74 / 148
【第二章】赤い地球
第七十四話……謎の惑星【前編】
しおりを挟む
ハンニバルの艦橋でカップ麺を啜っていると報告が入る。
「提督! 新規惑星が発見されました!」
「なんだと?」
「お宝ニャ?」
ヴェロヴェマ子爵領であるラム星系にて、新規惑星が発見された。
報告を詳しく聞くと、実は惑星と言っても、かなり小さい部類に入る大きさのようである。
惑星ベルからの距離はちょうど地球と天王星ほど離れており、不規則な楕円軌道を公転していた為に今まで発見できなかったようだった。
そもそも、帝国の情報部は惑星ベルに関しても、調査がいい加減なのである。
現状、惑星が一つの星系といっても、鵜呑みにするわけにはいかなかった。
「早速調査ポコ!」
「調査するクマ!」
タヌキ砲術長とクマ整備長は既にやる気まんまんで、仲良く浮き輪や水中眼鏡を装備している。
調査に行った先に、必ずしも水や海があるとは限らないのだが……。
「しゅっぱ~つ!」
「しんこ~う♪」
半ばハイキングのような面持ちのハンニバルの幕僚諸氏。
私が軍を非常勤になってからというもの、怖い上官に出合うこともない。
軍にあるまじき空気となっていた……。
「目標ロスト!」
「!?」
「目標惑星がレーダーから消えました!」
「ぽ……ポコ?」
……な、馬鹿な!?
ハンニバルのレーダーは軍用に耐えうる対ステレス用の探信装置である。
敵艦ならともかく、普通の天体の捕捉を失敗するとは考えられなかった……。
「目標の天体を再度捕捉!」
「し、しかし……再びロスト!」
「!?」
……これはヤバいな。
「警戒態勢発令!」
「「「了解!」」」
私は警戒態勢をとることにした。
小さな惑星かと思って近づいたら、大型の敵艦だったってこともあり得るからだ。
「目標、副砲射程に入ります!」
「……さらに距離縮まります!」
「……距離至近! 逆噴射開始!」
「なんでしょう? あれは?」
「奇麗ぽこ♪」
ハンニバルの艦橋から見えた謎の星は、ところどころ美しい鏡面加工が施されているように見えた。
……むしろ人工物なのか!?
「高エネルギー反応! 至近!!」
「電磁障壁出力最大!!」
突如、衝撃と閃光がハンニバルの艦橋を襲う。
「第二主砲塔破損!」
「消火班急げ!」
「敵はどこだ?」
「あの惑星ぽこ!?」
タヌキ砲術長が指さす先に、謎の惑星の岩盤部からレーザー砲塔が顔を覗かせていた。
さらに、岩盤があちこち割れて、次々にレーザー砲台が姿を現す。
「後退! 緊急離脱!」
「反撃用意!」
「任せろポコ!」
「前部砲塔群、射撃準備!」
謎の惑星からのレーザービームが、次々にハンニバルに着弾する。
今回は不意を突かれてはいないので、ある程度は電磁障壁が防いでくれた。
「砲撃開始!」
「撃てポコ!」
タヌキ砲術長の命令一下、ハンニバルの艦体前部の近接戦用砲塔群が次々に火を噴く。
実弾兵器も多かったので、無数の薬莢がバラまかれた。
「敵砲塔沈黙!」
「やったポコ?」
弾幕が晴れた下から覗いてきたのは、今度は無数のミサイル発射機群だった。
あれよあれよという間に、次々にハンニバルに向けてミサイルが発射される。
「対ミサイル防衛!」
「重力シールド展開!!」
「対空VLS発射ポコ!」
「イージス・ガトリング斉射開始!」
謎の惑星とハンニバルの防空戦が繰り広げられる。
惑星から飛来するミサイル群を、辛うじてハンニバルの防空システムが防いでいた。
「提督! あれを見てください!」
もはや敵と言っていい謎の惑星の地表を、今度は無数の戦車隊が土煙を上げて走ってきた。
どこか出入りできるハッチでもあるのだろうか。
この戦車隊が次々にハンニバルに砲撃をしてくる。
「この惑星はインチキぽこ!」
「ハンニバルの迎撃システムが飽和します!」
……敵の弾幕が多すぎて、迎撃が追いつかなくなってきていた。
このままだと危険である。
「やむを得ん! 一旦離脱だ!」
「攻撃停止! 短距離跳躍開始!」
「「「了解!」」」
「戦術距離ワープを開始します!」
……やむを得ず、ハンニバルは謎の惑星から距離をおいた。
☆★☆★☆
短距離跳躍で距離を開けると、謎の惑星は追ってこなかった。
……まぁ、惑星が追っかけてきたら、それはそれで怖いのだが。
――急ぎ、幕僚たちとこの惑星について検討をする。
「こんな星、要らないポコ!」
「主砲で遠距離から破壊するクマ!」
……ハイキング気分をぶち壊された2人が息巻く。
「提督あれはいったいなんなのでしょう?」
「……さ、さあ?」
副官どのに聞かれるが、私に分るわけがない。
……むしろ貴女が教えてください。
「わからないなら調査メェ~♪」
「「「え~!?」」」
皆が驚いたのも無理はない、バフォメットさんが持ち出したのは惑星地上戦用の歩兵装備だった。
「安心して! 提督のもちゃんとあるメェ~♪」
「ええ!? 私も?」
……てか、むしろ安心ってなんだよ??
「当たり前メェ! 全員で行くメェ♪」
……マジですか!?
あんな物騒な星に乗り込むの?
☆★☆★☆
ハンニバルは一旦惑星ベルに戻って、ドラグニル陸戦隊を全員載せてきた。
とてもじゃないが、ハンニバルの乗員だけでは無理だったからだ。
その後、ハンニバルはフル艤装隠蔽モードで、謎の惑星に強行接舷。
私達は慌ただしく謎の惑星に上陸した。
「アニキ! 後ろは安心して任せてくれ!」
アルベルト王子が笑って私の肩を叩く。
Σ( ̄□ ̄|||) ……え!? 私が前なの? おかしくない?
「提督! 新規惑星が発見されました!」
「なんだと?」
「お宝ニャ?」
ヴェロヴェマ子爵領であるラム星系にて、新規惑星が発見された。
報告を詳しく聞くと、実は惑星と言っても、かなり小さい部類に入る大きさのようである。
惑星ベルからの距離はちょうど地球と天王星ほど離れており、不規則な楕円軌道を公転していた為に今まで発見できなかったようだった。
そもそも、帝国の情報部は惑星ベルに関しても、調査がいい加減なのである。
現状、惑星が一つの星系といっても、鵜呑みにするわけにはいかなかった。
「早速調査ポコ!」
「調査するクマ!」
タヌキ砲術長とクマ整備長は既にやる気まんまんで、仲良く浮き輪や水中眼鏡を装備している。
調査に行った先に、必ずしも水や海があるとは限らないのだが……。
「しゅっぱ~つ!」
「しんこ~う♪」
半ばハイキングのような面持ちのハンニバルの幕僚諸氏。
私が軍を非常勤になってからというもの、怖い上官に出合うこともない。
軍にあるまじき空気となっていた……。
「目標ロスト!」
「!?」
「目標惑星がレーダーから消えました!」
「ぽ……ポコ?」
……な、馬鹿な!?
ハンニバルのレーダーは軍用に耐えうる対ステレス用の探信装置である。
敵艦ならともかく、普通の天体の捕捉を失敗するとは考えられなかった……。
「目標の天体を再度捕捉!」
「し、しかし……再びロスト!」
「!?」
……これはヤバいな。
「警戒態勢発令!」
「「「了解!」」」
私は警戒態勢をとることにした。
小さな惑星かと思って近づいたら、大型の敵艦だったってこともあり得るからだ。
「目標、副砲射程に入ります!」
「……さらに距離縮まります!」
「……距離至近! 逆噴射開始!」
「なんでしょう? あれは?」
「奇麗ぽこ♪」
ハンニバルの艦橋から見えた謎の星は、ところどころ美しい鏡面加工が施されているように見えた。
……むしろ人工物なのか!?
