724 / 819
第3章 アレクを狙って
第831話 常識外れなアレクと王と王妃になってからの初デート!?
しおりを挟む
元々ヘルミーナに任せる予定ではあったが、マンテ爺から二人で行ってくるように言われて、アレクとヘルミーナは、王都にある商業ギルドへ転移魔道具を使ってやってきた。
ちなみに、マンテ爺と大樹は、スープに使う鶏と焼き豚に使う豚の調達に出掛けている。
「タカハシ陛下とヘルミーナ王妃様!警備の者が大変失礼致しました」
商業ギルドに、事前連絡をしていなかったので、転移魔道具を守っている警備員に、転移した直後、剣を向けられた。
そして、アレクが王であることを証明すると、警備員が慌ててギルドマスターを呼びに行き、やってきたギルドマスターと警備員は、全員土下座して謝って今に至るわけだ。
「いや、俺達が完全に悪いよ。ごめんなさい!ヘルミーナから、事前に一報入れたなきゃ駄目と言われたんだけど、大丈夫大丈夫って言っちゃって......お騒がせして本当にごめん」
ヘルミーナから忠告を受けていたにも関わらず、アレクが王城に転移するような軽いノリで来てしまった。
アレクは、頭を下げて謝罪をする。
「タ、タカハシ陛下ぁぁぁ!頭をお上げください!我々のような平民に頭を下げるなど、あってはなりません!おやめください」
職員の女性は、アレクに縋るように慌てだす。その様子を見たアレクは、自分が起こしたことの重大さを理解した。
「これで私が止めた理由がわかったかしら?王が平民の場所に行くとこうなるの。少しは、慎重に行動しなくては駄目よ。ここは、私に任せてちょうだい」
「ごめん。甘く考え過ぎてたよ。ヘルミーナ、これからは気をつけるね」
アレクは、他国の王や重鎮と関わることや戦いばかりで、このような常識の理解度が甘かったことに痛感する。
ヘルミーナが、強く引き止めなかったのは、目の前で事の大きさを見せて、本当の意味で理解させるためだった。
「シャルリエ、ごめんなさいね。それから、警備の方々も立ち上がってくれるかしら。旦那には、後で叱っておきますから!今日は、買い物に来たのよ。揃えてもらえないかしら?お詫びにいっぱい買うわ」
ヘルミーナと職員の女性は、知り合いだったようだ。ヘルミーナは駆け寄って手を貸しシャルリエを立ち上がらせる。
「ヘルミーナ王妃様、申し訳ございません。すぐに、商品を揃えさせて頂きます。何なりと申し付けくださいませ」
シャルリエは、ヘルミーナと知り合いのようだが、王妃ということで、知り合いとかけ離れた話し方をする。
「シャルリエ、昔のように接してくれない?そんな畏まったの嫌だわ。王妃として、前のように接することを許します」
ヘルミーナは、友達だった時のように接してほしいが、そういうわけにもいかず、シャルリエは戸惑いの表情をした。それを見てヘルミーナは、命令ではないが王妃権限で許可を出した。
「はぁ、昔からそういうところ変わってないわね。わかったわよ!それで、何が必要なの?」
シャルリエは、諦めたように溜め息をついて、一気にフランクな話し方をした。
その返事を聞いたヘルミーナは、昔の関係に戻れたようで笑顔になる。
「やっとあの頃に戻ったわね。えっと、メモがあるんだけど、今はギルドマスターでしょ?忙しくない?」
「いいから、貸しなさい!陛下と王妃の相手を私以外が出来ると思ってるの?そうねぇ、ん~?ネギと玉ねぎとにんにくはあるわ。でも、強力粉と重曹は聞いたことがないわね」
ギルドマスターであるシャルリエを気遣おうとしたヘルミーナだったが、シャルリエは自分以外に対応できないだろうと、ヘルミーナの持っていたメモを取って確認した。
「重曹と強力粉って私も知らないのよ。アレクが知ってるみたいだから、ちょっと待っててね。アレク、説明お願いできるかしら?」
「重曹は、こっちでどうにかするよ。強力粉は、小麦が原料なんだけど......シャルリエさん、殻粒が硬くて、断面が半透明のガラスのようになっている小麦って知らないかな?」
重曹に関しては、薬素材創造のスキルにあるだろうと予想して、強力粉の原料だけをお願いすることにした。
もし、重曹が薬素材創造にない場合、塩か鉱物を使って精製を試みる必要がある。更に、精製には、どうやって生み出すかわからない炭酸ガスが必要なので、薬素材創造にあってくれとアレクは願う。
「それでしたら、貴族御用達のパン屋や王家にお持ちしているパン専用の小麦粉に似ておりますね。お持ち致しましょうか?」
「え?あるの!?なら、持ってきて貰えたら嬉しいよ!ヘルミーナ、これでラーメンに一歩、いや二歩近付けたよ」
アレクは、まさかパン専用の小麦がこの世界にあることを知って驚くのと同時に、強力粉の存在があってラーメンが作れることに嬉しくなる。
「本当!?やった!早く食べてみたいわ。シャルリエの食材次第ね。よろしく頼むわよ」
「はぁ、陛下と王妃様の食材になるってことよね!?責任重大になってきたわ。今から、言われた物を持ってくるけど、期待はしないでちょうだい」
