14 / 100
~烈風編~
第十四話……町への買い物
しおりを挟む【ステータス】
<名前> ブルー・アイスマン
種族 ブタ 職業 落武者
身長120cm 体重100kg
【特徴】10円ハゲ*3
【装備品】落武者の鎧 釣りキット 初心者お勧め装備セット
【スキル】獣言葉 遠縁の近い 弱者の第六感 など
<名前> ポコ
種族 たぬき 職業 妖術使い
【スキル】よわよわ火炎魔法 土遁の術 など
<名前> ウサ
種族 うさぎ 職業 武闘派な白魔道師
【スキル】気絶技(師範級) よわよわ回復魔法 など
<名前> ベルン・ヘーデルホッヘ
種族 人間 職業 老騎士
【スキル】騎乗 など
――
……拙者の名はブルー・アイスマン。
この世界ではただの二足歩行のブタでござる。今日は馬を買いに町まで、野を超え山を越えひたすら歩くのでござった。
町まで馬を買いに行くブタ一行のメンバーの内訳は、リーダーのブタとたぬきのポコとうさぎのウサ、そして唯一の人間でエリートな騎士である老人の4人(?)PTだった。
途中、山賊に襲われるたびに彼らはお金やお弁当を巻き上げ、焼け太りをしながら町へ向かっていた(……ひどい話だ)
通称ブタ子爵家の家宰にして執事、また王国公認騎士でナンデモ係な呼称は「じいや」な老人と、お供のブタ、タヌキ、ウサギの設定で町へ来た。何も知らない人間への対策だった。
町の門をくぐると、途端にジロジロと、村人が好奇なまなざしで一行を迎えた。
「やあねブタよ、ブタ」
「いやよね、臭いわ。近寄りたくないわ!」
とりあえず、拙者は年頃の村娘たちにボロクソ言われた。
……が、
「きゃあ かわいい ウサギよ♡」
「きゃっきゃ❤」
(´・ω・`) 見た目は可愛いけど、そのうさちゃんSTR(攻撃力)が255(カンスト)で酒癖めっちゃわるいでござるよ。
ヒソヒソ (´・ω・)(・ω・`) やっぱり外見大切だね……タヌキとブタは拗ねていた。そう、同じ動物なのに……。世の中は極めて残酷だ。
「いくぞ、ブタ共!」
老騎士はブタ達に言い放つ。
(´・ω・`) ……想定通りの演技だけど、なんかヒドイ感じに聞こえるでござる。
一行は町の中ほどに来た。
老騎士たちは一軒の宿の門をくぐる。
「いらっしゃいませ!」
カウンター越しに、白髪の老騎士にニコニコ顔な宿屋の主人。
「ゴホン。個室一つに馬小屋を3匹分、餌ありで!」
「まいどあり!」
宿屋の親父は揉み手をしながら微笑む、金をだせということだった。
「お代だ!」
老騎士は数えた銅貨をカウンターにばらまき、荒っぽい勇者を演じる。
(´・ω・`) ……テレビ番組と違って、宿屋も飯屋も風呂屋もみんな前金。大変風情がないでござる。
宿屋の親父が支払われた銅貨を明りにかざし、その真贋を見極める。
……拙者たちは背筋が凍った。
『やばいぶひぃ……』
『疑われているポコ?』
『銅は本物ウサ!』
『それがし、は、わからないが……』
……そう、この銅貨はブタ領製の真っ赤な偽物。ウサが掘り出し、ポコが類まれなるDEX(器用さ)で創った鋳型に流し込み、冷やしたものを拙者が土埃で汚したものだったでござる。
宿屋の親父は目を細めて言った。
「これはハリコフ王国宮廷造幣局のタリル歴194年の良質なものですな」
Σ( ̄□ ̄|||) ……やべぇ! なんだかいろいろ全然やばぃ!