「高エネルギー反応! 至近!!」
「電磁障壁出力最大!!」
突如、衝撃と閃光がハンニバルの艦橋を襲う。
「第二主砲塔破損!」
「消火班急げ!」
「敵はどこだ?」
「あの惑星ぽこ!?」
タヌキ砲術長が指さす先に、謎の惑星の岩盤部からレーザー砲塔が顔を覗かせていた。
さらに、岩盤があちこち割れて、次々にレーザー砲台が姿を現す。
「後退! 緊急離脱!」
「反撃用意!」
「任せろポコ!」
「前部砲塔群、射撃準備!」
謎の惑星からのレーザービームが、次々にハンニバルに着弾する。
今回は不意を突かれてはいないので、ある程度は電磁障壁が防いでくれた。
「砲撃開始!」
「撃てポコ!」
タヌキ砲術長の命令一下、ハンニバルの艦体前部の近接戦用砲塔群が次々に火を噴く。
実弾兵器も多かったので、無数の薬莢がバラまかれた。
「敵砲塔沈黙!」
「やったポコ?」
弾幕が晴れた下から覗いてきたのは、今度は無数のミサイル発射機群だった。
あれよあれよという間に、次々にハンニバルに向けてミサイルが発射される。
「対ミサイル防衛!」
「重力シールド展開!!」
「対空VLS発射ポコ!」
「イージス・ガトリング斉射開始!」
謎の惑星とハンニバルの防空戦が繰り広げられる。
惑星から飛来するミサイル群を、辛うじてハンニバルの防空システムが防いでいた。
「提督! あれを見てください!」
もはや敵と言っていい謎の惑星の地表を、今度は無数の戦車隊が土煙を上げて走ってきた。
どこか出入りできるハッチでもあるのだろうか。
この戦車隊が次々にハンニバルに砲撃をしてくる。
「この惑星はインチキぽこ!」
「ハンニバルの迎撃システムが飽和します!」
……敵の弾幕が多すぎて、迎撃が追いつかなくなってきていた。
このままだと危険である。
「やむを得ん! 一旦離脱だ!」
「攻撃停止! 短距離跳躍開始!」
「「「了解!」」」
「戦術距離ワープを開始します!」
……やむを得ず、ハンニバルは謎の惑星から距離をおいた。
☆★☆★☆
短距離跳躍で距離を開けると、謎の惑星は追ってこなかった。
……まぁ、惑星が追っかけてきたら、それはそれで怖いのだが。
――急ぎ、幕僚たちとこの惑星について検討をする。
「こんな星、要らないポコ!」
「主砲で遠距離から破壊するクマ!」
……ハイキング気分をぶち壊された2人が息巻く。
「提督あれはいったいなんなのでしょう?」
「……さ、さあ?」
副官どのに聞かれるが、私に分るわけがない。
……むしろ貴女が教えてください。
「わからないなら調査メェ~♪」
「「「え~!?」」」
皆が驚いたのも無理はない、バフォメットさんが持ち出したのは惑星地上戦用の歩兵装備だった。
「安心して! 提督のもちゃんとあるメェ~♪」
「ええ!? 私も?」
……てか、むしろ安心ってなんだよ??
「当たり前メェ! 全員で行くメェ♪」
……マジですか!?
あんな物騒な星に乗り込むの?
☆★☆★☆
ハンニバルは一旦惑星ベルに戻って、ドラグニル陸戦隊を全員載せてきた。
とてもじゃないが、ハンニバルの乗員だけでは無理だったからだ。
その後、ハンニバルはフル艤装隠蔽モードで、謎の惑星に強行接舷。
私達は慌ただしく謎の惑星に上陸した。
「アニキ! 後ろは安心して任せてくれ!」
アルベルト王子が笑って私の肩を叩く。
Σ( ̄□ ̄|||) ……え!? 私が前なの? おかしくない?
