件の高速巡洋艦での被害がその後も続いたらしい。
主戦線から離れているので、対策が後回しになっているらしかった。
☆★☆★☆
先日の超高速巡洋艦は、帝国の情報局により正体が判明。
古代アヴァロンの超兵器シュトローム・ベッサムという発掘古代船だということが判明した。
船籍はルドミラ教国らしい。
ルドミラは共和国から独立して日が浅いため、個々の艦艇は弱いと考えられていたが、そうではない可能性もでてきた。
件の巡洋艦は、今度出会ったら、出来るだけ仕留めておきたいところだ……。
☆★☆★☆
帝国宰相となったクレーメンス公爵元帥は、ヴェロヴェマのような非人族に対して寛容では無かったが、とりたてて暴政を敷く人間ではなかった。
しかし、頂点に立つということは、強烈な孤独と猜疑心を生む。
彼は親族であるリーゼンフェルト上級大将を中心とする体制を強化し、独裁体制を強めた。
前皇帝パウリーネを信奉する惑星地上軍の重鎮バールケ大将と、同じく宇宙艦隊の重鎮ヘルツオーゲン大将は政治的圧力で無理やり予備役へと移された。
逆に、第六艦隊司令官のトロスト中将、第八艦隊司令官フライシャー中将、第九惑星地上軍団長クレーマン中将の三名はリーゼンフェルト派であったため厚遇される。
中立派は第一惑星地上軍団長キストラー中将、第五同軍団長ゾルガー中将、第七同軍団長デッセル中将。
残りの実戦指揮官である第二艦隊司令官ベーデガー中将、第四艦隊司令官キルンベルガー中将、第三惑星地上軍団長メッケンドルガー中将は、前皇帝パウリーネ派閥と言われていたため去就が注目されていた。
――そんな時節。
準惑星ツーリアにて、最近仲間になってくれたパルツアー少将から通信が入った。
「ヴェロヴェマ提督! 第三地上軍のメッケンドルガー様が、内々にお話があるとのことです!」
「……そうか、応接室に通してくれ!」
メッケンドルガー中将は、パルツアー少将の昔の恩師らしい。
顔位しか知らないが、こんな辺境まできてくれたのだ。
……重要な話だろうことは、容易に想像がついた。
応接室にて待つメッケンドルガー中将は、武骨な風貌な肉付きの良い小男だった。
白いひげが生えた頬には大きな傷がある風貌は、陸戦の勇者を彷彿とさせた。
「ヴェロヴェマ中将! パウリーネ様がご無事という噂は本当かね?」
「え?」
唐突に聞かれて、焦る。
……誰だ?
ばらしたのは?
ただ彼はとても皇帝を心配していた。
【邪眼】の判定は『真実』と出ていた……。
……彼も帝国が誇る忠臣だった。
帝国の主力部隊は他方面で共和国軍とにらみ合っているために、この星系の哨戒は輪番制で行われていた。
我が偵察艦隊の編成はハンニバルとドラグニルの二隻のみである。
いわゆる燃料の節約だった。
「敵艦発見! 方位F-51」
「宇宙空母ドラグニル、艦載機発艦!」
宇宙空母の格納庫からエレベーターにてマルチロール機が姿を現す。
電磁カタパルトにて次々に発艦する。
「各隊、二機編隊を崩すな!」
「「「了解!」」」
敵の偵察艦は、ほどなくドラグニル艦載機によって機関を破壊されて停船。
拿捕した後、ハンニバルの簡易ドックに収納する。
……貴重な航行可能宇宙船だ。
一隻も無駄にはしたくない。
小さい船だが、修理すれば小型商船にはなるだろう。
このアルデンヌ星域は重要星系なので、各国の哨戒部隊が多数暗躍していた。
例えるなら、美味しい食べ物に群がるハエを追い払っていたのである。
「敵艦発見! 方位P-163」
「し、しかし、大きさが偵察艦ではありません!」
「艦体規模は!?」
「重巡洋艦の模様!!」
……偵察に重巡洋艦は大きい。
本格的な侵攻部隊の斥候だろうか?
