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~烈風編~
第三十七話……ブタ領の新年
しおりを挟む今日の空はチラホラと雪。
雪だるま作れないかな。
──ドンドドンドンドン!
王都ルドミラでは、盛大な新年を祝う花火が打ちあげられていた。
──もといブタ領の新年。
……静かでした (´・ω・`)
花火高いでござるし。
……ら、来年のお正月はもっと町が出来ているといいでござるな (*´▽`*)
皆で、お昼は石狩鍋をつつくでござる。
(はふはふ、熱くておいしい)
午後からは、新年のお客さんがお越しになるので、白と赤でコーディネートされた一張羅に袖を通すでござる。
──ブタ領謁見の間。
ヒズメでヨチヨチやってきて、上座に座る10円ハゲが目立つブタ。かの者はハリコフ王国辺境蛮族子爵【ブルー・アイスマン】。なんと、ここらあたり一帯の領主さま。
脇には、白髪を海獣の油でオールバックに固めた、老騎士【ベルン・ヘーデルホッヘ】。
つづいて。蒼き巨躯に動物の皮だけを巻き付け、其のはだけた胸は大きな十文字の形の古傷を覗かせる、歴戦の軍務役にてハイオークの【アガートラム】。
その脇には、エメラルドグリーンと黄土色の鮮やかなコンストラクトが映える茸族の老木【レイシ・ンホール】司教。
目がクリッとした茶色い穴ウサギと、焦げ茶色の眠そうなタヌキもいた。
その二匹を触りたそうな目で眺めているのが、美しい赤髪を携えながらも一切無駄な肌の露出をも受け付けない実践的な衣装をまとう女アサシン【ライン・シュコー】。
新年に打ち揃う歴戦(?)の猛者たち。
意気揚々と踏ん反り返るブタ……。
……好事魔多し。
【システム通知】……いつもご利用有難うございます。緊急メンテナンスです。
【システム通知】……サーバーがキャンセルされました。
Σ( ̄□ ̄|||) ぇ?ぇ? 珍しく良いとこだったのに??
……暫しの暗転ののち。
VRMMO機器を丁寧に取り外し、ベッドから這い出る人間の【ブルー・アイスマン】。
……彼は頭を振り、VRMMO酔いでふらふらしながら、時計を見た。
「!?」
……彼はゲームを沢山やってしまったつもりなのだろうが、表示された時刻は極めて奇妙だった。
(遊び始めた時間から、逆に3分遡っているでござる……。)
……窓の外をみるも、陽は高い。
電子カレンダーを見ても、今日のままだった。
(。´・ω・)?
……が、アイスマンは、悩むのをすぐにやめた。
「ブルーや! おやつだよ~♪」
アイスマンは大好きなおばあちゃんに呼ばれ、階段を降りて行った。
おやつは、柏餅だった。
「ぇ~ヨモギより白のがいい~♪」
──
「今はそれでいい……」
誰かが、そうほほ笑んだ。
――第一章烈風編・完――
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