SA・ピエンス・ブタ史 ~第八惑星創造戦記~

黒鯛の刺身♪

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~友愛編~

第六十五話……【モロゾフ将軍記⑦】 ──豪雨の退却戦──

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降りしきる激しい豪雨。

暗闇を照らし出す雷鳴。




 スメルズ男爵は形勢不利を悟り、即断撤退を開始した。

 王国軍右翼総司令ボロンフ辺境伯爵もスメルズ男爵から報を受け、撤退を開始。




 しかし、ダース司令は周辺の帝国領の村々に『そろそろ王国軍は撤退する』と伝えてあった。
 そのためにスメルズ男爵率いる部隊は、毎晩のように地域住民による夜襲を受けた。

 この世界は、俗にいう『兵農分離』が完全には行われておらず、特に退却する側が侵略者だと周辺住民による執拗な夜襲や落武者狩りが行われた。


 スメルズ男爵は、明らかに退路が事前にわかっているような激しい夜襲を三日三晩にわたって受けた。
 しかしながら、その分ボロンフ辺境伯爵率いる王国軍右翼本隊への被害は軽微に終わった。
 多分にスメルズ男爵が殿を引き受けた形になったのだ。男爵はのちにこの功績で沢山の褒美を受け取ることとなる。


──数日後。
 周辺の治安の悪化の恐れもあり、ボロンフ辺境伯爵は更なる戦線の後退を指示。
 それに伴い、帝国軍左翼のモロゾフ将軍は戦線を拡大。王国軍中央軍集団の東側側面をうかがった。

 王国軍の中央軍集団は回り込まれる危険をさけ戦線を後退。
 更には続いて王国軍の左翼軍集団も、王都の参謀本部に無断で後退するなど、我先に王国貴族たちは帝国領から撤退していった。



……こののち、戦場は机の上での交渉へ移行することとなる。



──同じころ。
 ブタ領首脳部は、王国の北方戦線の旗色が悪いことに着目した。

 今ならブタと港湾自治都市アーベルムの姫リーリヤが結婚しても、王都は何も言う余力はないと判断した。
 ……むしろ王国のハロルド王太子殿下にも招待状を出すことにした。


 その後、王太子側は名代を出すことを決定。お祝いの品は、水面下での協議の末に大森林地帯の正式なる支配権の授与と相成った。
 王都の情報や外交担当部門が、帝国に引っぱりダコになっている情勢も確実に追い風となっていた。

 しかしながらこれは、アーベルム港湾自治都市とブタ領との婚姻をハリコフ王国が認めるということであった。
 いつの時代も既成事実と大義名分は幅を利かせる。


 王都の承認を得たブタ領家宰は、むしろ結婚式を大々的に開き、内外に知らしめようと考えた。
 よって日は後ろにずらされ、王都のみならずアーベルム港湾自治都市からも賓客を招く方針となった。

 その他にも、大森林地帯の在地領主や土豪たちにも招待状が送られた。
 もし、お祝いをもって出席することになれば、その主従関係を内外に示すこととなり、また、欠席すれば当然追討先にされかねなかった。

 老年期に差し掛かっていたブタ領家宰ヘーデルホッヘは、このころ騎士というよりも外交や内政に素晴らしい力を発揮させていたと言える。
 家宰である老騎士を中心としたブタ領首脳部は、北方戦線にて苦戦していた王都を尻目に着実に力をつけつつあった。




 (゜∀゜)人(゜∀゜)人(゜∀゜)ノ ぽこぶひうさ~♪


 ちなみに……彼らは最近、とても潮干狩りに夢中だった。
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