シャルリエは、腹を決めて最高級の食材を持ってこようと決めるが、どんどん期待値が上がる流れに怖くもなってしまうのだった。
ちなみに、マンテ爺と大樹は、スープに使う鶏と焼き豚に使う豚の調達に出掛けている。
「タカハシ陛下とヘルミーナ王妃様!警備の者が大変失礼致しました」
商業ギルドに、事前連絡をしていなかったので、転移魔道具を守っている警備員に、転移した直後、剣を向けられた。
そして、アレクが王であることを証明すると、警備員が慌ててギルドマスターを呼びに行き、やってきたギルドマスターと警備員は、全員土下座して謝って今に至るわけだ。
「いや、俺達が完全に悪いよ。ごめんなさい!ヘルミーナから、事前に一報入れたなきゃ駄目と言われたんだけど、大丈夫大丈夫って言っちゃって......お騒がせして本当にごめん」
ヘルミーナから忠告を受けていたにも関わらず、アレクが王城に転移するような軽いノリで来てしまった。
アレクは、頭を下げて謝罪をする。
「タ、タカハシ陛下ぁぁぁ!頭をお上げください!我々のような平民に頭を下げるなど、あってはなりません!おやめください」
職員の女性は、アレクに縋るように慌てだす。その様子を見たアレクは、自分が起こしたことの重大さを理解した。
「これで私が止めた理由がわかったかしら?王が平民の場所に行くとこうなるの。少しは、慎重に行動しなくては駄目よ。ここは、私に任せてちょうだい」
「ごめん。甘く考え過ぎてたよ。ヘルミーナ、これからは気をつけるね」
アレクは、他国の王や重鎮と関わることや戦いばかりで、このような常識の理解度が甘かったことに痛感する。
ヘルミーナが、強く引き止めなかったのは、目の前で事の大きさを見せて、本当の意味で理解させるためだった。
「シャルリエ、ごめんなさいね。それから、警備の方々も立ち上がってくれるかしら。旦那には、後で叱っておきますから!今日は、買い物に来たのよ。揃えてもらえないかしら?お詫びにいっぱい買うわ」
ヘルミーナと職員の女性は、知り合いだったようだ。ヘルミーナは駆け寄って手を貸しシャルリエを立ち上がらせる。
「ヘルミーナ王妃様、申し訳ございません。すぐに、商品を揃えさせて頂きます。何なりと申し付けくださいませ」
シャルリエは、ヘルミーナと知り合いのようだが、王妃ということで、知り合いとかけ離れた話し方をする。
「シャルリエ、昔のように接してくれない?そんな畏まったの嫌だわ。王妃として、前のように接することを許します」
ヘルミーナは、友達だった時のように接してほしいが、そういうわけにもいかず、シャルリエは戸惑いの表情をした。それを見てヘルミーナは、命令ではないが王妃権限で許可を出した。
「はぁ、昔からそういうところ変わってないわね。わかったわよ!それで、何が必要なの?」
シャルリエは、諦めたように溜め息をついて、一気にフランクな話し方をした。
その返事を聞いたヘルミーナは、昔の関係に戻れたようで笑顔になる。
「やっとあの頃に戻ったわね。えっと、メモがあるんだけど、今はギルドマスターでしょ?忙しくない?」
「いいから、貸しなさい!陛下と王妃の相手を私以外が出来ると思ってるの?そうねぇ、ん~?ネギと玉ねぎとにんにくはあるわ。でも、強力粉と重曹は聞いたことがないわね」
ギルドマスターであるシャルリエを気遣おうとしたヘルミーナだったが、シャルリエは自分以外に対応できないだろうと、ヘルミーナの持っていたメモを取って確認した。
「重曹と強力粉って私も知らないのよ。アレクが知ってるみたいだから、ちょっと待っててね。アレク、説明お願いできるかしら?」
「重曹は、こっちでどうにかするよ。強力粉は、小麦が原料なんだけど......シャルリエさん、殻粒が硬くて、断面が半透明のガラスのようになっている小麦って知らないかな?」
重曹に関しては、薬素材創造のスキルにあるだろうと予想して、強力粉の原料だけをお願いすることにした。
もし、重曹が薬素材創造にない場合、塩か鉱物を使って精製を試みる必要がある。更に、精製には、どうやって生み出すかわからない炭酸ガスが必要なので、薬素材創造にあってくれとアレクは願う。
「それでしたら、貴族御用達のパン屋や王家にお持ちしているパン専用の小麦粉に似ておりますね。お持ち致しましょうか?」
「え?あるの!?なら、持ってきて貰えたら嬉しいよ!ヘルミーナ、これでラーメンに一歩、いや二歩近付けたよ」
アレクは、まさかパン専用の小麦がこの世界にあることを知って驚くのと同時に、強力粉の存在があってラーメンが作れることに嬉しくなる。
「本当!?やった!早く食べてみたいわ。シャルリエの食材次第ね。よろしく頼むわよ」
「はぁ、陛下と王妃様の食材になるってことよね!?責任重大になってきたわ。今から、言われた物を持ってくるけど、期待はしないでちょうだい」
シャルリエは、腹を決めて最高級の食材を持ってこようと決めるが、どんどん期待値が上がる流れに怖くもなってしまうのだった。
174
お気に入りに追加
6,149
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。