婚約令嬢の侍女調教

和泉葉也

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最終章 貴族院への道

侍女見習いの身嗜み(2)

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「貴方は、とても強い人だわ…セレンティア。侍女に志願した貴方を、王女は酷く痛め付けるでしょうけれど、気高さを失う事はないでしょうね。
 酷くされる事と、罰を与える行為は同じモノよ。鞭で打たれて秘芯を濡らすのも、打ちすえる自分の姿に蜜を垂らすのも、どちらも同じ行為…。

 そうね…。きっと貴方も私も、心の何処かで憎らしい女たちを愛しているのよ。セレンティアはレイチェル夫人を屈服させたくて、私はカスティア王女を傅かせたくて、理不尽な罰に付き合っている」

 侍女見習いを志願したのは、カティーナを殺させた王女とレイチェル夫人への怒り…。だったのかもしれない。でも、王宮に立ち入って、想像も出来ないような残虐な行いで酷くされるのを、楽しみに思っているのかもしれない。

 ターニアの秘芯に指先深く押し込みながら、セレンティアは姿見に映る冷徹な笑みを浮かべる自分の顔を見つめた。レイチェル夫人にそっくりで、慈悲もなく愛らしさもなく、ただ冷たい。刑務官か処刑人のような鋭い眼差しをしている。

——そうだったわね。あのまま紫水晶の鍵を受け取って、花奴隷の管理をしながら貴族院を掌握していけば、命の危険は有ったけれど、何もせずに権力を手に入れられた。
 管理をしなくても、テオルース様と正式に婚約して女の子を産み、次代の女王の王母となれば、レイチェル夫人やカスティア王女を牽制できた。

 でも、酷い扱いを受ける事が分かりきって居るのに、王宮での侍女見習いを望んだのは。……楽しんでいるからだ。
 鴨が首を絞められる際に、小間使いが鞭を打たれるたびに、カティーナが燃えてしまった時に、とても心が満たされて和んだ。息が荒くなり、秘芯を濡らして蜜を垂らし、更なる凄惨な現場を見て、自分も試したくなった。

「……そうね、私たち二人で居城に入って。ずっと楽しく、暮らしましょうか。あの二人を屈服させるまでは、表面上では仲が良くないように装って、貴方は元老院から、私は貴族院から、この国を手に入れるの…。
 きっと、毎日が素敵で、とても楽しい日々になるわ」

 カスティア王女に取り入って侍女になったら、貴族院について内部から学んでいこう。役に立たない、名ばかりの父に中立派の代表となるように操って、中立派閥の勢力を伸ばして、それから…。

 考えを巡らせながら、二人で何度も気もやって身体を預け合う。貴族として讃えられて、王女のお気に入りとなり政治の中枢を治め、表向きは中立派を装って影に隠れる。
 現国王と対面し、次の王となるように認められれば良し。もしくはカスティア王女が自滅するまで待つか、次代の女王候補のエリヴァルイウス姫を傀儡としてしまうか。

「いいわ、ターニア…。カスティアベルン王女にお会い出来るのを、楽しみに、待っているわ。孤独なお姫さまは、どんなおままごとで私たち貴族の娘を満足させて下さるのかしら? 鞭を振るって畏怖させて、老いて乾いた肌と秘芯に口付けをするように脅しかけるのかしら…? お飾りの分際で私たちに傷を付けようなんて、王族なんて無様なものね。
 貴方の肌に付けられた傷痕よりも、彼女に深いナイフを突き立ててあげる事をお約束してよ…」

「準備が整い次第、彼女の遊戯場に案内するわ…。早く貴方の、冷たい眼差しを見せて差し上げたいの」

 ターニアの身体は、高揚感で痙攣を起こした。それを背中から優しく撫でてやりながら、最初に彼女と会った際に畏怖した自分が、何て愚かな考えを持っていたのだろうと、セレンティアは醜い獣を見るかのように強く秘芯を掻き乱した。
 弱い女たち、臆病な王族。罠を巡らせるだけの公爵夫人。自分を虐げた義母たち。浮かんでは消える人影を思い起こしながら、その全てが槍で突かれて命を落とせば良いと思った。

 赤茶色の瞳に生まれただけで、虐げられた二人の女たち。可哀想で、孤独で、深い傷みを抱えて必死で生きている。
 狂った王女が、どれだけ知恵を巡らせて自分を楽しませてくれるのか…。ターニアを腕に抱き、口付けを与えながら、カスティア王女との対面の時間を楽しみに待つとしよう。
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