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【第一章】青い地球
第二十九話……降伏と裏切り
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「共和国艦隊、再び衛星軌道より離脱します!」
「ふん、小賢しいわ! 対艦ミサイル発射、追い打ちを掛けろ!!」
「了解!」
「長射程ミサイル発射せよ!」
齢96を数えるシャルンホルスト中将率いる帝国地上軍の攻撃に、共和国艦隊は次第に敗色濃厚となっていた。
なにしろ、バリバストル少将の艦隊は物資が底をついていたのだ。エネルギー残量はもってあと4日というところだった。
あと4日で、この老将を倒さねばならなかった。
……しかし、彼らは数奇な運命を辿ることになる。
☆★☆★☆
惑星アーバン帝国軍指令室。
「なんだと? 総司令部はなんと言ってきただと!?」
「いたずらに帝国人民を危険にさらしてはならない、降伏せよ。とのことです」
シャルンホルスト中将とその幕僚たちは苛立ちを隠さない。
「馬鹿な!? 奴らのエネルギーは底を尽き掛けておるのだぞ!?」
「……しかし、総司令部の命令に相違ありません!」
通信オペレータの言葉は残酷だった。
――結局、その二時間後。
シャルンホルスト中将率いる帝国地上軍は、共和国軍バリバストル少将の艦隊に降伏を願い出た。
老将は名将である前に、命令に忠実な軍人であらねばならなかったのだ。
こうして、帝国奥地後方の星系トブルクは共和国の手に落ちた。
帝国軍は後背に敵を宿す形になってしまった。
☆★☆★☆
丁度そのころ、帝国皇帝アウグスト2世は宰相ホーウッド公爵の勧めで、前線視察に訪れていた。
表向きは前線の将兵を鼓舞するためだった。
しかし、皇帝座乗艦ヴォルフガングの内実は、巨大ダンスホールやオペラ劇場を内蔵する遊覧船だった。
皇帝アウグスト2世は妃に内緒で、最愛の愛人と共にこの船で行幸という名の旅行に来ていたのだ。
その後、皇帝座乗艦ヴォルフガングは忍び寄ってきた共和国軍の駆逐艦に、対艦ミサイル二発を受けて皇帝もろともあえなく爆沈してしまった。
帝国軍の前線主力が厚く布陣する後方での出来事に、内応者が疑われる案件だった。
背後関係はともあれ、共和国相手の戦いに苦戦中のときに、皇帝が敗死してしまったことは、帝国に大きな影を投げかけた。
この知らせを聞いた、共和国に隣接する帝国の地方有力貴族は、共和国に次々に降ってしまったのだ。
中には地方勢力とは言えない、帝国中枢に列する貴族の名前も含まれていた。
その名はホーウッド公爵。
帝国宰相である。
「帝国と皇帝に忠誠だと!? 冗談は休み休み言え」
「ははは……、ですな」
「……で、約束はお忘れではありますまいな?」
「もちろんですとも、旧帝国領の半分はホーウッド公爵様の自治領ということで……」
「うははは……」
「共和国万歳!!」
この裏切り行為に、帝国軍の前衛主力部隊はたまらず後退。
帝国はその版図と戦力の半分を、たった二週間で失うことになった。
☆★☆★☆
「ギギギ……」
ビデオチャットにタコのような異星人が映る。
何を言っているか分からないが、ハンニバルのコンピュータは停船命令だと訳してくれた。
データベースに照合するが、どれにも当てはまらない未知の生命体だった。
「どうしましょう?」
「どうするポコ?」
「……停船してみるか?」
ハンニバルは逆噴射をかけ、停船することにした。
その後、未知の艦船により誘導を受け、巨大なガス惑星に降下することになった。
「きれいポコ!」
「奇麗ですわね!」
「……ああ」
ガス雲を抜けると、地上が見える。
複雑に機械化された都市が眼下に広がる。
誘導を受けたハンニバルは茶色い液体の海へ着水した。
接岸した後、指示に従いタラップを下ろす。
護岸では、タコのような異星人が出迎えてくれた。
「ドウゾ……コチラヘ」
同時翻訳機が、ようやく解析に成功したようだ。
タコ星人と片言で話が通じた。
タヌキ軍曹殿を艦に残し、副官殿とタコ星人の機械化都市に足を運ぶことにした。
☆★☆★☆
「熱いですわね」
「ですねぇ……」
都市の中をタコ星人の案内で歩く。
建物のあちこちに煙突があり、蒸気が噴き出ていた。
シューシューとうるさく、深く霧がかかる街並みだった。
「……オフタリサマハ、アツアツデスカ?」
翻訳機が万全ではないようだ。
些細だが、齟齬がある。
意外とコンピュータは当てにならないな、と思っていると。
「ふふふ、アツアツですわ!」
クリームヒルトさんが私の腕に抱き付いてきた。
彼女の胸の感触が腕に伝わる。
うん、齟齬も良いかもしれないね……(´▽`*)
その後、タクシーのようなものに乗り、私は副官殿とのんきにデートを愉しんだ。
二時間くらい走った後。
私達は大きく不気味な暗い宮殿の中に案内された。
……正直、先ほどまでの楽しい気分がぶっ飛んでしまった。
☆★☆★☆
宮殿の最奥の部屋の中。
多数のタコ星人が列席する上座に、女王と目される女性が現れた。
私は思わず言葉を失う。
