1 / 4
第一話……夫を守れてこそ真の女!?
しおりを挟む私の名はアーデルハイト・フーデマン。昔から何もしなければ凄く良い女と言われる。
しかし、それは嘘だ。
そう絶対に嘘だ。
私が小さいころ、王都ルドミラに勤める父はコーキンオウリョウとかいうことをしたらしい。
そのとき弁護士という職業の母は必ず父を守ってくれると私に約束した。
『それくらいなんとでもなる!』と。
しかし、そうはならなかった。我がフーデマン家は下級貴族としての家柄を失い没落した。
なぜか!?
それは母が弱かったからだ。
無力だったからだ!!
弁護士とはどんな職業か知らないが、きっと剣の腕が足らなかったに違いない!!
それから私は剣術に励んだ。弓も馬術も槍術も……。
私が未来の夫を悪の手から必ず守る為に!!
私は決して母のようにならない!!
そう心に決めていた。
私は15歳になったとき、王立の士官学校に入学した。
勉強がとても苦手だったので、武芸枠というもので入った。
学校の勉強はつまらなかった。
兵法だの兵站だの内政だの、そんな軟弱なことでは愛する夫は決して守れない!!
絶対にだ!!
ある時、剣技の実技試験があった。
「よろしくお願いします!!」
「おう、かかってきたまえ!」
王立士官学校の剣技担当は私が女だと舐めていたに違いない。
一撃目で彼の剣を叩き折り、胴に一撃を浴びせ、怯んだところを投げ飛ばした。
「ま……参った」
「いえ、もう一度! わたくしはもっと強くならねばならないのです!」
しかし、剣術教官はそれ以来、私の相手をしてくれなくなった。
私が弱いから相手にもしたくない、きっとそう思っているのだ。
だから仕方なく、私は士官学校の寮で朝から晩まで剣を振り続けた。
古の剣術家の本も深夜まで読み漁った。
しかしこのころから、殿方からのダンスパーティーなどのお誘いが無くなった。これはとても辛かった。フーデマン家を再興するには婿養子を取らねばならぬのに……。
…… (`・ω・´) これはきっと私が弱いせいだ。
きっともっと強くなれば、殿方からのお誘いが来るはず!!
それから、夏季休暇の間は山にこもりモンスターや熊などと戦い続けた。
「アーデルハイトや、貴方はとてもきれいなのだから、そんなことはしなくていいのだよ」
家に帰ると母は必ずそういう。
……違う!
母上! 貴方が弱いからいけないのです!!
それから士官学校を卒業し、王都の近衛師団の入隊試験を受けた。
結果は不合格。
理由は筆記試験が全然だめだと書いてあった。
違う!! 私が弱かったせいだ!!
剣の腕が足らないのだ!
いつかきっと剣の腕をトコトン磨いて近衛師団に入ってやるぞ!!
それから私は武者修行の旅に出ることにした。
母のように夫を守れない妻には決してならないために (`・ω・´)ノ
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】どうやら魔森に捨てられていた忌子は聖女だったようです
山葵
ファンタジー
昔、双子は不吉と言われ後に産まれた者は捨てられたり、殺されたり、こっそりと里子に出されていた。
今は、その考えも消えつつある。
けれど貴族の中には昔の迷信に捕らわれ、未だに双子は家系を滅ぼす忌子と信じる者もいる。
今年、ダーウィン侯爵家に双子が産まれた。
ダーウィン侯爵家は迷信を信じ、後から産まれたばかりの子を馭者に指示し魔森へと捨てた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる