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第3章 アレクを狙って
第827話 創造神慌てふためく!師匠はやはり師匠!
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創造神は、あのあと釣りを続けたが、全く釣れることなくトボトボと帰宅した。
アリーシャとヒルコは、他の神様の下に出向いており、創造神一人という寂しい状況だ。
「アレクの大声のせいで坊主じゃったわい。鹿肉のローストビーフとワインで我慢するかのぅ。じゃが、下界から声が届くのは珍しいわい。最近、下界を見ておらんかったし、飯を食ったら覗いて見るかのぅ」
下界が大変なことになっているのを知らない創造神は、悠長に昨日狩って血抜きしていた鹿のロースブロックを使って調理し始める。
「地球で買ったオーブンは素晴らしいのぅ。包丁も切れ味が良いし、フライパンも全然違うわい」
創造神は、地球の神に招かれた日本旅行ツアーに参加して、あらゆる物を買い漁ったのだが、その中でも調理器具の素晴らしさに気付いて料理にどハマりしてしまった。
「このオリーブオイルの香りが堪らんのぅ。いい焼き色じゃわい。あとは、アルミホイルに包んでオーブンにインじゃ。その間に、ソースを作ろうかのぅ」
エプロン姿の創造神は、ルンルン気分で調理を進めていく。もし、この姿をアレク達が見たら、一斉にぶん殴られてしまうだろう。
そんなことを知らない創造神は、出来上がったローストビーフを盛り付けて、ワインをグラスに注いで席についた。
「ほほぅ。我ながら見事な出来栄えじゃわい。どれどれ......う、うまいのぅ。他の肉にはないきめ細やかさ、それに脂身が少なさが、ワシのような年老いた者にはちょうどいいわい。うむ。赤ワインにもよく合うのぅ」
創造神は、顔を上気させて、鹿肉のうまさを噛み締めていた。
「次は、からしじゃな。マスタードじゃ出せん風味と鼻をツンと突き抜けるこの感じが堪らんわい。日本に行っとらんかったら出会えておらんかったじゃろうな。ふむ、そろそろ酒のあてに下界の様子でも見ようかのぅ」
創造神は、モニターのような物をテーブルの上に置いて呪文を唱えると下界の様子が映し出された。
「うむうむ......戦争をしておったのか。アレクがおらんようじゃが、視点を変えてみるかのぅ。ん?ん?アレクじゃよな?ど、どうなっておるんじゃ!ワシの見ておらん間に、解呪不可の呪いを受けておるじゃと!?」
創造神は、やっとアレクの様子を理解した。そして、何が起こったのか、過去を見返す。
「は!?あ?なんじゃこれは!禁術でマンテ爺に呪いからの戦争じゃったと!それより、このルシファーを超える邪悪な二人は誰じゃ?ん?ん?コアを持つ人形じゃと?どうなっておるんじゃ......」
過去を見返して、やっと事の重大性に気付いた創造神は、ワインを一気に飲んで立ち上がる。
そして、他の神にも伝えるために、神会談を開く旨の念話を送った。
◆
アレクは、自分の体を一通り調べたあと、通信魔道具を使って、パスクとノックスとオレールとデストロイに現状を伝える。
「みんな聞こえるかな?」
アレクが呼びかけると、四人から返答が返ってきた。
「マンテ爺は、みんなのお陰で回復したよ。でも、次は俺が解呪不可の呪いにかかっちゃった。まぁ、でも1年間の期限付きみたいだから、あまり心配しなくて大丈夫だからね」
アレクは、解呪不可の呪いにかかったにも関わらず、気にしている様子もなく軽い世間話のように話した。
それを聞いていたパスク達は、アレクとは正反対に大慌てしだす。
「アレク様、何故そんな平然としていられるのですか!呪いですよ呪い!それも解呪不可能な!どんな呪いなのですか?」
パスクは、アレクが王様になって以来、王と呼び続けていたが、あまりの慌てように様付けに戻ってしまった。
「アレクくん、体は問題ないのですか?」
「チッ、帰ったら真っ先に勝負を挑もうとしてたのによ!呪いじゃしゃあねぇな。1年......おい!パスク何しやがるんだ!」
オレールも体調の心配をするが、デストロイは相変わらずの戦闘狂ぶりでアレクとの一騎打ちを考えていたようだ。しかし、デリカシーのない発言に怒ったパスクがデストロイに襲い掛かった。
「アッハハハ、デストロイは相変わらずだね。でも、気を使わせないようにわざとってことはわかってるよ。それと、体調は大丈夫。ただ、能力が一般冒険者並みでいくつかの魔法と一部のスキルに制限がかかったかな」
心配し過ぎているとアレクも気を使うだろうというデストロイなりの優しさでかけた言葉だったようだ。デストロイは、「そんなんじゃねぇ」と反論しているが、照れ隠しである。
「それでは、新たな敵が現れた時に......ノックス様?」
「アレク坊、こっちの処理は俺達に任せて家族との時間を大切にしろ!それから、マンテ爺!回復したならアレクとアレクの家族の警護を頼んだぞ」
パスクが、何か言おうとしたが、ノックスが肩に手を置いて首を横に振ったあと、アレクに大和ノ国と忍者の里の件は、全て任せるように言う。
「師匠、ありがとうございます。先に色々話しておいて正解でした」
アレクは、事前に話していたことを汲んでくれたノックスにお礼を言った。
「ワシに任せるんじゃ!全て薙ぎ倒してやるわい!もうヘマはせんからのぅ」
