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第四章 サディスト夫人の嗜虐
指先潰し(1)
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「息子の婚約候補として、侍女に上がったお嬢様が虐待を受けていると聞いて、公務を早めて戻って来たら…。侍女と戯れてお小水や排泄までしながら、最後は大声で叫んでいらしたわね…。カースティ。これは、どういう教育を受けてお育ちになったのかしら?」
「セレンティア様は。何と申しましょうか、酷くされる事で、身体に悦びを覚える令嬢のようです」
「あら、そうなの。それでは虐待を受けていたのではなく、自ら進んで鞭に打たれたかったの…」
目の前の女性が公爵夫人である事を理解するまでに、セレンティアは数刻の時間を要した。
思い起こせば、小間使いの少年が入ってきた際に大きな物音がしたような気もするが、それにしても気配を絶ってまで、三人で痴態を見物するとは、随分と悪趣味な話ではある。
「そうね。せっかくだから、彼女がどれだけ酷くされても耐え切れるか、私が実際に試してみましょうか…」
侍女のマリーは張り型を差し入れた体制のまま、セレンティアを執務室のデスクに仰向けに寝かせた。
すぐにレイン侍女長が手足を枷で固定し、黒い小箱のような物を準備してから、丹念に手指を消毒していった…。
「……あ、うっ、…あっ…く」
「まだ、快楽で痙攣されているみたいですね。すっかり張り型も収まったままですから、緊張がほぐれるまでは、このままに致しましょうか…」
恥ずかしさと動揺とが続いていたため、衝撃が大き過ぎて言葉が上手く紡げずに、セレンティアはされるがまま執務室のデスクに括り付けられた。
「この婚約候補者殿は、随分と熱っぽい視線で身体をよじらせて居るのね。ふふっ、どこまで耐え切れるのか楽しみで仕方ないのだけど…。この小箱は、手癖の悪い侍女に教育を施す際に使う物よ。本来なら二本も施術すれば、従順になるのだけれど。貴方には全部の針を使っても、きっと気狂いにもならないわね…」
夫人は黒い小箱を開いて、中に収められた二十本の針をセレンティアに見せつけた。
細い物や太いもの、先端は極めて細くなっており、それぞれ一本ずつ意匠も異なっていた。まだ唇を震わせていたので声を上げる事も出来ず、セレンティアは目線だけで恐怖を感じている事を何とか伝え、掲げられた針を見ないように瞳を硬く閉じた。
「あら、目を瞑ると余計に痛みが増してしまってよ。たったの二十本なのだから、大した苦痛でも無いわ…」
カースティ補佐官が瞼に触れ、目の前に針が近づけられる。夫人は閉じたままなら手元を狂わせてしまう、等と脅しをかけてきたので、仕方なくセレンティアは大きく息を吸って目を見開いた。
「二十本という数字に、疑問や恐れを感じているみたいね。でも、これは侍女への教育のためのお道具なのだから、身体に大きな負担が訪れる事は、ないわ…」
「……あっ、ひぐっ!! んっ、ああっ!!」
右手の小指の隙間に針が突き立てられ、出なかったはずの声が溢れ出した。非難や静止の言葉は思い浮かんだが、それよりも苦痛の方が優っており、悲鳴としての叫びしか口には出せない。
「指先の形に合わせて作られた、特別な針よ。柔軟性も高いから、軽く曲げて隙間に刺すとすぐには外れない残酷なお道具よ。
足の指から施術した方が痛みは無いのだけれど、張り型が抜けなくては、手指を責め立てるしか無いわね…」
隙間に刺された針は、爪の色を染めるための装置でもあるかのようにセレンティアの血で染まっていき、爪先は真っ赤に塗られていく。
二本目の針は何度も刺し間違いをされ、左手の小指の隙間からは血が流れ落ちた。
繊細な神経の間を針で突き立てられ、手のひらと手首とが痛みに痺れてきた。
これを残り十八回も行ったのならば、確かに気狂いとなってもおかしくは無い。
「セレンティア様は。何と申しましょうか、酷くされる事で、身体に悦びを覚える令嬢のようです」
「あら、そうなの。それでは虐待を受けていたのではなく、自ら進んで鞭に打たれたかったの…」
目の前の女性が公爵夫人である事を理解するまでに、セレンティアは数刻の時間を要した。
思い起こせば、小間使いの少年が入ってきた際に大きな物音がしたような気もするが、それにしても気配を絶ってまで、三人で痴態を見物するとは、随分と悪趣味な話ではある。
「そうね。せっかくだから、彼女がどれだけ酷くされても耐え切れるか、私が実際に試してみましょうか…」
侍女のマリーは張り型を差し入れた体制のまま、セレンティアを執務室のデスクに仰向けに寝かせた。
すぐにレイン侍女長が手足を枷で固定し、黒い小箱のような物を準備してから、丹念に手指を消毒していった…。
「……あ、うっ、…あっ…く」
「まだ、快楽で痙攣されているみたいですね。すっかり張り型も収まったままですから、緊張がほぐれるまでは、このままに致しましょうか…」
恥ずかしさと動揺とが続いていたため、衝撃が大き過ぎて言葉が上手く紡げずに、セレンティアはされるがまま執務室のデスクに括り付けられた。
「この婚約候補者殿は、随分と熱っぽい視線で身体をよじらせて居るのね。ふふっ、どこまで耐え切れるのか楽しみで仕方ないのだけど…。この小箱は、手癖の悪い侍女に教育を施す際に使う物よ。本来なら二本も施術すれば、従順になるのだけれど。貴方には全部の針を使っても、きっと気狂いにもならないわね…」
夫人は黒い小箱を開いて、中に収められた二十本の針をセレンティアに見せつけた。
細い物や太いもの、先端は極めて細くなっており、それぞれ一本ずつ意匠も異なっていた。まだ唇を震わせていたので声を上げる事も出来ず、セレンティアは目線だけで恐怖を感じている事を何とか伝え、掲げられた針を見ないように瞳を硬く閉じた。
「あら、目を瞑ると余計に痛みが増してしまってよ。たったの二十本なのだから、大した苦痛でも無いわ…」
カースティ補佐官が瞼に触れ、目の前に針が近づけられる。夫人は閉じたままなら手元を狂わせてしまう、等と脅しをかけてきたので、仕方なくセレンティアは大きく息を吸って目を見開いた。
「二十本という数字に、疑問や恐れを感じているみたいね。でも、これは侍女への教育のためのお道具なのだから、身体に大きな負担が訪れる事は、ないわ…」
「……あっ、ひぐっ!! んっ、ああっ!!」
右手の小指の隙間に針が突き立てられ、出なかったはずの声が溢れ出した。非難や静止の言葉は思い浮かんだが、それよりも苦痛の方が優っており、悲鳴としての叫びしか口には出せない。
「指先の形に合わせて作られた、特別な針よ。柔軟性も高いから、軽く曲げて隙間に刺すとすぐには外れない残酷なお道具よ。
足の指から施術した方が痛みは無いのだけれど、張り型が抜けなくては、手指を責め立てるしか無いわね…」
隙間に刺された針は、爪の色を染めるための装置でもあるかのようにセレンティアの血で染まっていき、爪先は真っ赤に塗られていく。
二本目の針は何度も刺し間違いをされ、左手の小指の隙間からは血が流れ落ちた。
繊細な神経の間を針で突き立てられ、手のひらと手首とが痛みに痺れてきた。
これを残り十八回も行ったのならば、確かに気狂いとなってもおかしくは無い。
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