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第一章 近未来の普通の大学生は事件に巻き込まれる
第5話 駐車場から依頼人を乗せるために駅に向かう
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《30秒後にドライブ・モードに移行します。
出発地は新八津駅、到着地は綾瀬技術研究所。到着予定時間は11時50分、所要時間は約30分。安全運転でお願いします。》
いつものようにドライブ・モードへの移行メッセージが流れ、設定ルートが書かれた全体地図をおおきく表示し、半透明な小さいウィンドウで右下に移動される。
次にはや回しで、出発地から到着地までのルートを運転する映像で流していく。
《ドライブ・モード、準備完了しました。》
視点が実際の車両に接続され、操縦権限が付与される。
パッシブ・ソナーが発信され、車の周囲に障害物がないことを確認する。
センサーや車載カメラ、周辺の映像を使っても、どうしても死角は存在し、子供や猫などの小動物がまれに隠れていることがあるための対策であった。
周辺に問題のないことを確認し、駅に隣接された自動運転車両専用駐車場から発進する。
車の出入庫は自動化に最適化されるが、駐車スペースから出庫ゲートまでVRモニターごしに体感することで、その車のクセや挙動に慣れることができる。
駐車場内を徐行してるだけだが、今回の車は最新のAIを搭載されるだけあって高いポテンシャルと安心感を感じることができる。
《出庫ゲートを通過。自動運転からAIサポートモードに切り換えます。》
傍観者から、滑らかに操縦者の感覚にきりかわっていく。
出庫ゲートを抜け、緩やかなカーブを加速していく。
《グラビティ・ボール機能を追加しました。》
機能追加のメッセージが流れた。
車体との一体感のなかで、ぼんやりとした球体のイメージが認識される。
加速すると後ろに移動し、加速が終わると元の位置に戻る。どうやら、重心をイメージした球体のようだ。
球体を中心にとどまるような運転を意識すると、車体の挙動がより滑らかになった。
意識の右下に、燃費5%向上、タイア摩耗率2%低下と表示された。
どうやら、重心を安定させることにより、無駄な挙動や稼動ロスが減少し、乗り心地や燃費が向上するようだ。
駅に着くまでの10分弱で、車体と自分の意識の微かな溝がAIによって埋められ、これまでのドライブ・モードでは経験したことのないレベルでの同調を感じている。
数ミリ単位の挙動、一粒の砂をタイアが踏んだ感覚さえ、感じとることができた。
やがて依頼主が待つ駅前のカー・プールに到着した。
ドライブ・サポートの導入により客待ちのタクシーがいなくなったカー・プールは、これまでタクシーが待機していた部分も乗り場に変えていた。
完全予約制となることで、あらかじめ自分が乗車する乗り場の番号が通知され、割り込みも後ろに並ばれるプレッシャーも終電からの乗り継ぎでダッシュで並ぶ必要もなくなった。
当初、高齢者が利用できないのではないかと言う声もあったが、事前登録されたルートを選ぶだけで予約できること、乗り場入口のAIロボットに音声でも対応できることから、支障なく運用することができた。
また、思いのほか好評だったのが、乗車中のAIとの会話だった。
運転席に投影したホノグラム、乗客ひとりひとりに最適化された聞き取りやすい音声、何より相づちを打ちながら孫の話、家族の愚痴、若い頃の話まで丁寧に聞いてくれるのが好評だった。
会話することによって脳も活性化され、気持ちも明るくなる効果があった。
また、会話での応答により、体調不良を予測しヘルスデータと連携することで、国民の生活品質の向上に貢献した。
出発地は新八津駅、到着地は綾瀬技術研究所。到着予定時間は11時50分、所要時間は約30分。安全運転でお願いします。》
いつものようにドライブ・モードへの移行メッセージが流れ、設定ルートが書かれた全体地図をおおきく表示し、半透明な小さいウィンドウで右下に移動される。
次にはや回しで、出発地から到着地までのルートを運転する映像で流していく。
《ドライブ・モード、準備完了しました。》
視点が実際の車両に接続され、操縦権限が付与される。
パッシブ・ソナーが発信され、車の周囲に障害物がないことを確認する。
センサーや車載カメラ、周辺の映像を使っても、どうしても死角は存在し、子供や猫などの小動物がまれに隠れていることがあるための対策であった。
周辺に問題のないことを確認し、駅に隣接された自動運転車両専用駐車場から発進する。
車の出入庫は自動化に最適化されるが、駐車スペースから出庫ゲートまでVRモニターごしに体感することで、その車のクセや挙動に慣れることができる。
駐車場内を徐行してるだけだが、今回の車は最新のAIを搭載されるだけあって高いポテンシャルと安心感を感じることができる。
《出庫ゲートを通過。自動運転からAIサポートモードに切り換えます。》
傍観者から、滑らかに操縦者の感覚にきりかわっていく。
出庫ゲートを抜け、緩やかなカーブを加速していく。
《グラビティ・ボール機能を追加しました。》
機能追加のメッセージが流れた。
車体との一体感のなかで、ぼんやりとした球体のイメージが認識される。
加速すると後ろに移動し、加速が終わると元の位置に戻る。どうやら、重心をイメージした球体のようだ。
球体を中心にとどまるような運転を意識すると、車体の挙動がより滑らかになった。
意識の右下に、燃費5%向上、タイア摩耗率2%低下と表示された。
どうやら、重心を安定させることにより、無駄な挙動や稼動ロスが減少し、乗り心地や燃費が向上するようだ。
駅に着くまでの10分弱で、車体と自分の意識の微かな溝がAIによって埋められ、これまでのドライブ・モードでは経験したことのないレベルでの同調を感じている。
数ミリ単位の挙動、一粒の砂をタイアが踏んだ感覚さえ、感じとることができた。
やがて依頼主が待つ駅前のカー・プールに到着した。
ドライブ・サポートの導入により客待ちのタクシーがいなくなったカー・プールは、これまでタクシーが待機していた部分も乗り場に変えていた。
完全予約制となることで、あらかじめ自分が乗車する乗り場の番号が通知され、割り込みも後ろに並ばれるプレッシャーも終電からの乗り継ぎでダッシュで並ぶ必要もなくなった。
当初、高齢者が利用できないのではないかと言う声もあったが、事前登録されたルートを選ぶだけで予約できること、乗り場入口のAIロボットに音声でも対応できることから、支障なく運用することができた。
また、思いのほか好評だったのが、乗車中のAIとの会話だった。
運転席に投影したホノグラム、乗客ひとりひとりに最適化された聞き取りやすい音声、何より相づちを打ちながら孫の話、家族の愚痴、若い頃の話まで丁寧に聞いてくれるのが好評だった。
会話することによって脳も活性化され、気持ちも明るくなる効果があった。
また、会話での応答により、体調不良を予測しヘルスデータと連携することで、国民の生活品質の向上に貢献した。
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