『……人間じゃないか!?』
そこに現れたタコ星人の女王様は、なんと薄着を纏った若い女性の姿をしていた。
「ふん、小賢しいわ! 対艦ミサイル発射、追い打ちを掛けろ!!」
「了解!」
「長射程ミサイル発射せよ!」
齢96を数えるシャルンホルスト中将率いる帝国地上軍の攻撃に、共和国艦隊は次第に敗色濃厚となっていた。
なにしろ、バリバストル少将の艦隊は物資が底をついていたのだ。エネルギー残量はもってあと4日というところだった。
あと4日で、この老将を倒さねばならなかった。
……しかし、彼らは数奇な運命を辿ることになる。
☆★☆★☆
惑星アーバン帝国軍指令室。
「なんだと? 総司令部はなんと言ってきただと!?」
「いたずらに帝国人民を危険にさらしてはならない、降伏せよ。とのことです」
シャルンホルスト中将とその幕僚たちは苛立ちを隠さない。
「馬鹿な!? 奴らのエネルギーは底を尽き掛けておるのだぞ!?」
「……しかし、総司令部の命令に相違ありません!」
通信オペレータの言葉は残酷だった。
――結局、その二時間後。
シャルンホルスト中将率いる帝国地上軍は、共和国軍バリバストル少将の艦隊に降伏を願い出た。
老将は名将である前に、命令に忠実な軍人であらねばならなかったのだ。
こうして、帝国奥地後方の星系トブルクは共和国の手に落ちた。
帝国軍は後背に敵を宿す形になってしまった。
☆★☆★☆
丁度そのころ、帝国皇帝アウグスト2世は宰相ホーウッド公爵の勧めで、前線視察に訪れていた。
表向きは前線の将兵を鼓舞するためだった。
しかし、皇帝座乗艦ヴォルフガングの内実は、巨大ダンスホールやオペラ劇場を内蔵する遊覧船だった。
皇帝アウグスト2世は妃に内緒で、最愛の愛人と共にこの船で行幸という名の旅行に来ていたのだ。
その後、皇帝座乗艦ヴォルフガングは忍び寄ってきた共和国軍の駆逐艦に、対艦ミサイル二発を受けて皇帝もろともあえなく爆沈してしまった。
帝国軍の前線主力が厚く布陣する後方での出来事に、内応者が疑われる案件だった。
背後関係はともあれ、共和国相手の戦いに苦戦中のときに、皇帝が敗死してしまったことは、帝国に大きな影を投げかけた。
この知らせを聞いた、共和国に隣接する帝国の地方有力貴族は、共和国に次々に降ってしまったのだ。
中には地方勢力とは言えない、帝国中枢に列する貴族の名前も含まれていた。
その名はホーウッド公爵。
帝国宰相である。
「帝国と皇帝に忠誠だと!? 冗談は休み休み言え」
「ははは……、ですな」
「……で、約束はお忘れではありますまいな?」
「もちろんですとも、旧帝国領の半分はホーウッド公爵様の自治領ということで……」
「うははは……」
「共和国万歳!!」
この裏切り行為に、帝国軍の前衛主力部隊はたまらず後退。
帝国はその版図と戦力の半分を、たった二週間で失うことになった。
☆★☆★☆
「ギギギ……」
ビデオチャットにタコのような異星人が映る。
何を言っているか分からないが、ハンニバルのコンピュータは停船命令だと訳してくれた。
データベースに照合するが、どれにも当てはまらない未知の生命体だった。
「どうしましょう?」
「どうするポコ?」
「……停船してみるか?」
ハンニバルは逆噴射をかけ、停船することにした。
その後、未知の艦船により誘導を受け、巨大なガス惑星に降下することになった。
「きれいポコ!」
「奇麗ですわね!」
「……ああ」
ガス雲を抜けると、地上が見える。
複雑に機械化された都市が眼下に広がる。
誘導を受けたハンニバルは茶色い液体の海へ着水した。
接岸した後、指示に従いタラップを下ろす。
護岸では、タコのような異星人が出迎えてくれた。
「ドウゾ……コチラヘ」
同時翻訳機が、ようやく解析に成功したようだ。
タコ星人と片言で話が通じた。
タヌキ軍曹殿を艦に残し、副官殿とタコ星人の機械化都市に足を運ぶことにした。
☆★☆★☆
「熱いですわね」
「ですねぇ……」
都市の中をタコ星人の案内で歩く。
建物のあちこちに煙突があり、蒸気が噴き出ていた。
シューシューとうるさく、深く霧がかかる街並みだった。
「……オフタリサマハ、アツアツデスカ?」
翻訳機が万全ではないようだ。
些細だが、齟齬がある。
意外とコンピュータは当てにならないな、と思っていると。
「ふふふ、アツアツですわ!」
クリームヒルトさんが私の腕に抱き付いてきた。
彼女の胸の感触が腕に伝わる。
うん、齟齬も良いかもしれないね……(´▽`*)
その後、タクシーのようなものに乗り、私は副官殿とのんきにデートを愉しんだ。
二時間くらい走った後。
私達は大きく不気味な暗い宮殿の中に案内された。
……正直、先ほどまでの楽しい気分がぶっ飛んでしまった。
☆★☆★☆
宮殿の最奥の部屋の中。
多数のタコ星人が列席する上座に、女王と目される女性が現れた。
私は思わず言葉を失う。
『……人間じゃないか!?』
そこに現れたタコ星人の女王様は、なんと薄着を纏った若い女性の姿をしていた。
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