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第四章 サディスト夫人の嗜虐
指先潰し(2)
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「……ひぃ、あっぐっ! ぁ…んぐっ!」
痛みよりも、本来なら異物を入れられる事は決して無い爪の間への違和感と恐怖に、身体全身で震え出す。流れ出す血は爪の中で止まっており、その動きにさえ不快感を覚えた。
「まだ、たったの三本目なのに、そんなに騒いで居たら可愛らしい爪が剥げてしまってよ。お嬢様らしく、上品に耐えなくては淑女とは呼べないわ」
「セレンティア様は酷くされる事の余韻に、浸っておられるのかもしれません」
レイン侍女長は、拷問としか言えない爪先の針責めを楽しそうに見つめながら、よりにもよって追加の紅茶をカップに注いだ。
悶え苦しむセレンティアをそのままに、レイチェル夫人は二杯目の紅茶を飲み干し、乾燥させた果実を美味しそうに口にしていた。
「——手元が狂ったら、きっと爪だけではなく指先まで爛れてしまうわね。でも、酷くされるのがお好みなら、むしろ何回でも刺し間違いをしたくなってしまうわ…。爪先は、貴方が思っているより硬くて頑丈に出来ていてよ。もっと痛みを与えるなら、短く切って行くとか、丁寧に剥がしてしまうのだけれど、これは拷問ではなくレッスンなのだから、耐え切れる範囲の傷痕しか残さないのが作法なの」
「……奥様。セレンティア様の秘芯が、たっぷりと蜜を垂らし始めました。苦痛を覚えながら、感じてしまわれたようです」
よく動くようになった張り型を、マリーは勢いよく上下させる。頭の中を揺さぶられる衝撃に、セレンティアはガラスを砕かれたような悲鳴を上げた。
「んぐっ、あぁ! 針が。針を、抜いて…、ぐっ、んんっ!! 中に、なか、に。入って、きて…」
「あらあら。苦痛を与えるはずなのに、お楽しみの時間になってしまうだなんて…。このお嬢様は、本当に酷くされるのがお好きなのね…。もっと痛ぶって、叩いて、蔑んで、涙も声も全部枯れるまで見続けていたいけれど、このままでは貴方が本当に壊れてしまってよ?」
レイン侍女長が、爪の間に刺さったままの針を抜いていき、血が滲む指先に口を這わせて優しく愛撫した。
ようやく解放され安堵はしたものの、マリーの張り型は動きを止める事はなく、すぐに艶やかな声を出させられる。
三度ほど気をやった所で張り型からも解放され、セレンティアは水を飲まされ、身体の汗や蜜を丁寧に正された。
「さて、それでは口枷を付けてから再開しましょう。二本で気狂いになる侍女が多いのに、三本目でも蜜を垂らすだなんて…。テオルースの伴侶としても相応しい、まさに淑女でしてよ。
目隠しをしてあげる優しさも有るけれど、せっかくだからその美しい瞳が恐怖に怯える様を見物したくなくて?」
口枷を付けられ、お腹周りを縄でデスクに固定されていく。悶えようにも、抗おうにも手足に胴まで自由を奪われては、精々、顔を背けるくらいしか出来そうにも無い。
そんな動作でさえ、カースティ補佐官によって押さえつけられ、目線は針を向くように促される。
「痛くない、痛くないって心の中で叫び続けたら、少しだけラクになるかもしれなくってよ…。レインとマリーが、貴方の秘芯に触れて、蜜を垂らして苦痛を和らげて下さるのだし、もう少しくらい耐え抜いて淑女としての気品を見せて欲しいわ。ふふっ、一度安堵してから打たれると、とても怖いわよね? でも、赤く染まった指先は、全て彩られた方が強い爪が生えてくるのよ…」
四本目の針は、右手の薬指に勢いよく突き立てられた。声を荒げる事も、目を背ける事でさえ取り上げられたセレンティアは、もう何も考えずに現状を受け入れる事しか許されなかった。
残りは十六本、途中で止めてくれるかもしれない。今の針で、もう終わりにしてくれるかもしれない。淡い期待を脳裏に描きつつ、次に目に入ってきた満面の笑みを浮かべたレイチェル夫人は、五本目の針を正確な位置に突き立てた。