今までは、アレクが強過ぎて守る意味をなさなかったが、これから1年は弱体化の影響で、やっと主人を守れると思ったマンテ爺は、嬉しさをあらわにするのだった。
アリーシャとヒルコは、他の神様の下に出向いており、創造神一人という寂しい状況だ。
「アレクの大声のせいで坊主じゃったわい。鹿肉のローストビーフとワインで我慢するかのぅ。じゃが、下界から声が届くのは珍しいわい。最近、下界を見ておらんかったし、飯を食ったら覗いて見るかのぅ」
下界が大変なことになっているのを知らない創造神は、悠長に昨日狩って血抜きしていた鹿のロースブロックを使って調理し始める。
「地球で買ったオーブンは素晴らしいのぅ。包丁も切れ味が良いし、フライパンも全然違うわい」
創造神は、地球の神に招かれた日本旅行ツアーに参加して、あらゆる物を買い漁ったのだが、その中でも調理器具の素晴らしさに気付いて料理にどハマりしてしまった。
「このオリーブオイルの香りが堪らんのぅ。いい焼き色じゃわい。あとは、アルミホイルに包んでオーブンにインじゃ。その間に、ソースを作ろうかのぅ」
エプロン姿の創造神は、ルンルン気分で調理を進めていく。もし、この姿をアレク達が見たら、一斉にぶん殴られてしまうだろう。
そんなことを知らない創造神は、出来上がったローストビーフを盛り付けて、ワインをグラスに注いで席についた。
「ほほぅ。我ながら見事な出来栄えじゃわい。どれどれ......う、うまいのぅ。他の肉にはないきめ細やかさ、それに脂身が少なさが、ワシのような年老いた者にはちょうどいいわい。うむ。赤ワインにもよく合うのぅ」
創造神は、顔を上気させて、鹿肉のうまさを噛み締めていた。
「次は、からしじゃな。マスタードじゃ出せん風味と鼻をツンと突き抜けるこの感じが堪らんわい。日本に行っとらんかったら出会えておらんかったじゃろうな。ふむ、そろそろ酒のあてに下界の様子でも見ようかのぅ」
創造神は、モニターのような物をテーブルの上に置いて呪文を唱えると下界の様子が映し出された。
「うむうむ......戦争をしておったのか。アレクがおらんようじゃが、視点を変えてみるかのぅ。ん?ん?アレクじゃよな?ど、どうなっておるんじゃ!ワシの見ておらん間に、解呪不可の呪いを受けておるじゃと!?」
創造神は、やっとアレクの様子を理解した。そして、何が起こったのか、過去を見返す。
「は!?あ?なんじゃこれは!禁術でマンテ爺に呪いからの戦争じゃったと!それより、このルシファーを超える邪悪な二人は誰じゃ?ん?ん?コアを持つ人形じゃと?どうなっておるんじゃ......」
過去を見返して、やっと事の重大性に気付いた創造神は、ワインを一気に飲んで立ち上がる。
そして、他の神にも伝えるために、神会談を開く旨の念話を送った。
◆
アレクは、自分の体を一通り調べたあと、通信魔道具を使って、パスクとノックスとオレールとデストロイに現状を伝える。
「みんな聞こえるかな?」
アレクが呼びかけると、四人から返答が返ってきた。
「マンテ爺は、みんなのお陰で回復したよ。でも、次は俺が解呪不可の呪いにかかっちゃった。まぁ、でも1年間の期限付きみたいだから、あまり心配しなくて大丈夫だからね」
アレクは、解呪不可の呪いにかかったにも関わらず、気にしている様子もなく軽い世間話のように話した。
それを聞いていたパスク達は、アレクとは正反対に大慌てしだす。
「アレク様、何故そんな平然としていられるのですか!呪いですよ呪い!それも解呪不可能な!どんな呪いなのですか?」
パスクは、アレクが王様になって以来、王と呼び続けていたが、あまりの慌てように様付けに戻ってしまった。
「アレクくん、体は問題ないのですか?」
「チッ、帰ったら真っ先に勝負を挑もうとしてたのによ!呪いじゃしゃあねぇな。1年......おい!パスク何しやがるんだ!」
オレールも体調の心配をするが、デストロイは相変わらずの戦闘狂ぶりでアレクとの一騎打ちを考えていたようだ。しかし、デリカシーのない発言に怒ったパスクがデストロイに襲い掛かった。
「アッハハハ、デストロイは相変わらずだね。でも、気を使わせないようにわざとってことはわかってるよ。それと、体調は大丈夫。ただ、能力が一般冒険者並みでいくつかの魔法と一部のスキルに制限がかかったかな」
心配し過ぎているとアレクも気を使うだろうというデストロイなりの優しさでかけた言葉だったようだ。デストロイは、「そんなんじゃねぇ」と反論しているが、照れ隠しである。
「それでは、新たな敵が現れた時に......ノックス様?」
「アレク坊、こっちの処理は俺達に任せて家族との時間を大切にしろ!それから、マンテ爺!回復したならアレクとアレクの家族の警護を頼んだぞ」
パスクが、何か言おうとしたが、ノックスが肩に手を置いて首を横に振ったあと、アレクに大和ノ国と忍者の里の件は、全て任せるように言う。
「師匠、ありがとうございます。先に色々話しておいて正解でした」
アレクは、事前に話していたことを汲んでくれたノックスにお礼を言った。
「ワシに任せるんじゃ!全て薙ぎ倒してやるわい!もうヘマはせんからのぅ」
今までは、アレクが強過ぎて守る意味をなさなかったが、これから1年は弱体化の影響で、やっと主人を守れると思ったマンテ爺は、嬉しさをあらわにするのだった。
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