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8話
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その後は晴人が手配してくれたΩ専用のタクシーで帰宅。
ポコポコ鳴るメッセージに手もつけず、ぶり返してきた熱にうなされながら八雲はベッドで布団をかぶっていた。
(叶兄さんには連絡しておかないとな……)
叶だってαだ。Ωのフェロモンに当てられることもある。Ωの生徒を相手にすることも多いだろうから薬は持っているだろうし、あらかじめ飲んでおいてもらおう。
メールを打つのも面倒だし電話でいいかな、留守録に入れておけば確実に聴くだろうし。八雲はそう思い火照った身体で通話ボタンを押す。
建前上は業務中だと言うのに、叶はスリーコールもいかないくらいに早く通話に出た。
「……あ、もしもし、……兄、さん?」
「八雲?!さっき明屋くんから報告があった。ヒートが来たって本当か?!」
「本当、だから悪いけど……薬飲んで、帰ってきて」
「早退して帰る」
「そんな重度じゃないから」
「心配なんだよ」
叶の珍しく切実な声にドキッとする。
「……側にいさせてくれ」
高鳴る胸を落ち着かせながら溜まった唾を飲み込むと八雲は声を絞り出して答えた。
「…………待ってる」
(な、なんか落ち着かないな)
あんな声、聞いたことない。少し掠れた、真剣な声。
それを思い出すとなんだか下半身が熱くなってきた。
お腹のあたりが熱い。ジンジンして変な感じがする。
こんなの初めてだ。
(……一発、抜いといたほうがいいかな?)
鎌首をもたげる様に緩く勃ち上がった下腹部を慰める様に撫でる。下着の中で途端に硬さを持つそれを衣服から解放してやると、子供の腕ほどのそれが勢いよく飛び出した。
(わ、わ……)
ティッシュを近くに寄せると八雲は恐る恐るそれに触れる。まだ触れていないというのに微熱を持ったそれを軽く扱くと先端からじわりと先走りが溢れた。
「……っ……」
ビク、と体が震えるような感覚がした。まるで電流が流れたような。
それを皮切りに八雲は自分のものを強く扱く。
「は……、……っ!」
八雲は無意識に叶の枕へと手を伸ばしていた。
顔に擦り付けるように枕に顔を埋めると、叶の匂いが肺いっぱいに広がる。
体臭に混じった甘い香りに促されるかの様に擦り付ける手のスピードを速めると滴り落ちた液体が滑りを良くし、更に情欲を掻き立てた。
「ぅ……、ぐ……ぁ… …」
気づけば八雲は『それ』に随分と夢中になっていた。
次から次へと溢れ出す先走りに付随する快感。
鼻腔には情欲を煽るαのーー、叶の体臭が香り、Ωである八雲を本能的に後押ししていた。
「ひ……ぁ……にいさ……、叶にいさん……っ!」
段々と上下する速度が早くなっていく。
性に関心の薄い八雲には珍しく、目の前のことが辞められない。
叶の香りに包まれてそうすることは、八雲にどうしようもないくらいの多幸感を与える。
これがΩの性だとしたら笑ってしまう。まるで猿みたいじゃないか。
そんなことを頭の隅で考えながらも湧き上がってくる射精感には抗えず、頭が真っ白になっていく。
「ぁ、う、うぅ……っ!」
込み上げるものをティッシュに受け止めると、部屋の中には八雲の上ずった呼吸と性液を受け止めた手元だけが残された。
段々と冷静になっていく頭が早速後悔を連れてくる。
「……俺、ついに叶兄さんで抜いちゃった……」
晴人ならまだしも(晴人は神聖なのでそんな対象にするなど不敬の極みだが)どうして叶で……。八雲はしばらく立ち直れず、後片付けもおざなりに布団に包まった。
ポコポコ鳴るメッセージに手もつけず、ぶり返してきた熱にうなされながら八雲はベッドで布団をかぶっていた。
(叶兄さんには連絡しておかないとな……)
叶だってαだ。Ωのフェロモンに当てられることもある。Ωの生徒を相手にすることも多いだろうから薬は持っているだろうし、あらかじめ飲んでおいてもらおう。
メールを打つのも面倒だし電話でいいかな、留守録に入れておけば確実に聴くだろうし。八雲はそう思い火照った身体で通話ボタンを押す。
建前上は業務中だと言うのに、叶はスリーコールもいかないくらいに早く通話に出た。
「……あ、もしもし、……兄、さん?」
「八雲?!さっき明屋くんから報告があった。ヒートが来たって本当か?!」
「本当、だから悪いけど……薬飲んで、帰ってきて」
「早退して帰る」
「そんな重度じゃないから」
「心配なんだよ」
叶の珍しく切実な声にドキッとする。
「……側にいさせてくれ」
高鳴る胸を落ち着かせながら溜まった唾を飲み込むと八雲は声を絞り出して答えた。
「…………待ってる」
(な、なんか落ち着かないな)
あんな声、聞いたことない。少し掠れた、真剣な声。
それを思い出すとなんだか下半身が熱くなってきた。
お腹のあたりが熱い。ジンジンして変な感じがする。
こんなの初めてだ。
(……一発、抜いといたほうがいいかな?)
鎌首をもたげる様に緩く勃ち上がった下腹部を慰める様に撫でる。下着の中で途端に硬さを持つそれを衣服から解放してやると、子供の腕ほどのそれが勢いよく飛び出した。
(わ、わ……)
ティッシュを近くに寄せると八雲は恐る恐るそれに触れる。まだ触れていないというのに微熱を持ったそれを軽く扱くと先端からじわりと先走りが溢れた。
「……っ……」
ビク、と体が震えるような感覚がした。まるで電流が流れたような。
それを皮切りに八雲は自分のものを強く扱く。
「は……、……っ!」
八雲は無意識に叶の枕へと手を伸ばしていた。
顔に擦り付けるように枕に顔を埋めると、叶の匂いが肺いっぱいに広がる。
体臭に混じった甘い香りに促されるかの様に擦り付ける手のスピードを速めると滴り落ちた液体が滑りを良くし、更に情欲を掻き立てた。
「ぅ……、ぐ……ぁ… …」
気づけば八雲は『それ』に随分と夢中になっていた。
次から次へと溢れ出す先走りに付随する快感。
鼻腔には情欲を煽るαのーー、叶の体臭が香り、Ωである八雲を本能的に後押ししていた。
「ひ……ぁ……にいさ……、叶にいさん……っ!」
段々と上下する速度が早くなっていく。
性に関心の薄い八雲には珍しく、目の前のことが辞められない。
叶の香りに包まれてそうすることは、八雲にどうしようもないくらいの多幸感を与える。
これがΩの性だとしたら笑ってしまう。まるで猿みたいじゃないか。
そんなことを頭の隅で考えながらも湧き上がってくる射精感には抗えず、頭が真っ白になっていく。
「ぁ、う、うぅ……っ!」
込み上げるものをティッシュに受け止めると、部屋の中には八雲の上ずった呼吸と性液を受け止めた手元だけが残された。
段々と冷静になっていく頭が早速後悔を連れてくる。
「……俺、ついに叶兄さんで抜いちゃった……」
晴人ならまだしも(晴人は神聖なのでそんな対象にするなど不敬の極みだが)どうして叶で……。八雲はしばらく立ち直れず、後片付けもおざなりに布団に包まった。
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