「わかるかね?」
白髪の老騎士はそううそぶく。
「わかりますとも。長い間商売をしておりますと、このなんていうか銅貨から古の造幣の息吹が感じられます。」
Σ( ̄□ ̄|||) だめぽ~それは昨日インチキ鋳型でつくった最も新しい偽物でござるよ。
むふ~ <(`^´)> タヌキが鼻息を荒げご満悦。
主人はニコニコ顔で銅貨をカウンターの下にしまう。
「ぢいやよ、なんだか悪い気がするでござる……。」
「殿! 今の我々の手持ちは、ほとんどが偽銅貨ですぞ、辛抱なされ!」
……拙者たちはモゴモゴ言いながら、馬小屋に行くふりをして老騎士の個室に入った。
「ぽこー」
「うさー」
「ぶひー」
「皆様方、お疲れ様です」
実はこの一行、もちろん人間様が一番偉くないパーディーである。
が、人間社会においては社会的な信用のある騎士がいなければうまく事は運ばない。
……そう、悔しかったら狸もブタも兎も王国が定期的に開催する共通一次筆記騎士試験をうければいいのだ。
もちろん将校養成学校なので信じられないほどの難関である。まず受からない……という作者のとっさの思い付きの設定だ(大盛り)
……まぁ、そんなことはどうでもよかった。
そう問題は、この個室に唯一無二、この一個だけの【簡易ベット】だ。
できればこれを優雅に独り占めしたいのが人情だろう。
……激しい戦いののち。
「ウサー!」
STRカンストのちっちゃいウサギの大勝利だった。
いつも殴り合えば結果は決まっている。
が、人生の真の戦場において罵り合いをすることはまずありえない。
……老若男女を問わず、結局人類はコブシでしか語り合えあえないのだ(てきとう)
うさぎ(STR255)は2匹と一匹ををボコボコにして、真っ白なシーツと枕を独占しその栄華を満喫していた。友情とは?(哲学)
負け組である一人と二匹は、とりあえず町へ来た目的を遂行することにした。
途中ポコは偽造技術向上のためにスラム街へ音もなく消える。
拙者と老騎士は騎兵部隊設立のための軍馬を購入することになっていたでござる。
「もし!」
「ブヒ!」
馬屋の主人は身を乗り出して挨拶をした。
「これはこれは騎士様!」
……(´・ω・`) またもや拙者は無視されるでござる(嫉妬)
じいやが馬屋の主人の注意を引き付けているすきに。
【システム通知】……【スキル】獣言葉を発動!
「ブヒブヒブヒ(誰が一番足速いの?教えて~♪)」
そう、馬に直接聞く作戦、コストパフォーマンスの術!!
「ひひひーん!」
「ブヒ?……Σ( ̄□ ̄|||)まぢ? 」
「ブヒブヒブーブー? (誰が一番力持ち? 教えて~♪)」
「っひひっひーんひひ!」
「ブヒヒ? ……Σ(´・皿・`) マヂっすか? 」
拙者は老騎士にことの成り行きを告げた。
「…… Σ( ̄□ ̄|||) 殿! まことですか?」
実はこの馬屋の最高速を誇るスプリンターは、ここで寝ているでっぷりとした茶色い大きな牛。
続いて、もっとも力がつよいのは、神経質そうに老騎士の足元でプルプル震えているガリガリに痩せた灰色のロバだった。
……かなり見た目によらない。ちなみにどちらも馬ではない。
拙者は老騎士と相談して、牛とロバと馬10頭を購入したでござる。
以下内訳……
【でっぷりとした茶色い牛】……銅貨5枚(約500円)
【やせっぽっちのロバ】……銅貨3枚(約300円)
【馬】10頭……銅貨3万5000枚(約350万円)
馬屋の主人は、すべての支払いが銅貨という条件に顔をひきつらせたが、いつも寝てばかりの怠けものの牛と、いつも滅茶滅茶に食べるだけでその存在がよくわからない灰色のロバを引き取るという条件に狂喜したのだった。
……とりあえず、前金は銅貨500枚で残りは通称ブタ領にて引き渡しとする約定を結んだでござる。
……こいつらどんだけなんだ? (;’∀’)
そのあとすぐに、半端なく昼寝する茶色いデブ牛と、爆食しまくる灰色のガチクソ痩せな
ロバに辟易することになったでござった。
「うさ~!(おかえり!)」
「ブヒブヒ」
「某も帰参!」
拙者たちは宿に帰りのんびりしていたところ……。ポコが帰ってきた。
「ぽこぽぽこぽこ~♪」
Σ( ̄□ ̄|||) ……ぇ?