痛みよりも、本来なら異物を入れられる事は決して無い爪の間への違和感と恐怖に、身体全身で震え出す。流れ出す血は爪の中で止まっており、その動きにさえ不快感を覚えた。
「まだ、たったの三本目なのに、そんなに騒いで居たら可愛らしい爪が剥げてしまってよ。お嬢様らしく、上品に耐えなくては淑女とは呼べないわ」
「セレンティア様は酷くされる事の余韻に、浸っておられるのかもしれません」
レイン侍女長は、拷問としか言えない爪先の針責めを楽しそうに見つめながら、よりにもよって追加の紅茶をカップに注いだ。
悶え苦しむセレンティアをそのままに、レイチェル夫人は二杯目の紅茶を飲み干し、乾燥させた果実を美味しそうに口にしていた。
「——手元が狂ったら、きっと爪だけではなく指先まで爛れてしまうわね。でも、酷くされるのがお好みなら、むしろ何回でも刺し間違いをしたくなってしまうわ…。爪先は、貴方が思っているより硬くて頑丈に出来ていてよ。もっと痛みを与えるなら、短く切って行くとか、丁寧に剥がしてしまうのだけれど、これは拷問ではなくレッスンなのだから、耐え切れる範囲の傷痕しか残さないのが作法なの」
「……奥様。セレンティア様の秘芯が、たっぷりと蜜を垂らし始めました。苦痛を覚えながら、感じてしまわれたようです」
よく動くようになった張り型を、マリーは勢いよく上下させる。頭の中を揺さぶられる衝撃に、セレンティアはガラスを砕かれたような悲鳴を上げた。
「んぐっ、あぁ! 針が。針を、抜いて…、ぐっ、んんっ!! 中に、なか、に。入って、きて…」
「あらあら。苦痛を与えるはずなのに、お楽しみの時間になってしまうだなんて…。このお嬢様は、本当に酷くされるのがお好きなのね…。もっと痛ぶって、叩いて、蔑んで、涙も声も全部枯れるまで見続けていたいけれど、このままでは貴方が本当に壊れてしまってよ?」
レイン侍女長が、爪の間に刺さったままの針を抜いていき、血が滲む指先に口を這わせて優しく愛撫した。
ようやく解放され安堵はしたものの、マリーの張り型は動きを止める事はなく、すぐに艶やかな声を出させられる。
三度ほど気をやった所で張り型からも解放され、セレンティアは水を飲まされ、身体の汗や蜜を丁寧に正された。
「さて、それでは口枷を付けてから再開しましょう。二本で気狂いになる侍女が多いのに、三本目でも蜜を垂らすだなんて…。テオルースの伴侶としても相応しい、まさに淑女でしてよ。
目隠しをしてあげる優しさも有るけれど、せっかくだからその美しい瞳が恐怖に怯える様を見物したくなくて?」
口枷を付けられ、お腹周りを縄でデスクに固定されていく。悶えようにも、抗おうにも手足に胴まで自由を奪われては、精々、顔を背けるくらいしか出来そうにも無い。
そんな動作でさえ、カースティ補佐官によって押さえつけられ、目線は針を向くように促される。
「痛くない、痛くないって心の中で叫び続けたら、少しだけラクになるかもしれなくってよ…。レインとマリーが、貴方の秘芯に触れて、蜜を垂らして苦痛を和らげて下さるのだし、もう少しくらい耐え抜いて淑女としての気品を見せて欲しいわ。ふふっ、一度安堵してから打たれると、とても怖いわよね? でも、赤く染まった指先は、全て彩られた方が強い爪が生えてくるのよ…」
四本目の針は、右手の薬指に勢いよく突き立てられた。声を荒げる事も、目を背ける事でさえ取り上げられたセレンティアは、もう何も考えずに現状を受け入れる事しか許されなかった。
残りは十六本、途中で止めてくれるかもしれない。今の針で、もう終わりにしてくれるかもしれない。淡い期待を脳裏に描きつつ、次に目に入ってきた満面の笑みを浮かべたレイチェル夫人は、五本目の針を正確な位置に突き立てた。
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