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3話 異世界から来た少女(3)
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ショッピングモールのフードコートで夕食を済ませ、家に帰ってきた僕とフェリス。
「さっき食べたラーメンと言う料理は凄くおいしかった!」
フェリスは初めて食べたラーメンに感動し、ずっとこの調子だ。
「そんなにハマったんなら、また今度おすすめのラーメン屋を紹介するね」
「本当!?約束だからね!」
子供のように目を輝かしてズイっと顔を近づけるフェリスに僕はドキッとしてしてしまう。
「それより明日から学校だけど、フェリスも来るんだよね?」
「うん。私は明日から登校するよ」
僕が通っている高校は中高一貫校だ。
僕は高校からの編入で友達もあまりいない。
「フェリスと同じクラスだといいな・・・・・・」
僕がそう呟くと、聞こえていたのかフェリスが、
「大丈夫だよ。神様が言ってたもん『フェリスと涼殿が同じクラスになるように色々手回ししたよ~』って!」
「神様がそう言ったなら安心だけど・・・・・・」
「まぁ、涼くんは弟くんや両親に私が何か言われるのが嫌なんでしょ?」
僕は思わず目を見開く。
「何故それを?」
「こっちの世界に来る前に神様が涼くんの家庭環境や学校でのアレコレを教えてもらったの。」
僕の家庭は複雑だ。
高校生なのに一人暮らしをしているのも、そのせいだ。
僕の複雑な事情を知ってもなお、フェリスは僕の目を真っ直ぐ見つめ、優しい声音で話してくれる。
「大丈夫、涼くんのことは理解してるつもりよ。私は涼くんの味方になりたくてこの世界に来たんだから」
フェリスの優しさを感じて僕は暖かい気持ちになれた。
同時に涙が溢れて止まらなかった。
じいちゃんが死んでから僕は一人だった。
家からは追い出され、一人暮らしを余儀なくされた。
学校でも色々あった。
けど今は、フェリスがいてくれる。
僕はもう独りじゃない。
泣きじゃくる僕をフェリスは優しく抱きしめてくれて、僕の頭を撫でてくれた。
どれくらい泣いただろうか。
僕はフェリスの腕の中で寝てしまった。
«フェリス視点»
「安心しきった寝顔・・・・・・可愛いわね」
私はカルシャナに十柱しかいない神獣の一柱、不死鳥のフェリス。
勇者敏夫様の願いでこの世界にやってきた。
その際に涼くんのことを神様に教えてもらい、衝撃を受ける。
涼くんには誰一人として味方がいなかった。
実の親からは虐げられ、弟からは見下され、周りの大人たちはそれを見て見ぬふり。
それでも涼くんは頑張って生きている。
一所懸命に前を向いて今を生きている。
その生き様に惚れた私は決意した。
「涼くんは何があっても私が守るからね」
私の腕の中で可愛い寝顔で寝ている涼くんが愛おしく感じる。
敏夫様の願いだから、では無い。
私自身が涼くんを支えてあげたい、と心から思う。
「今はおやすみ、涼くん・・・・・・」
私は涼くんを抱きしめながらベッドに入った。
「さっき食べたラーメンと言う料理は凄くおいしかった!」
フェリスは初めて食べたラーメンに感動し、ずっとこの調子だ。
「そんなにハマったんなら、また今度おすすめのラーメン屋を紹介するね」
「本当!?約束だからね!」
子供のように目を輝かしてズイっと顔を近づけるフェリスに僕はドキッとしてしてしまう。
「それより明日から学校だけど、フェリスも来るんだよね?」
「うん。私は明日から登校するよ」
僕が通っている高校は中高一貫校だ。
僕は高校からの編入で友達もあまりいない。
「フェリスと同じクラスだといいな・・・・・・」
僕がそう呟くと、聞こえていたのかフェリスが、
「大丈夫だよ。神様が言ってたもん『フェリスと涼殿が同じクラスになるように色々手回ししたよ~』って!」
「神様がそう言ったなら安心だけど・・・・・・」
「まぁ、涼くんは弟くんや両親に私が何か言われるのが嫌なんでしょ?」
僕は思わず目を見開く。
「何故それを?」
「こっちの世界に来る前に神様が涼くんの家庭環境や学校でのアレコレを教えてもらったの。」
僕の家庭は複雑だ。
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僕の複雑な事情を知ってもなお、フェリスは僕の目を真っ直ぐ見つめ、優しい声音で話してくれる。
「大丈夫、涼くんのことは理解してるつもりよ。私は涼くんの味方になりたくてこの世界に来たんだから」
フェリスの優しさを感じて僕は暖かい気持ちになれた。
同時に涙が溢れて止まらなかった。
じいちゃんが死んでから僕は一人だった。
家からは追い出され、一人暮らしを余儀なくされた。
学校でも色々あった。
けど今は、フェリスがいてくれる。
僕はもう独りじゃない。
泣きじゃくる僕をフェリスは優しく抱きしめてくれて、僕の頭を撫でてくれた。
どれくらい泣いただろうか。
僕はフェリスの腕の中で寝てしまった。
«フェリス視点»
「安心しきった寝顔・・・・・・可愛いわね」
私はカルシャナに十柱しかいない神獣の一柱、不死鳥のフェリス。
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その際に涼くんのことを神様に教えてもらい、衝撃を受ける。
涼くんには誰一人として味方がいなかった。
実の親からは虐げられ、弟からは見下され、周りの大人たちはそれを見て見ぬふり。
それでも涼くんは頑張って生きている。
一所懸命に前を向いて今を生きている。
その生き様に惚れた私は決意した。
「涼くんは何があっても私が守るからね」
私の腕の中で可愛い寝顔で寝ている涼くんが愛おしく感じる。
敏夫様の願いだから、では無い。
私自身が涼くんを支えてあげたい、と心から思う。
「今はおやすみ、涼くん・・・・・・」
私は涼くんを抱きしめながらベッドに入った。
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