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第三章 侯爵令嬢としての心得
間話「もしも、エリヴァルが侍女調教を受けたとしたら? その2」
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in邸内庭園
「―――ここは、レイチェル公爵家の邸内庭園です。
本日はこちらで、エリヴァル様にはお花たちのお手入れをして頂きます」
「随分とお金をかけた、滑稽な場所だね。わざわざ外からは見れない造りになっているし、辿り着くまでの警戒も厳重だ。献身的な医師を謳った裏では、献金や裏金に満ち溢れているんだろうね……」
「こ、こちらは外国からの賓客や、特別なお客様をお迎えする際のパーティー会場としても使われますの。あの、その。エリヴァル様には、遠方のロイヤルアゼールから寄贈された花奴隷のお手入れをお願いしますわ」
「そう、ロイヤルアゼールから賄賂の寄贈。……これは、完全なる国家への反逆だね? しかも、花奴隷? 禁止されているというのに、わざわざ王女の前に自分の裏帳簿をさらけ出す様な行いをするなんて、随分とレイチェル公爵家の侍女は、法律に対して呑気だね?」
「あ、あのう。台本に書いてあるから、私も言うしかないんです……」
怯えるクロームファラを前に、エリヴァルは庭園の探索をして、手入れ用の農具や工具が置かれている棚を見つけ出した。それから小さな熊手を手に取り、庭園の噴水でよく洗ってから勢いよく、自分の首の後ろを目掛けて振り下ろした。
「な、な、何をなさるのです!! 誰か、エリヴァル様がご自分の身体に傷を! は、早く治療しなくては!」
叫びだして半狂乱となったクロームファラの唇を深く吸い、エリヴァルは自分が付けた首の傷からほとばしる血の感触を確かめた。
「……花奴隷たちに、人を狂わせる薬を食べさせ続けて、淫らになる香を作っているんだろう? ボクはもう慣れたものだから、香りに酔わされる前に痛みを与えて抑えてしまうよ。全く、こんなものを作るだなんて腹立たしいね……」
すっかりエリヴァルの口づけによって蕩かされ、動けないまま床に付したクロームファラを捨て置いて、工具棚から手入れ用の大振りのつるはしをエリヴァルは持ち出す。
造園用の岩でも砕くために用意されたであろうそれは、王女の力でも軽く振り下ろせる程度の強度と性能を持っていて、ここ以外にも色々と使えそうな武器だった。
「力仕事は苦手だから、本来なら叔父上にお任せしたいんだけどね。これを見てしまった以上は、砕かなくてはならないだろうね……」
大きく音を立てて、ガラスケースが割られていく。それから花奴隷を拘束した枷も、エリヴァルの手で砕かれていき、あまりの事態に三人の花奴隷は庭園のルールも忘れて辺りを見回した。
「ご機嫌よう、禁じられた花奴隷の諸君。貴方がたは今、腐り切った公爵家の規則から取り払われて自由の身の上となった。解放の瞬間を祝う前に、慣れない肉体労働で疲れ果てたボクの身体で、ちょっと戯れてみないかい? そうそう。花奴隷を正しく育てると美味しく、毒のない蜜を育ててくれるらしいし……。今後は転職して、王家のための菓子作りに協力してくれると嬉しいよ」
「あっ、はい……」
つるはしを振るい、首筋から血を流し続ける侍女服姿の王女を前にして、拒否するだけの余裕はなかった。
inカースティ補佐官の執務室
「このような場所に、姫君をお招きして申し訳ございません。
無礼を働いた二人と料理長には、すぐに暇をやらせました。花奴隷たちも、エリヴァル様の庇護下に置いて問題ございません。それから、お衣装の方なのですが……」
「ああ、これはこの服のままでいいんじゃないかな? 丈の短いドレスの方が動きやすいし、いっその事このまま公務を行う予定だよ。何と言っても、レイチェル公爵家謹製だからね、国外の賓客も王女にこの格好で接待された方が、賄賂や情報を集めやすいかな」
丈の短い侍女服は本当に気に入ったらしく、エリヴァルはドレスの裾を捲って自身の秘芯をさらけ出しては楽しそうに笑っていた。カースティ補佐官は、絶対に敵に回さないようにしようと心に深く刻み込んでから、マリーに大量の菓子箱と熱いお茶の準備をさせた。
「ささやかですが、お詫びの品としてお納め下さい。それから、台本によるとエリヴァル様にレッスンを行う事になっているのですが……。私としては、全くその必要は無いように思えるのですが」
「ウェイクフィールドの茶菓子を用意しておくなんて、さすがは補佐官だね。でも、レッスンをしてくれないなんて寂しいから、この菓子箱を食べ終えるまでは付き合ってくれないかな? もちろん、そちらの侍女も一緒に、どちらがチョコレートを食べられるかを、深い口づけで競おうか……」
