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第二章 従う事への教育
雇用契約書(3)
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「……この先が炊事場で、バスタブの湯沸かしのための釜はお二階にもございます。浴室係や洗い係は、ここから各お部屋への湯を運んで、皆様の清潔さを保って下さいます」
他のドレスを選ぶ事も許されなかったセレンティアは、手首と膝に付けられた黒い布から伸びた金の環に鉄棒を付けられ、首の環には長いリードを嵌められて犬のような姿勢を強いられた。
足掻いた所で剣術の他に武術も嗜んでいるレミエールの力は凄まじく、床に倒される形で無様な格好となった。
侍女の扱いには程遠く、捕虜か囚人のような姿では有ったが、公爵家の他の働き手が制止する事もなく、遠くからの小さな中傷が耳に届いてくる。
「何故、私がこのような姿にされなくてはならないのですか……。首にリードを付けて引っ張られ、手と膝を突いて幼児のように歩かされて。それから……」
もちろん、セレンティアはドロワーズやロングパニエといった下着の類を身につけては居ない。
膝を動かす度にヒップは丸出しとなり、何とかスカートの生地で見え隠れしてはいる物の、アヌスや秘芯まで丸見えだった。
「セレンティア様は、侍女見習いとしての歩き姿に、何の疑問を感じると言うのです? 私たちは貴方様を謀ろうと、無理な姿勢を強いているわけでは有りません。貴族としての誇りを持ち、毅然とした態度で背筋を伸ばさなくては、ここの職員以前に、当家の領民も従ってくれません」
「こんな姿の何処に、誇りやプライドが有るとおっしゃるのですか……。多少の苛めは覚悟しておりましたが、これでは人と対等に口を利く事も憚れます」
セレンティアの必死の訴えに、レミエールは心からの悔しそうな涙を流した。
「私たちが、いつ貴方様を苛めたと言うのですか……。緊張で、気持ちが堅くなっているのも分かりますが、少々暴言が過ぎましてよ。ファラ、セレンティア様に指導を与えて下さる?」
「もちろんです、レミエール様」
クロームファラはポケットから細長い小ぶりの鞭を取り出すと、そっとセレンティアの左のヒップを撫でてから、勢いよく振り下ろした。
「……ぃ、いや!! 私の身体に、何をなさるの!?」
「不出来な侍女が指導を受けた時は、ありがとうございますと感謝の言葉を述べるのです。ファラ、もう一度指導を」
針でヒップを刺されるような痛みが二度続き、セレンティアは唇を噛み締めながら感謝の言葉を紡いだ。すぐに傷痕には軟膏が塗られ、レミエールは頭を撫でながら褒めてきた。
「貴方は、少々世間知らずの令嬢と聞いております。公爵家での仕来りとの違いを受け入れられず、反発したくなる気持ちもあるでしょうが、私たちは決してセレンティア様を見放したり致しません。
将来の奥方様として、この屋敷を治めるマダムとなり、次代の女王候補を育むべく努める。全ては、貴方様の抱いた夢を現実にするためのレッスンでしてよ」
「行儀見習いを重ねた先には、次期女王となられるカスティアベルン王女との謁見を叶うのですよ。こんな事で弱音を吐いてはなりません」
自分の常識が間違っているのか、この公爵家の決まり事が狂っているのか。
二人の侍女のあまりに熱心な指導と労わりに、苛めや中傷といった物は一切感じられない。
だとすれば、公爵夫人となった先には、どのような未来が待ち受けているのだろうか?