此方は二隻しかいないのだが……。
「宇宙空母ドラグニルへ連絡! 艦載機を発艦させろ!」
「了解!」
今回はドラグニルの搭乗員の習熟訓練も兼ねている。
発艦、発艦、また発艦であった。
「艦載機部隊から連絡! 敵速度が速く捕捉不能!」
……艦載機で追えないほど速い巡洋艦!?
さらに、
「提督! 敵巡洋艦、急速接近中ですわ!」
「副砲の電磁レールガンで応戦せよ!」
「了解ポコ!」
しかし、敵艦は目を疑うような速さだった。
敵の接近を阻むはずの電磁レールガンの射線が追いつかず虚空を彷徨う。
「敵ミサイル多数発射!」
「いかん! 撃ち落とせ!」
「了解!」
敵超高速巡洋艦は此方へめがけて対消滅弾頭ミサイルを投射。
ハンニバルは回避に成功したが、鈍重な空母のドラグニルはその1発を甲板に受けた。
「ドラグニル大破! 格納庫炎上!」
Σ( ̄□ ̄|||) ぇ~!? 修理代が……。
「許さないポコ! 主砲斉射!!」
タヌキ砲術長が主砲に射撃指示をだすが、まんまと敵に逃げられてしまった。
その後、高速戦艦オムライスに援軍に来てもらうが、私の当番の内には例の巡洋艦は現れなかった。
「ムカつくポコ!」
「修理が大変クマ!!」
私はその後、空母の被害でクマ整備長にシコタマ怒られてしまった。
……その後、報告書を出したのだが、件の高速巡洋艦での被害がその後も続いたらしい。
主戦線から離れているので、対策が後回しになっているらしかった。
☆★☆★☆
先日の超高速巡洋艦は、帝国の情報局により正体が判明。
古代アヴァロンの超兵器シュトローム・ベッサムという発掘古代船だということが判明した。
船籍はルドミラ教国らしい。
ルドミラは共和国から独立して日が浅いため、個々の艦艇は弱いと考えられていたが、そうではない可能性もでてきた。
件の巡洋艦は、今度出会ったら、出来るだけ仕留めておきたいところだ……。
☆★☆★☆
帝国宰相となったクレーメンス公爵元帥は、ヴェロヴェマのような非人族に対して寛容では無かったが、とりたてて暴政を敷く人間ではなかった。
しかし、頂点に立つということは、強烈な孤独と猜疑心を生む。
彼は親族であるリーゼンフェルト上級大将を中心とする体制を強化し、独裁体制を強めた。
前皇帝パウリーネを信奉する惑星地上軍の重鎮バールケ大将と、同じく宇宙艦隊の重鎮ヘルツオーゲン大将は政治的圧力で無理やり予備役へと移された。
逆に、第六艦隊司令官のトロスト中将、第八艦隊司令官フライシャー中将、第九惑星地上軍団長クレーマン中将の三名はリーゼンフェルト派であったため厚遇される。
中立派は第一惑星地上軍団長キストラー中将、第五同軍団長ゾルガー中将、第七同軍団長デッセル中将。
残りの実戦指揮官である第二艦隊司令官ベーデガー中将、第四艦隊司令官キルンベルガー中将、第三惑星地上軍団長メッケンドルガー中将は、前皇帝パウリーネ派閥と言われていたため去就が注目されていた。
――そんな時節。
準惑星ツーリアにて、最近仲間になってくれたパルツアー少将から通信が入った。
「ヴェロヴェマ提督! 第三地上軍のメッケンドルガー様が、内々にお話があるとのことです!」
「……そうか、応接室に通してくれ!」
メッケンドルガー中将は、パルツアー少将の昔の恩師らしい。
顔位しか知らないが、こんな辺境まできてくれたのだ。
……重要な話だろうことは、容易に想像がついた。
応接室にて待つメッケンドルガー中将は、武骨な風貌な肉付きの良い小男だった。
白いひげが生えた頬には大きな傷がある風貌は、陸戦の勇者を彷彿とさせた。
「ヴェロヴェマ中将! パウリーネ様がご無事という噂は本当かね?」
「え?」
唐突に聞かれて、焦る。
……誰だ?
ばらしたのは?
ただ彼はとても皇帝を心配していた。
【邪眼】の判定は『真実』と出ていた……。
……彼も帝国が誇る忠臣だった。
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