「―――ここは、レイチェル公爵家の邸内庭園です。
本日はこちらで、エリヴァル様にはお花たちのお手入れをして頂きます」
「随分とお金をかけた、滑稽な場所だね。わざわざ外からは見れない造りになっているし、辿り着くまでの警戒も厳重だ。献身的な医師を謳った裏では、献金や裏金に満ち溢れているんだろうね……」
「こ、こちらは外国からの賓客や、特別なお客様をお迎えする際のパーティー会場としても使われますの。あの、その。エリヴァル様には、遠方のロイヤルアゼールから寄贈された花奴隷のお手入れをお願いしますわ」
「そう、ロイヤルアゼールから賄賂の寄贈。……これは、完全なる国家への反逆だね? しかも、花奴隷? 禁止されているというのに、わざわざ王女の前に自分の裏帳簿をさらけ出す様な行いをするなんて、随分とレイチェル公爵家の侍女は、法律に対して呑気だね?」
「あ、あのう。台本に書いてあるから、私も言うしかないんです……」
怯えるクロームファラを前に、エリヴァルは庭園の探索をして、手入れ用の農具や工具が置かれている棚を見つけ出した。それから小さな熊手を手に取り、庭園の噴水でよく洗ってから勢いよく、自分の首の後ろを目掛けて振り下ろした。
「な、な、何をなさるのです!! 誰か、エリヴァル様がご自分の身体に傷を! は、早く治療しなくては!」
叫びだして半狂乱となったクロームファラの唇を深く吸い、エリヴァルは自分が付けた首の傷からほとばしる血の感触を確かめた。
「……花奴隷たちに、人を狂わせる薬を食べさせ続けて、淫らになる香を作っているんだろう? ボクはもう慣れたものだから、香りに酔わされる前に痛みを与えて抑えてしまうよ。全く、こんなものを作るだなんて腹立たしいね……」
すっかりエリヴァルの口づけによって蕩かされ、動けないまま床に付したクロームファラを捨て置いて、工具棚から手入れ用の大振りのつるはしをエリヴァルは持ち出す。
造園用の岩でも砕くために用意されたであろうそれは、王女の力でも軽く振り下ろせる程度の強度と性能を持っていて、ここ以外にも色々と使えそうな武器だった。
「力仕事は苦手だから、本来なら叔父上にお任せしたいんだけどね。これを見てしまった以上は、砕かなくてはならないだろうね……」
大きく音を立てて、ガラスケースが割られていく。それから花奴隷を拘束した枷も、エリヴァルの手で砕かれていき、あまりの事態に三人の花奴隷は庭園のルールも忘れて辺りを見回した。
「ご機嫌よう、禁じられた花奴隷の諸君。貴方がたは今、腐り切った公爵家の規則から取り払われて自由の身の上となった。解放の瞬間を祝う前に、慣れない肉体労働で疲れ果てたボクの身体で、ちょっと戯れてみないかい? そうそう。花奴隷を正しく育てると美味しく、毒のない蜜を育ててくれるらしいし……。今後は転職して、王家のための菓子作りに協力してくれると嬉しいよ」
「あっ、はい……」
つるはしを振るい、首筋から血を流し続ける侍女服姿の王女を前にして、拒否するだけの余裕はなかった。
inカースティ補佐官の執務室
「このような場所に、姫君をお招きして申し訳ございません。
無礼を働いた二人と料理長には、すぐに暇をやらせました。花奴隷たちも、エリヴァル様の庇護下に置いて問題ございません。それから、お衣装の方なのですが……」
「ああ、これはこの服のままでいいんじゃないかな? 丈の短いドレスの方が動きやすいし、いっその事このまま公務を行う予定だよ。何と言っても、レイチェル公爵家謹製だからね、国外の賓客も王女にこの格好で接待された方が、賄賂や情報を集めやすいかな」
丈の短い侍女服は本当に気に入ったらしく、エリヴァルはドレスの裾を捲って自身の秘芯をさらけ出しては楽しそうに笑っていた。カースティ補佐官は、絶対に敵に回さないようにしようと心に深く刻み込んでから、マリーに大量の菓子箱と熱いお茶の準備をさせた。
「ささやかですが、お詫びの品としてお納め下さい。それから、台本によるとエリヴァル様にレッスンを行う事になっているのですが……。私としては、全くその必要は無いように思えるのですが」
「ウェイクフィールドの茶菓子を用意しておくなんて、さすがは補佐官だね。でも、レッスンをしてくれないなんて寂しいから、この菓子箱を食べ終えるまでは付き合ってくれないかな? もちろん、そちらの侍女も一緒に、どちらがチョコレートを食べられるかを、深い口づけで競おうか……」
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