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第二十五話……惑星コローナ臨時政府樹立
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「お互いの未来を祝して!」
「か……、乾杯」
――翌日。
ブリュンヒルデと晴信は正式に結婚した。
もちろん形だけではあったが……。
結婚式には惑星コローナの有力者が集められた。
……が、当然のことながら、領主であるベルシュミーデ伯爵は首都星に拘禁されているのでここにはいない。
結婚式場で、ブリュンヒルデは大きな声で宣言した。
「皆さま! 私達は暴虐の王ゼノンを倒したいと思います。賛同される方はどうぞ私たちに力を貸してください」
ざわざわ……。
会場は途端に喧騒を伴う雰囲気になった。
ゼノンは確かに普通の手段で王になったわけではない。
倒そうとする勢力がでてきても不思議ではない。
しかしながら、ゼノンの居するゲルマー星系の主星アレクサンドラには、莫大な経済力と軍事力があったのだ。
ゼノンと敵対すると、貿易上や安全上などで、沢山不利になることがあったのだ。
ここで明確に反旗を翻すことは、地方勢力にとって賢い手段ではなかったのだった。
王族と新鋭の造船企業の社長という結婚式は、意外と盛り上がらず、政治パフォーマンスとしてはあまり成功とは言い難かったかもしれない。
しかし、宴の最後になって、ブリュンヒルデは凄いことを言い放った。
「この惑星コローナは、ベルシュミーデ伯爵がお戻りになるまで、王家の末裔であるこの私が治めます。異論は一切認めません!」
あんまりにも強硬な為政者は反発を招く。
つまりは武力をもって、反乱を起こされる可能性が出るということだった。
晴信はなにも聞いていなかったので、結婚式は終始青い顔で座っていたのだった。
☆★☆★☆
カンスケとブリュンヒルデの行動は素早かった。
彼等の計画は、この惑星コローナを足掛かりにして、王弟ゼノンを倒すという計画だったのだ。
どちらにしろ、王弟ゼノンを倒さなくてはゲルマー星系に平和は訪れない。
結婚式が終わると、二人はあらかじめ用意していた警備兵を使い、惑星コローナの行政府などの要所を占領してしまった。
もちろん伯爵留守中の間だけ、臨時で正当な王族が統治するという錦の御旗が効いたことが要所を抑えられる大きなファクターであった。
この地上部隊の指揮はザムエルという老将軍が指揮した。
彼は元軍人で、以前ブリュンヒルデの家庭教師だったらしい。
この惑星コローナ支配計画の筋書きは、裏でザムエルとカンスケによって以前から慎重に練られていたものだったらしい。
「御館様、奥方様、惑星コローナの主要部の占拠が終了いたしました。地方では我々に付かない地方勢力もおりますが……」
晴信とブリュンヒルデは、上座の気品あふれる椅子に座りながら状況報告を聞いた。
晴信の呼称は『社長』から『御館様』になっていた。
「あと、我々の正式な呼称も決めましょう! コローナ臨時政府というのはいかがでしょう?」
その他の色々な事が次々に決まっていき、コローナ臨時政府はだんだんに形を成していった。
その中でも輪に入れない晴信とディー。
彼等は政治的な話が苦手であった。
「じゃあ、僕が【タテナシ】をつかって制圧してくるよ」
役割がない晴信は、惑星コローナで臨時政府に反対する勢力の討伐を申し出てみた。
「御館様、それは待ってください」
老将ザムエルに制止される晴信。
「この惑星コローナにおける戦力で、【タテナシ】は四方ににらみを利かすための重要不可欠な戦闘艦です。軽々しく動かすのは控えていただきたく……。できましたら他の戦闘艦を使ってくだされ」
「……え!?」
晴信の乗艦は、戦略上動かせないとのことだった。
「それと、惑星コローナの工場での新造艦も買い入れますので、次々に売ってくたさい!」
「……は、はい」
なんだか、この結婚に始まる一連の行程に、晴信自体はいらないらしい。
必要だったのは、晴信が持つ戦艦や新造艦の工場であったようだった。
「まっいいか、ディー、秘密工場のほうへもどろうよ!」
「はーい」
晴信とディーは小さな宇宙船に乗り、隠し工場である準惑星ディーハウスに戻った。
☆★☆★☆
お掃除ロボットに囲まれ、のんびりとコーヒーを飲む晴信。
ディーはいつもの機械油だ。
「ねぇ、晴信。これからどうするの?」
「うーん、惑星コローナで地上戦をしなきゃならないから、地上戦用の戦闘艦がいるね……」
「あれって制約が無かったっけ?」
「あるよ。飛行艦艇は全長200m未満で、武装が熱核兵器や核融合兵器、大口径のレーザ砲も禁止」
「……ふむふむ。じゃあ、そのコンパクトな船を今から作るんだね?」
「そうそう、僕が惑星コローナにいても邪魔みたいだしね」
「……ですね」
ロボットのディーは青いランプをチカチカさせて喜んだ。
久々に晴信と船の設計をするのが楽しいようであった。
☆★☆★☆
次に晴信が設計したのは、艦名が【ドレットノート】と名付けられた大気圏用の小型の戦闘艦であった。
主機は核融合炉エンジン(但し短距離戦術ワープ可)。
シールドは宇宙戦艦用の強力なものを搭載。
船体装甲は複合セラミック。
メイン武装は艦首埋没固定式の長砲身レーザービーム砲。
砲塔型主砲は25cm連装レールガンを3基。
対空兵装は連装ビームバルカン砲を8基
各種VLSは40セル2基
他にも地上支援用の軽戦車やトラックなどを乗せるスペースも作っていった。
「か……、乾杯」
――翌日。
ブリュンヒルデと晴信は正式に結婚した。
もちろん形だけではあったが……。
結婚式には惑星コローナの有力者が集められた。
……が、当然のことながら、領主であるベルシュミーデ伯爵は首都星に拘禁されているのでここにはいない。
結婚式場で、ブリュンヒルデは大きな声で宣言した。
「皆さま! 私達は暴虐の王ゼノンを倒したいと思います。賛同される方はどうぞ私たちに力を貸してください」
ざわざわ……。
会場は途端に喧騒を伴う雰囲気になった。
ゼノンは確かに普通の手段で王になったわけではない。
倒そうとする勢力がでてきても不思議ではない。
しかしながら、ゼノンの居するゲルマー星系の主星アレクサンドラには、莫大な経済力と軍事力があったのだ。
ゼノンと敵対すると、貿易上や安全上などで、沢山不利になることがあったのだ。
ここで明確に反旗を翻すことは、地方勢力にとって賢い手段ではなかったのだった。
王族と新鋭の造船企業の社長という結婚式は、意外と盛り上がらず、政治パフォーマンスとしてはあまり成功とは言い難かったかもしれない。
しかし、宴の最後になって、ブリュンヒルデは凄いことを言い放った。
「この惑星コローナは、ベルシュミーデ伯爵がお戻りになるまで、王家の末裔であるこの私が治めます。異論は一切認めません!」
あんまりにも強硬な為政者は反発を招く。
つまりは武力をもって、反乱を起こされる可能性が出るということだった。
晴信はなにも聞いていなかったので、結婚式は終始青い顔で座っていたのだった。
☆★☆★☆
カンスケとブリュンヒルデの行動は素早かった。
彼等の計画は、この惑星コローナを足掛かりにして、王弟ゼノンを倒すという計画だったのだ。
どちらにしろ、王弟ゼノンを倒さなくてはゲルマー星系に平和は訪れない。
結婚式が終わると、二人はあらかじめ用意していた警備兵を使い、惑星コローナの行政府などの要所を占領してしまった。
もちろん伯爵留守中の間だけ、臨時で正当な王族が統治するという錦の御旗が効いたことが要所を抑えられる大きなファクターであった。
この地上部隊の指揮はザムエルという老将軍が指揮した。
彼は元軍人で、以前ブリュンヒルデの家庭教師だったらしい。
この惑星コローナ支配計画の筋書きは、裏でザムエルとカンスケによって以前から慎重に練られていたものだったらしい。
「御館様、奥方様、惑星コローナの主要部の占拠が終了いたしました。地方では我々に付かない地方勢力もおりますが……」
晴信とブリュンヒルデは、上座の気品あふれる椅子に座りながら状況報告を聞いた。
晴信の呼称は『社長』から『御館様』になっていた。
「あと、我々の正式な呼称も決めましょう! コローナ臨時政府というのはいかがでしょう?」
その他の色々な事が次々に決まっていき、コローナ臨時政府はだんだんに形を成していった。
その中でも輪に入れない晴信とディー。
彼等は政治的な話が苦手であった。
「じゃあ、僕が【タテナシ】をつかって制圧してくるよ」
役割がない晴信は、惑星コローナで臨時政府に反対する勢力の討伐を申し出てみた。
「御館様、それは待ってください」
老将ザムエルに制止される晴信。
「この惑星コローナにおける戦力で、【タテナシ】は四方ににらみを利かすための重要不可欠な戦闘艦です。軽々しく動かすのは控えていただきたく……。できましたら他の戦闘艦を使ってくだされ」
「……え!?」
晴信の乗艦は、戦略上動かせないとのことだった。
「それと、惑星コローナの工場での新造艦も買い入れますので、次々に売ってくたさい!」
「……は、はい」
なんだか、この結婚に始まる一連の行程に、晴信自体はいらないらしい。
必要だったのは、晴信が持つ戦艦や新造艦の工場であったようだった。
「まっいいか、ディー、秘密工場のほうへもどろうよ!」
「はーい」
晴信とディーは小さな宇宙船に乗り、隠し工場である準惑星ディーハウスに戻った。
☆★☆★☆
お掃除ロボットに囲まれ、のんびりとコーヒーを飲む晴信。
ディーはいつもの機械油だ。
「ねぇ、晴信。これからどうするの?」
「うーん、惑星コローナで地上戦をしなきゃならないから、地上戦用の戦闘艦がいるね……」
「あれって制約が無かったっけ?」
「あるよ。飛行艦艇は全長200m未満で、武装が熱核兵器や核融合兵器、大口径のレーザ砲も禁止」
「……ふむふむ。じゃあ、そのコンパクトな船を今から作るんだね?」
「そうそう、僕が惑星コローナにいても邪魔みたいだしね」
「……ですね」
ロボットのディーは青いランプをチカチカさせて喜んだ。
久々に晴信と船の設計をするのが楽しいようであった。
☆★☆★☆
次に晴信が設計したのは、艦名が【ドレットノート】と名付けられた大気圏用の小型の戦闘艦であった。
主機は核融合炉エンジン(但し短距離戦術ワープ可)。
シールドは宇宙戦艦用の強力なものを搭載。
船体装甲は複合セラミック。
メイン武装は艦首埋没固定式の長砲身レーザービーム砲。
砲塔型主砲は25cm連装レールガンを3基。
対空兵装は連装ビームバルカン砲を8基
各種VLSは40セル2基
他にも地上支援用の軽戦車やトラックなどを乗せるスペースも作っていった。
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