宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――

黒鯛の刺身♪

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【第二章】赤い地球

第百二話……第四惑星攻略作戦 ~可変式重雷撃機ケルベロス発艦せよ!~

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――古代アヴァロン王国。

 今より200万年前に滅んだとされる伝説の超古代文明。

 その文明は伝説であったのが、その文明の遺産が掘り出され、試験実用化されたことを契機に伝説ではなくなる。

 未だに、エルゴ機関を始めとして、現代の科学では生産し得ない機器を遺産から提供する超文明国家である。

 アヴァロン王朝の最後の王の娘が、ルドミラと言われており、ルドミラ教の女神として現在に伝わっている……。



【カリバーン帝国参謀大学資料】





……私は学習モニターを閉じる。



 一応は参謀大学の学生なので、通信制の授業を受けているのだ。

 難しい授業はまるで分らないが……。





「提督ご飯の時間ポコ!」

「は~い!」



 今日のサービスランチは何だろう?

 ハンニバルの乗組員食堂へと急いだ。







☆★☆★☆



「ヴェロヴェマ中将! 君の第10艦隊にアルデンヌ星系第4惑星カイの攻略を命ずる!」

「はっ!」



 病床にあるリーゼンフェルト大将より命令を受ける。



「君が第4惑星に攻撃した後に、主力である第2第4艦隊が地球に繋がるワームホールを守る防御施設を破壊する!」

「惑星カイに敵の眼を引き付けるのだ! 頼んだぞ!」



「はっ! 必ずやご期待に応えます!」



 超光速通信モニターのスイッチが切れる。

 ルドミラ教国への反攻作戦の開始だった……。







「例の通達は送っておいてくれた?」

「大丈夫でございますわ!」



「概ね良い返事が来ているポコ!」



 私は鹵獲した輸送艦隊の護衛艦であったビーム砲艦などを、辺境連合国家に点在する星間部族に分け与えた。

 その代わりに、私が出征するときには、その艦と共に参戦してもらう約束だった。



 現在、帝国は惑星上での地上兵力が足りず、兵員集めが急務だったのだ。





「参加部族の船は、ビーム砲艦19隻。ミサイル艦6隻の計25隻」

「他5隻は宇宙海賊の討伐に出ており、参加できないということですわ!」



「了解!」



 辺境の星間部族にとって、文明地からくる宇宙海賊は厄介な存在だった。

 追い払うにも武力たる宇宙船がなかったからだ。



 今回、それを与えていた形となった。

 ……もちろん、その船で反乱を起こされる可能性もあったのだが……。





 其の見返りとして、星間部族が味方として第10艦隊動員の時に馳せ参じてくれたのだ。





「総員、戦闘配置!」

「攻略目標はアルデンヌ星域第4惑星!」



 実質的な第10艦隊の初陣だった。







☆★☆★☆



「長距離跳躍完了!」

「敵影確認! 方位E-08」



「了解!」



 ハンニバル達第10艦隊はアルデンヌ星系外縁に到達する。

 しかし、そこへ敵側の星系防衛艦隊が殺到してきた。



 長距離跳躍を果たした後は、一時的なエネルギー不足になる。

 その時点を攻撃するのが、宇宙での艦隊戦の定石だった。





「ハンニバルを先頭に、防御用の紡錘陣形をとれ!」

「本艦はエネルギーのありったけをシールドに回せ!」



「了解!」



 ハンニバルを先頭に防御態勢をとる第10艦隊に、ルドミラ教国側の星系防衛艦隊の長距離砲火が襲い来る。





「初弾の大口径レーザー56条、全て電磁障壁で防ぎ切りました!」



「了解!」



 新型エルゴ機関AAA-1型のエネルギーを全て防御に回している。長距離跳躍後とはいえ、星系防衛部隊如きにはハンニバルの防御は破れなかった。





「第二波、来ます!」

「防御態勢を崩すな!」



「了解!」



――ズシィィィイイ。



「第二装甲区画損傷!」

「第八倉庫区画炎上!」



「消火急げ!」



 流石に、何時までも凌げるわけはない……。





「概ねの艦のエネルギーが、戦闘可能水準に回復しまわしたわ!」



「艦隊両翼伸ばせ! 反撃開始だ!」

「了解ポコ!」



 その後、第10艦隊は反撃の狼煙を上げる。



 初陣である星間部族の艦は、敵艦にプラズマ砲の暴風雨を叩きつけ、ハンニバルを発艦した艦載機群は、対滅式量子魚雷を敵艦の機関部に次ぎ次にお見舞いした。





「敵防衛艦隊、徹底していきますわ!」

「追撃いたしますか?」



「……いや、追うな!」

「敵本隊が来る前に第4惑星を強襲する!」



「了解!」





 第10艦隊は防御態勢がいまだ整わない、第4惑星への奇襲に成功した。







☆★☆★☆



「敵防御衛星、全機撃墜!」



 ハンニバルは素早く敵惑星の防御衛星を叩き落とす。

 その後、地上の防御施設にも艦対地ミサイルを発射した。



 ここは一時期、ハンニバル開発公社の所有だった惑星だ。

 勝手知ったる庭のような土地柄だった。





「大気圏戦闘用意! 逆噴射ブラスター稼働!」

「強行着陸開始!」



 第10艦隊は、敵惑星の宇宙港に次々に殺到。

 敵艦船の緊急発艦を阻害した。





「陸戦部隊突入!」

「ドラグニル陸戦隊に続け!」



 巨艦ハンニバルから陸上戦力が蟻のように湧き出て、敵宇宙港の建物に殺到する。

 あちらこちらで交戦が起きたが、準備と訓練の差が圧倒的だった。





「敵宇宙港の占領に成功いたしましたわ!」

「了解!」



「……で、敵司令部の位置は!?」



「ここから東北東280kmの山岳地の中の様です!」





 ……厄介なところにいるな。

 しかし、急いで攻撃しないと奇襲効果が薄れてしまう……。





「カタパルトにケルベロスを準備してくれ! 私が陣頭で指揮をとる!」

「了解!」



 風防ハッチを開け、可変式重雷撃機ケルベロスに乗り込む。

 この機体の初陣だった。





――勝つ!

 私は不安で震える足を抑え込み、管制に発艦の許可を求めた。

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