「申し訳ありません、クロームファラ様。レミエール様。私、少々気弱になっていたようです。屋敷の案内の続きを、どうかお願い致します」
痛みが続くヒップを上げ、絨毯に縫い止められているかのように、動く事を恐れ始めた膝を何とか浮かして、前へと歩みを進めていく。
「それでは、少しペースを速めて参りましょう。午後には、セレンティア様の新しいお部屋にお連れしますので、そちらでゆっくりお休み出来るようにスケジュールを調整しておきますわ」
社交場、談話室に調理場。外の庭園や厩を案内される時でさえ、立って歩く事は許されなかった。
セレンティアの膝と手のひらはすっかり擦れて赤くなり、痛みと惨めさから涙を流す度に指導と称した鞭が彼女のヒップに幾度も傷を負わせていく。
他のドレスを選ぶ事も許されなかったセレンティアは、手首と膝に付けられた黒い布から伸びた金の環に鉄棒を付けられ、首の環には長いリードを嵌められて犬のような姿勢を強いられた。
足掻いた所で剣術の他に武術も嗜んでいるレミエールの力は凄まじく、床に倒される形で無様な格好となった。
侍女の扱いには程遠く、捕虜か囚人のような姿では有ったが、公爵家の他の働き手が制止する事もなく、遠くからの小さな中傷が耳に届いてくる。
「何故、私がこのような姿にされなくてはならないのですか……。首にリードを付けて引っ張られ、手と膝を突いて幼児のように歩かされて。それから……」
もちろん、セレンティアはドロワーズやロングパニエといった下着の類を身につけては居ない。
膝を動かす度にヒップは丸出しとなり、何とかスカートの生地で見え隠れしてはいる物の、アヌスや秘芯まで丸見えだった。
「セレンティア様は、侍女見習いとしての歩き姿に、何の疑問を感じると言うのです? 私たちは貴方様を謀ろうと、無理な姿勢を強いているわけでは有りません。貴族としての誇りを持ち、毅然とした態度で背筋を伸ばさなくては、ここの職員以前に、当家の領民も従ってくれません」
「こんな姿の何処に、誇りやプライドが有るとおっしゃるのですか……。多少の苛めは覚悟しておりましたが、これでは人と対等に口を利く事も憚れます」
セレンティアの必死の訴えに、レミエールは心からの悔しそうな涙を流した。
「私たちが、いつ貴方様を苛めたと言うのですか……。緊張で、気持ちが堅くなっているのも分かりますが、少々暴言が過ぎましてよ。ファラ、セレンティア様に指導を与えて下さる?」
「もちろんです、レミエール様」
クロームファラはポケットから細長い小ぶりの鞭を取り出すと、そっとセレンティアの左のヒップを撫でてから、勢いよく振り下ろした。
「……ぃ、いや!! 私の身体に、何をなさるの!?」
「不出来な侍女が指導を受けた時は、ありがとうございますと感謝の言葉を述べるのです。ファラ、もう一度指導を」
針でヒップを刺されるような痛みが二度続き、セレンティアは唇を噛み締めながら感謝の言葉を紡いだ。すぐに傷痕には軟膏が塗られ、レミエールは頭を撫でながら褒めてきた。
「貴方は、少々世間知らずの令嬢と聞いております。公爵家での仕来りとの違いを受け入れられず、反発したくなる気持ちもあるでしょうが、私たちは決してセレンティア様を見放したり致しません。
将来の奥方様として、この屋敷を治めるマダムとなり、次代の女王候補を育むべく努める。全ては、貴方様の抱いた夢を現実にするためのレッスンでしてよ」
「行儀見習いを重ねた先には、次期女王となられるカスティアベルン王女との謁見を叶うのですよ。こんな事で弱音を吐いてはなりません」
自分の常識が間違っているのか、この公爵家の決まり事が狂っているのか。
二人の侍女のあまりに熱心な指導と労わりに、苛めや中傷といった物は一切感じられない。
だとすれば、公爵夫人となった先には、どのような未来が待ち受けているのだろうか?
「申し訳ありません、クロームファラ様。レミエール様。私、少々気弱になっていたようです。屋敷の案内の続きを、どうかお願い致します」
痛みが続くヒップを上げ、絨毯に縫い止められているかのように、動く事を恐れ始めた膝を何とか浮かして、前へと歩みを進めていく。
「それでは、少しペースを速めて参りましょう。午後には、セレンティア様の新しいお部屋にお連れしますので、そちらでゆっくりお休み出来るようにスケジュールを調整しておきますわ」
社交場、談話室に調理場。外の庭園や厩を案内される時でさえ、立って歩く事は許されなかった。
セレンティアの膝と手のひらはすっかり擦れて赤くなり、痛みと惨めさから涙を流す度に指導と称した鞭が彼女のヒップに幾度も傷を負わせていく。
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