婚約令嬢の侍女調教

和泉葉也

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最終章 貴族院への道

調教の日々の始まり

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 二日ほど、ターニアに案内された別の小部屋で過ごしていると、ようやく準備が整ったようで夕食後にドレッサールームへと招かれた。
 用意された衣装は、先日当てがわれた侍女服より丈が短くされており、公爵家で着た物より生地が上質だった分卑猥に見える。

 身体に合わせた特別製のコルセットで力一杯背中を締め付けられ、後ろの留め金で固定された。さすがに息が苦しくなったものの、落ち着く暇も与えずに、ターニアは大きな環の取り付けられた首輪をセレンティアに嵌めて、それからブラウスとタイを着せていく。
 当然のように下半身を覆う布は用意されず、代わりに見覚えのある布で出来た枷が手足に取り付けられた。首の環にはリードが繋がれて、セレンティアは犬のように四つん這いになって歩くように促される。
 太い鉄の口枷を咬まされ、軽い化粧を施すと、ターニアは満足そうにセレンティアの秘芯を撫でてから部屋を出た。

 王宮の中だと言うのに静まり返っており、ターニアと護衛の兵士の足音だけが響き渡る。三度目の曲がり角を通った所で赤い扉の前で止まり、ターニアがノックを数度行うと、すぐに王室の侍女服を身につけた女性が二人を招き入れる。

 中はいくつかの小部屋の扉があり、更に奥扉が続いていた。大部屋には格子の取り付けた大きな窓が有り、日当たりが異様なくらい良さそうだ。高い天井と広々として寝台が異常に気味が悪く。備え付けられた戸棚には淫らな道具が詰め込まれている。

「……ここは、あの女の部屋なの。どんなに泣き叫んでも、誰にも届かない頑丈な造りで出来ている…。外は王宮の中で一番の高さで、飛び降りて逃げ出す事も叶わないわ。バスルームは湯沸かしも出来る特別製だから、身体だけは清潔に保たれてよ」

 髪を優しく撫でながら、ターニアは部屋の隅の小棚にセレンティアを押し込め、奥に取り付けられた鎖を枷に取り付けた。壁と合わさるように背中が固定され、はしたなく秘芯を前に晒す形となった。

「この国の古い、失われた技術よ…。貴方もご覧になった秘芯に付ける枷は、色々な種類が有るの…。専用の器具が無いと、決して外れない残酷なお道具。敏感な箇所を締め付けるもの、中に食い込ませて工具でも取り外せなくしてしまう、拷問用の枷。それから、少しずつ枷の中でバネが動いて、淫らな刺激を送り込むの」

 戸棚から鍵の掛けられた小箱を取り出し、ターニアはバネが中に付いた枷を見せた。カティーナに付けられた物と同じだが、小さな金属バネの先には柔らかなクッションのような物が付いていて、枷の中で出来た熱を動力に、ほんの少しずつだけ動くらしい。

「秘芯に締め付けを与えるものは、一日だって耐えられないそうよ…。セレンティアには淫らな刺激を与える枷が付けられるから、苦痛では無く悦びを与えられるだけ。でも、バネで動くのは僅かだから、ほんの少し、少しだけ一定の時間で啄まれるの…。私が受けた枷の中で、最も残酷で身体には優しい、卑猥な枷」

 抵抗する間も与えずに、ターニアは慣れた手付きでセレンティアの敏感な箇所に金属の枷を挟み込んだ。冷たい感触に身震いしたが、さほど違和感や痛みも感じない。

 しばらくすると秘芯の熱が吸い上げられるような感覚になり、やがて時計の針が少しだけ動いたような鈍い刺激が送り込まれた。10秒、30秒に一度…だろうか? ほんの少しだけ与えられる悦びに身体がうねり狂い、何故口枷を取り付けられているかを把握した。

「私たちが居城に向かうためには、あの女のご機嫌を取らなくてはならないのよ…。セレンティア、これは侍女となるため。将来の女王になるための最初のレッスン。貴方はとても美しく気高いから、すぐに気に入られてよ…」

 髪を何度か撫でてから、ターニアは部屋を後にする。少しずつ、ほんの少しだけ与えられる快楽はもどかしく、誰でもいいから秘芯に触れて、蜜を流させてくれないかと、甘い考えが押し寄せた。
 奥に触れて、掻き乱して、酷く痛めつけては貰えないだろうか…? 刺激を送り込まれては止まり、拘束された身体が達したくて仕方なく、解放して貰いたくて疼きまわる。

 やがて、時間の間隔も消え去り、汗と小水に塗れてしまった淫らなセレンティアの前に、赤茶色の瞳をした女性が姿を見せる。
 品定めをするかのように体を見回し、ゆっくりと時間をかけてから顎に指を触れた。今までの選択が、考え方が、理想していた先と違えていたのかもしれない。

 少しだけ冷静になって、貧しくても自由な生き方が出来た過去の自分を思い描く。何故や、後悔はもう尽きてしまった。
 演技としての恭順を出すのは、きっともう無理なのだろう…。目の前の残忍な王女に首を振って舌を差し出し、何でも命令に従う淫らな侍女として、生きるしか道はない…?

 身体に触れられた刺激で少しだけ達して、意識が戻ってきた。この女は、単なる臆病な手駒……。自分が貴族院に君臨し、やがては女王候補となるために必要なだけの可哀そうで孤独な姫君。
 でも今の自分の役割は、尽くして忠誠を誓って、大人しく従う侍女となる調教を受けるだけ。

 心の中での笑いを飲み込み、セレンティアは愛おしそうに見つめるふりをして腰を何度も浮かせて、老いた女の乾いた指先を待ち焦がれた。

 痛ぶられ、罵られて卑猥な行為をされるのは、自分が相手を酷く攻め立てる側に成り代わるまでの、僅かな時間の出来事でしかないのだから…。


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