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【第二章】赤い地球

第九十八話……中将昇進!? 新設第10星間艦隊!

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「菱井君! なんとかならんかね?」



「……はぁ」



 国会議員の小池勝さんから電話がかかる。

 宇宙からの敵に何とかしてほしいとのことだが、何ともできない。



 どうやらグングニル共和国は、地球の南極の一部を軍事的に占領したようだった。

 地球世界の主要な空軍基地は攻撃を受けた後で、南極への反撃は難しいようだった。





「菱井君! 敵の敵は味方という! 地球を攻めてきた奴らに敵はおらんのかね?」



「……いることはいますよ」



「すぐ会わせてくれ!」



「……どうやってですか?」



「……」

「そうだ! 君がやっているゲームに私も入ればいいのだね?」



「ああ、その手がありましたか!」



 小池さんは早速に手続きをして、ゲームの世界に入ったようだった。

 ……ベータテスト用のアカウントはもう発行してないのに、どうやって入ったのかな?







☆★☆★☆



(……ゲームの中)



「菱井君! じゃなかったヴェロヴェマ君だったね!」

「……はぁ」



 ……早速、議員はやってきた。





「早速、君の上官に会わせたまえ!」

「はい」



 議員をハンニバルの超高速通信室にお通しする。

 通信の相手はリーゼンフェルト大将をお呼びしてあった。





「少将、大切なお客様とは彼かね?」

「はっ! 地球という惑星のN国の国会議員であります!」



 紹介すると、議員は私に退室するようジェスチャーする。





「では、私は下がっております!」

「うむ!」



 議員は満面の笑みだ。

 私は静かに退室した。

 議員はそれから3時間はリーゼンフェルト大将と話をしていたらしい。







☆★☆★☆



「菱井君! 彼は平和というものがわかっとらんね!」

「……はぁ」



 リーゼンフェルト大将に通信を打ち切られ、ご機嫌斜めの議員様。

 それに相変わらず生気のない返事をする私。

 議員様はリーゼンフェルト大将にお冠の様だった。





「彼は同盟するなら、彼の国が攻められたときは共同戦線を張る様にと言われたぞ!」



「……はぁ」



「我が国は平和を貴ぶから、他国の防衛戦争には参加できんのだ! 君もわかっとるよね?」



「わかってますけど、私にはどうにもならないので……」



「……うぬぬ」

「そうだ、帝国というからには皇帝がいるのか?」



「いらっしゃいますよ!」



「すぐに会わせたまえ!」



「……はぁ」



 仕方がないので、帝都バルバロッサがあるツエルベルク星系までのチケットを手配。

 あとは自分で頑張ってもらうことにした。







「あの偉そうな人はだれだったポコ?」

「う~ん、偉そうじゃなくて、偉い人かな?」





 ……この世界は戦国時代のようなものだ。

 たしかに議員の言う通り平和は大切だが、それだけだと相手が納得しない世界の様だった。







☆★☆★☆



 その後、なんとN国とカリバーン帝国は秘密軍事同盟を締結してしまった。

 ……何があったのかは、全く分からないのだが。



 すぐさま、アルデンヌ星系をグングニル共和国から奪還して、地球にあるN国を救出するという作戦が発動された。



 作戦の総司令官はリーゼンフェルト大将。

 さらに同盟軍として、ルドミラ教国艦隊が援軍として参戦してくれる。





 私にも総司令部のクレーメンス公爵元帥から通信が来た。





「ヴェロヴェマ君! 君にも出動してもらう!」

「はっ! 第六戦隊を率います!」



「違うな、君は今日から星間艦隊司令官で中将だ!」

「はっ??」



「N国への橋渡しとしての君が、少将では政治的に不味いのだ。任命式は後日やるから、君は今日から帝国軍第10星間艦隊司令官だ!」



「はっ!」



「麾下の編成は後日伝える。戦闘の準備をしておいてくれ!」



「はっ!」



 ……またもやよくわからない理由で昇進してしまった。

 星間艦隊司令官!?

 良い響きかもしれない……。







☆★☆★☆



「昇進おめでとうございますわ!」

「昇進おめでとうポコ♪」



「あ……ありがとう」



 私の昇進に伴い、副官のクリームヒルトさんは大佐。タヌキのポコリーヌ砲術長は中佐に昇進した。





「できれば、戦功で出世したかったなぁ」



「それは無理ですわ! その短い軍歴で、参謀大学校を出ずに中将はありえませんわ!」

「中将凄いポコ!」

「給料があがるニャ!」



 ……ぉ!

 下世話ながら、中将の給料を調べてみた。





「凄いニャ♪」

「お金持ちクマ♪」



 ……なんと、星間艦隊司令官の中将の基本給は200万帝国ドル(約2億円)で、さらに諸手当やら賞与が別にある。

 プロ野球選手にでもなった気分だった……。





「よし! 今日の昼の食堂は奢っちゃうぞ!」



「「「やった~♪」」」



 ……しかし財布には小銭しか入っておらず、食堂でツケにしてもらった (´・ω・`)







☆★☆★☆



 私の指揮する新設第10艦隊指揮下の星域。



・レオナルド星系

・フェーン星系

・ドラグニル星系

・ラム星系



 いわゆる辺境星域を纏めただけの新設艦隊だった。

 ……人族でない中将は私だけらしいし、これはこれで気が楽で良いのかもしれなかったが。





〇帝国第10艦隊



・艦隊司令官・ヴェロヴェマ中将



・参謀兼副官・クリームヒルト大佐

・砲術戦参謀・ポコリーヌ中佐

・白兵戦参謀・アルベルト大尉

・整備参謀・熊三郎大尉

・内務参謀・ヨハン大尉



☆第一戦隊(直卒)

・戦隊司令・ヴェロヴェマ中将



旗艦・装甲戦艦ハンニバル

麾下、軽巡2・駆逐4





☆第二戦隊

・戦隊司令・マルガレーテ少佐



旗艦・ミサイル型新鋭巡洋艦オムライス

麾下、駆逐4隻





☆第三戦隊

・戦隊司令・バフォメット少佐



旗艦・強襲型新鋭巡洋艦ジンギスカン

麾下、駆逐4隻



他・中型輸送艦2隻、弾薬補給艦1隻



 一見少ないように見えるが、長距離跳躍が出来ないミサイル艦やビーム砲艦をハンニバルの簡易付属ドックで輸送するため総数は増える予定。
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