掘り出し物を手にいれたと、大変喜んでいるポコ。
【ミカンの汁で炙ると古の最強古代ドラゴンが出てくる羊皮紙】を手に入れたらしい。
またか……(´・ω・)(・ω・`)(・ω・`)
(‘д‘⊂彡☆))Д´) ぱ~ん ☆
……タヌキはウサにシバかれて気絶した。
一見弱点がなさそうなポコだが、最近はタヌキが良すぎて人間に騙されることが多いことが判明したのだった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

恐怖体験や殺人事件都市伝説ほかの駄文
高見 梁川
エッセイ・ノンフィクション
管理人自身の恐怖体験や、ネット上や読書で知った大量殺人犯、謎の未解決事件や歴史ミステリーなどをまとめた忘備録。
個人的な記録用のブログが削除されてしまったので、データを転載します。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?
ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。
アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。
15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに自分の恋も叶えちゃいます!
MEIKO
恋愛
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!
笑って泣けるラブコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。
お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する
大福金
ファンタジー
次世代ファンタジーカップ【ユニークキャラクター賞】受賞作
《あらすじ》
この世界では12歳になると、自分に合ったジョブが決まる。これは神からのギフトとされこの時に人生が決まる。
皆、華やかなジョブを希望するが何に成るかは神次第なのだ。
そんな中俺はジョブを決める12歳の洗礼式で【魔物使い】テイマーになった。
花形のジョブではないが動物は好きだし俺は魔物使いと言うジョブを気にいっていた。
ジョブが決まれば12歳から修行にでる。15歳になるとこのジョブでお金を稼ぐ事もできるし。冒険者登録をして世界を旅しながらお金を稼ぐ事もできる。
この時俺はまだ見ぬ未来に期待していた。
だが俺は……一年たっても二年たっても一匹もテイム出来なかった。
犬や猫、底辺魔物のスライムやゴブリンでさえテイム出来ない。
俺のジョブは本当に魔物使いなのか疑うほどに。
こんな俺でも同郷のデュークが冒険者パーティー【深緑の牙】に仲間に入れてくれた。
俺はメンバーの為に必死に頑張った。
なのに……あんな形で俺を追放なんて‼︎
そんな無能な俺が後に……
SSSランクのフェンリルをテイム(使役)し無双する
主人公ティーゴの活躍とは裏腹に
深緑の牙はどんどん転落して行く……
基本ほのぼのです。可愛いもふもふフェンリルを愛でます。
たまに人の為にもふもふ無双します。
ざまぁ後は可愛いもふもふ達とのんびり旅をして行きます。
もふもふ仲間はどんどん増えて行きます。可愛いもふもふ仲間達をティーゴはドンドン無自覚にタラシこんでいきます。

侯爵夫人の手紙
桃井すもも
恋愛
侯爵夫人ルイーザは、王都の邸を離れて湖畔の別荘にいた。
別荘は夫の祖父が終の棲家にしていた邸宅で、森と湖畔があるだけの静かな場所だった。
ルイーザは庭のブランコを揺らしながら、これといって考えることが何もないことに気が付いた。
今まで只管忙しなく暮らしてきた。家の為に領地の為に、夫の為に。
ついつい自分の事は後回しになって、鏡を見る暇も無かった。
それが今は森と湖畔以外は何もないこの場所で、なんにもしない暮らしをしている。
何故ならルイーザは、家政も執務も社交も投げ出して、王都の暮らしから飛び出して来た。
そうして夫からも、逃げ出して来たのであった。
❇後半部分に出産に関わるセンシティブな内容がございます。関連話冒頭に注意書きにて表記をさせて頂きます。苦手な方は読み飛ばして下さいませ。
❇例の如く、鬼の誤字脱字を修復すべく公開後に激しい修正が入ります。
「間を置いて二度美味しい」とご笑覧下さい。
❇登場人物のお名前が他作品とダダ被りしておりますが、皆様別人でございます。
❇相変わらずの100%妄想の産物です。妄想なので史実とは異なっております。
❇妄想遠泳の果てに波打ち際に打ち上げられた妄想スイマーによる寝物語です。
疲れたお心とお身体を妄想で癒やして頂けますと泳ぎ甲斐があります。
❇座右の銘は「知らないことは書けない」「嘘をつくなら最後まで」

元婚約者は戻らない
基本二度寝
恋愛
侯爵家の子息カルバンは実行した。
人前で伯爵令嬢ナユリーナに、婚約破棄を告げてやった。
カルバンから破棄した婚約は、ナユリーナに瑕疵がつく。
そうなれば、彼女はもうまともな縁談は望めない。
見目は良いが気の強いナユリーナ。
彼女を愛人として拾ってやれば、カルバンに感謝して大人しい女になるはずだと考えた。
二話完結+余談
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる