宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――

黒鯛の刺身♪

文字の大きさ
上 下
9 / 148
【第一章】青い地球

第九話……ブタの惑星

しおりを挟む
 ちゅんちゅん♪

 ――雀たちの声で起きる。





 私がすむアパートの裏側は畑だ。

 ここの大家さんは農家なのだ。

 ウチは小さな畑に付属する、更に小さなボロアパートといった具合だった。





 『惑星リーリヤには先住民がいます』

 これは大きな難問だった。



――ゲームの世界じゃないか?



 そういった意見もある。

 しかし私がお金を貰えるのは、今がゲームの中の住人でもあるからだ。

 なんでもリセットできるという発想は好きじゃない。





 近所の本屋に行き、先住民に関する逸話を買ってみた。

 碌な話じゃない。

 読む気が失せて、投げてしまった。



――こういうときに、ふと思う。

 有名な英雄や偉人なんて、本当に立派な人だったのかと……。







☆★☆★☆



 それから数日、小惑星破壊の仕事をしながら惑星リーリヤのデータを集めた。





 惑星リーリヤ。緑と水に恵まれた惑星。

 住民は二足歩行型のブタ民族。

 科学文明レベルは低く、我々の世界の中世レベルといったくらい。

 人口はかなり多め。



 この星を実質的に統治するのは、蛮王ブルー。カリバーン帝国に所属。しかし、条件次第でカリバーン帝国に敵対する勢力に寝返る者は多いと聞く。



 実際はおいといて、形式的な統治者はころころと変わっている。少し前まではシェリオ伯爵だった。彼らは皆、統治者としての支配に失敗していた。





 ……で、現在の統治者は私という訳だ。

 多分これは不良債権だな……。

 惑星権利書を眺め呟いてみた。





 結局というもの、惑星リーリヤに降下してみることにした。

 考えても分からない、といった境地になったからだ。



 大気圏に突入後、雲の隙間から海辺に大きなお城が見えた。石造りの城下町も見える。

 地図データ通りなら、蛮王様の居城だ。



 彼等を驚かせないように遠くに着水し、夜間に港湾施設に入った。

 木造の船もあるし、近代的な風貌の船もある不思議な港だった。





 しばらくすると、港湾内で小さなタグボートが近づいてきた。

 レトロな感じのする外輪船だった。





「いつまで停泊ですか?」



 その船を操る恰幅の良いブタに聞かれる。ちなみに今の私の姿は一つ目の巨人族だ。





「3日くらいかなぁ?」



「では、大型艦3日で400帝国ドル頂きます」



 港湾停泊料としてお金を支払った。

 ハンニバルと私はそのタグボートに曳かれ港湾の奥に進んだ。

 ちなみに1帝国ドルは100円位だ。露天係留なので安いのか高いのか分からないが……。





 その日は宿に泊まり、翌朝に蛮王様に会いに行くことにした。







――翌朝



 ここにはタクシーが存在しなかった。

 自動車があると言っても、石炭を燃料にしているようなレトロなものしか走っていない。



 しかたなく乗合馬車を利用して、官庁街まで出向く。

 しかし、石畳だとお尻が痛いね……。





 その後、それらしき役所に入った。

 追い返されるかと思ったが、惑星の支配権の件と伝えるとすんなり通った。



 ……彼らにとっても形式的な支配権が懸案事項なのだろう。





 その後、役人に案内されて、まさに玉座の間といったところに案内された。







☆★☆★☆



「ようこそ、よそ者!」





 列席する家臣の上座に座る意外とフレンドリーなブタがいた。

 このブタこそ蛮王ブルーだった。



――一通り挨拶がすむと、彼から要件を述べてきた。





「この惑星の支配権の正統性についての話だとか?」



「はい、ですがその前にコチラをどうぞ」



 私はトランクを開け、過剰包装された品を献上した。









 ……酒だった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

絶世のディプロマット

一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。 レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。 レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。 ※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

未来への転送

廣瀬純一
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

処理中です...