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第3章 アレクを狙って

第846話 総助と弦馬の前で圧倒的な力を見せつける!

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創造神により、魔法神と武神と破壊神が、力を奪われて投獄された瞬間、弦馬と総助に魔法神達との繋がりが消えたことが伝わる。

「ん?三神との繋がりが消えましたね。魔法神がしくじったようです。あれほど、自信があると言っていた隠蔽の魔法もこの程度ですか......期待外れなのと、また計画を練り直さないといけません」

総助は、面倒臭いといった感じで答えると、木の上で寝そべった。
そして、木にもたれ掛かって立っている弦馬もため息を漏らす。

「所詮、神の器すらない道化だったわけだ。俺の作った人形も壊されたわけだしな。敵の力を調べ直す必要があるな。それに、あの創造神まで動き始めたようだし、計画を練り直すか」

三神よりも道化師の人形が壊されたことに重きを置いている時点で、自分達の力に自信を持っているようだが、ルシファーと違い、計画の練り直しや敵の強さの再確認をするといった徹底っぷりで、自惚れや過信をするような甘い人物達でないことが窺える。

「あの人形が壊されたのは予想外でしたね。思っていた以上に、連携がうまい......個々の力が突出しているのと先の戦いでの情報から連携が取れないと予想したのですけど誤りでした。そして、創造神ですか......暫く身を隠しましょうか」

総助は、誰からも見つけることが出来ないと考えているのだが、ここに来て計画が崩され続けていることから何が起きてもおかしくないと、機会が訪れるまで隠れることを提案した。

「唯一の収穫が使徒の弱体化のみ。だが、本来永久の弱体化だったものが、1年という失敗に終わったからな。身を隠す......ぐはぁ......だ、れ、ぐほぉ......」

意気揚々と話していた弦馬だったが、いきなり胸を誰かの腕に貫かれた。そして、腕が引き抜かれて弦馬は倒れる。

「私達に等しい力......誰ですか?」

総助も弦馬も、急に現れた人物を察知することが出来なかった。総助は、瞬時に立ち上がって木から下りて対峙する。しかし、総助達と似た黒いモヤが、目の前の人物を包んでおり、実体がわからない。

「これは、これは、はじめまして。私、地獄の大王の下で執事をしております。ウォルターと申します。現大王様も前大王様も、貴方方には大層ご興味がお有りのようでして、こうやって馳せ参じたわけであります」

黒いモヤが霧散すると、名乗った通り、執事のウォルターが姿を現した。

「まがい物と一緒にされたら困る......やはりまがい物か。人の話は最後まで聞くもんだぞ!地獄の力をどう似せたかわからないが、元地獄の王として見過ごす訳にはいかんな。それに、アレクにも手を出したなら尚更だ」

総助の後ろに、いきなり現れたヴァンドームが話始めるが、完全に気配を察知出来なかった総助は、驚きながらも黒いモヤを帯びた手で手刀を食らわせた。しかし、ヴァンドームは一切ダメージを負っていない様子で、そのまま話を続ける。

「ククッ、ヴァンドーム!遂に遂に、この時がぁぁぁぁ!殺してやる」

総助は、今までの穏やかさから一転して気が狂ったような口調に変わり、ヴァンドームに向かって襲いかかる。

「ん?俺のことを知っているのか?それにしても、これが呪いと言われる力か。確かに、強力だが、所詮まがい物だ。おっ、そういう使い方もあるのか。まがい物だが、恐ろしい力だな」

ヴァンドームは、わざと避けることなく、総助の攻撃を全て受ける。そして、余裕で受け続けていたが、急に表情を変えた。

「ククッ、あぁ~、少し冷静さを失っておりました。危ない危ない。しかし、元大王の力は素晴らしいぃぃ!私の体が潤っていくのを感じます。もっと、全ての地獄の力をいただけませんか?」

総助は、呪いの力でヴァンドームの地獄の力を吸収し始めた。すると、地獄の力を吸収していく総助の黒いモヤは更に濃い色と化す。

「そろそろいいか。地獄の力を返して貰うぞ!それから、自分の胸をよく見てみろ」

「な、な、な、ぐはぁ......」

ヴァンドームは、簡単に地獄の力を総助から奪った。更には、またしても気付かないうちに、ウォルターの腕が総助の胸を貫いている。総助は、何か言おうとするが、声を出せないまま倒れた。

「やはりウォルターを連れてきて正解だったな。その能力は、貴重だ。大事にしろよ」

「歴代の大王に仕えた時間が無駄ではなかったと証明されました。大事に致します」

先程から察知できないウォルターの力は、地獄の大王の下で執事をする上で、周りと同化し、邪魔にならないように支えるために、ウォルターが地獄の力の波長を合わせるうちに身に着けた力なのだ。
そして、ヴァンドームとウォルターは、その場から姿を消したのだった。
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