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
未来世界に戦争する為に召喚されました
あさぼらけex
SF
西暦9980年、人類は地球を飛び出し宇宙に勢力圏を広めていた。
人類は三つの陣営に別れて、何かにつけて争っていた。
死人が出ない戦争が可能となったためである。
しかし、そのシステムを使う事が出来るのは、魂の波長が合った者だけだった。
その者はこの時代には存在しなかったため、過去の時代から召喚する事になった。
…なんでこんなシステム作ったんだろ?
な疑問はさておいて、この時代に召喚されて、こなす任務の数々。
そして騒動に巻き込まれていく。
何故主人公はこの時代に召喚されたのか?
その謎は最後に明らかになるかも?
第一章 宇宙召喚編
未来世界に魂を召喚された主人公が、宇宙空間を戦闘機で飛び回るお話です。
掲げられた目標に対して、提示される課題をクリアして、
最終的には答え合わせのように目標をクリアします。
ストレスの無い予定調和は、暇潰しに最適デス!
(´・ω・)
第二章 惑星ファンタジー迷走編 40話から
とある惑星での任務。
行方不明の仲間を探して、ファンタジーなジャンルに迷走してまいます。
千年の時を超えたミステリーに、全俺が涙する!
(´・ω・)
第三章 異次元からの侵略者 80話から
また舞台を宇宙に戻して、未知なる侵略者と戦うお話し。
そのつもりが、停戦状態の戦線の調査だけで、終わりました。
前章のファンタジー路線を、若干引きずりました。
(´・ω・)
第四章 地球へ 167話くらいから
さて、この時代の地球は、どうなっているのでしょう?
この物語の中心になる基地は、月と同じ大きさの宇宙ステーションです。
その先10億光年は何もない、そんな場所に位置してます。
つまり、銀河団を遠く離れてます。
なぜ、その様な場所に基地を構えたのか?
地球には何があるのか?
ついにその謎が解き明かされる!
はるかな時空を超えた感動を、見逃すな!
(´・ω・)
主人公が作者の思い通りに動いてくれないので、三章の途中から、好き勝手させてみました。
作者本人も、書いてみなければ分からない、そんな作品に仕上がりました。
ヽ(´▽`)/
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――
黒鯛の刺身♪
SF
主人公の飯富晴信(16)はしがない高校生。
ある朝目覚めると、そこは見たことのない工場の中だった。
この工場は宇宙船を作るための設備であり、材料さえあれば巨大な宇宙船を造ることもできた。
未知の世界を開拓しながら、主人公は現地の生物達とも交流。
そして時には、戦乱にも巻き込まれ……。
宇宙打撃空母クリシュナ ――異次元星域の傭兵軍師――
黒鯛の刺身♪
SF
半機械化生命体であるバイオロイド戦闘員のカーヴは、科学の進んだ未来にて作られる。
彼の乗る亜光速戦闘機は撃墜され、とある惑星に不時着。
救助を待つために深い眠りにつく。
しかし、カーヴが目覚めた世界は、地球がある宇宙とは整合性の取れない別次元の宇宙だった。
カーヴを助けた少女の名はセーラ。
戦い慣れたカーヴは日雇いの軍師として彼女に雇われる。
カーヴは少女を助け、侵略国家であるマーダ連邦との戦いに身を投じていく。
――時に宇宙暦880年
銀河は再び熱い戦いの幕を開けた。
◆DATE
艦名◇クリシュナ
兵装◇艦首固定式25cmビーム砲32門。
砲塔型36cm連装レールガン3基。
収納型兵装ハードポイント4基。
電磁カタパルト2基。
搭載◇亜光速戦闘機12機(内、補用4機)
高機動戦車4台他
全長◇300m
全幅◇76m
(以上、10話時点)
表紙画像の原作はこたかん様です。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる