44 / 100
~友愛編~
第四十四話……福祉予算!?
しおりを挟む
今日の天気は吹雪。朝から晩まで荒れ狂う自然の猛威。
リアルの世界は晴天。大きな雨雲は市街地の外で概ね処理される。
──
「家宰様、こちらの書類もご確認願います」
大量の書類に埋もれる家宰へ―デルホッヘ。
現在、ブタ領の事務処理能力は改善、……どころか飛躍的に向上し、人口当たりの処理能力はハリコフ王国最強と言っても過言ではない。
ウサが買い入れてきた痩せっぽちの書生たちは、トリグラフ帝国語だけでなくハリコフ王国の言葉も読み書きでき、各地の少数民族の習俗やモンスター達の生態にまで精通していた。
極め付きは、ンホール司教の邪教の教えまで先日暗唱してしまい、毎回講話にカンペを使う司教は立場がなくなったのであった。
彼らはどこの人だったのだろうか?
どうやら、北方へ攻め込んだハリコフ王国軍は、トリグラフ帝国の下級官吏養成学校を急襲し大量の捕虜を得た。それが彼ら書生のようだった。
下級官吏と言えば、ハリコフ王国内での評価は芳しくない。賄賂に弱かったりだとか、独創性に乏しいとかいろいろ言われていた。
が、下級官吏である彼ら無しで成立する社会も珍しい。古の騎馬帝国であれども大きくなれば下級官吏を必要とした。
使える人材なら、捕虜になった時点でなぜ身代金を払われなかったか?……ということだが、そもそも身代金を払えるような家庭に生まれていれば、トリグラフ帝国帝都【ヴァルモア】の大学へ通えるとのことだった。
ニャッポ村で事務処理係として働き始めた彼らは、ハリコフ王国の学生と異なり、貧しく荒れた大地に育まれた者として生きているようだった。
家宰である老騎士は、彼らに日当で給金を支払った。お金がないだろうと考えたからだ。が、……。
Σ( ̄□ ̄|||) ウ……ウサ?
仲良く3匹でサボって釣りをしているウサのところに、ニャッポ村の若き官僚たちは、爪に火をともしたようにして蓄えた銅貨を持参してきた。
──
確かにブタ領の家宰である老騎士からすればトンデモな買い物をしたウサだったが、彼らにとってみればウサは命の恩人でしかなかった。
もちろん彼らの持参してきた銅貨は、ウサのとなりでホクホクお芋を食べながら釣りをしているタヌキが作った私鋳銭(バッタモン)である。
「邪魔になるから持って帰ってくれウサ!」
(ヾノ・∀・`) 食べられないものはイランウサ!
ちなみにウサはガチでINT(かしこさ)が1である。
彼らは残念に思ったが、彼らの恩人はタヌキとの釣り勝負の真っただ中だった。
「今日の勝負はもらったポコ!」
Σ( ̄□ ̄|||)
「そ……そうはイカンザキうさ!」
──
彼らは仕方なく銅貨をンホール司教の邪教の館に寄進しようとした。が、
「ンホー!! 駄目ンホー!」
ンホール司教はブタ領随一の知恵者として知られていた。自分の存在を危うくする彼らからの寄付は司教にとって……ごほんごほん。
……が、彼らは食い下がった。
彼らと同じくしてこの地に連れてこられた老人や乳飲み子達、彼らの生活費や養育費として払うとのことだった。
「ンホー! そういうことなら有難く頂くンホー!」
その後、邪教の館ニャッポ村別館は老人と子供用の福祉施設の様をなした。
そしてハリコフ王国側からしたら邪教である【茸教】は、この日を境にして一気に信者を伸ばしていくのだった。
リアルの世界は晴天。大きな雨雲は市街地の外で概ね処理される。
──
「家宰様、こちらの書類もご確認願います」
大量の書類に埋もれる家宰へ―デルホッヘ。
現在、ブタ領の事務処理能力は改善、……どころか飛躍的に向上し、人口当たりの処理能力はハリコフ王国最強と言っても過言ではない。
ウサが買い入れてきた痩せっぽちの書生たちは、トリグラフ帝国語だけでなくハリコフ王国の言葉も読み書きでき、各地の少数民族の習俗やモンスター達の生態にまで精通していた。
極め付きは、ンホール司教の邪教の教えまで先日暗唱してしまい、毎回講話にカンペを使う司教は立場がなくなったのであった。
彼らはどこの人だったのだろうか?
どうやら、北方へ攻め込んだハリコフ王国軍は、トリグラフ帝国の下級官吏養成学校を急襲し大量の捕虜を得た。それが彼ら書生のようだった。
下級官吏と言えば、ハリコフ王国内での評価は芳しくない。賄賂に弱かったりだとか、独創性に乏しいとかいろいろ言われていた。
が、下級官吏である彼ら無しで成立する社会も珍しい。古の騎馬帝国であれども大きくなれば下級官吏を必要とした。
使える人材なら、捕虜になった時点でなぜ身代金を払われなかったか?……ということだが、そもそも身代金を払えるような家庭に生まれていれば、トリグラフ帝国帝都【ヴァルモア】の大学へ通えるとのことだった。
ニャッポ村で事務処理係として働き始めた彼らは、ハリコフ王国の学生と異なり、貧しく荒れた大地に育まれた者として生きているようだった。
家宰である老騎士は、彼らに日当で給金を支払った。お金がないだろうと考えたからだ。が、……。
Σ( ̄□ ̄|||) ウ……ウサ?
仲良く3匹でサボって釣りをしているウサのところに、ニャッポ村の若き官僚たちは、爪に火をともしたようにして蓄えた銅貨を持参してきた。
──
確かにブタ領の家宰である老騎士からすればトンデモな買い物をしたウサだったが、彼らにとってみればウサは命の恩人でしかなかった。
もちろん彼らの持参してきた銅貨は、ウサのとなりでホクホクお芋を食べながら釣りをしているタヌキが作った私鋳銭(バッタモン)である。
「邪魔になるから持って帰ってくれウサ!」
(ヾノ・∀・`) 食べられないものはイランウサ!
ちなみにウサはガチでINT(かしこさ)が1である。
彼らは残念に思ったが、彼らの恩人はタヌキとの釣り勝負の真っただ中だった。
「今日の勝負はもらったポコ!」
Σ( ̄□ ̄|||)
「そ……そうはイカンザキうさ!」
──
彼らは仕方なく銅貨をンホール司教の邪教の館に寄進しようとした。が、
「ンホー!! 駄目ンホー!」
ンホール司教はブタ領随一の知恵者として知られていた。自分の存在を危うくする彼らからの寄付は司教にとって……ごほんごほん。
……が、彼らは食い下がった。
彼らと同じくしてこの地に連れてこられた老人や乳飲み子達、彼らの生活費や養育費として払うとのことだった。
「ンホー! そういうことなら有難く頂くンホー!」
その後、邪教の館ニャッポ村別館は老人と子供用の福祉施設の様をなした。
そしてハリコフ王国側からしたら邪教である【茸教】は、この日を境にして一気に信者を伸ばしていくのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる