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第3章 アレクを狙って

第826話 マンテ爺復活からのアレクに解呪不可の呪い!

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マンテ爺は、ベッドから起き上がって自分の体を確認した。

「あの苦しみが嘘のようじゃ。完璧じゃわい。アレク、助......その体どうしたんじゃ?」

マンテ爺は、アレクに助けて貰ったお礼を言おうとして、振り返ると、いつもアレクから感じる圧倒的な強さと魔力がなくなっていた。

「え?マンテ爺、どういうこと?俺は、いつも......ん?ん?はぁぁぁぁ!?解呪不可の呪い!?さっきまでなかったのに。なんで?」

マンテ爺の言葉を聞いて、もしやと思いもう一度診断してみると、解呪不可の呪いがかけられていた。
しかも、基礎能力が一般の冒険者並みになっており、魔法も火魔法以外使えなくなっている。

「マンテ爺、1年間呪い解けないらしい......診断のスキルは使えるみたいだから調べたけど、解呪方法なしだって」

霊根に混じっていた異物は、呪いであった。アレクが霊根を持つ際に、神力を手に纏わせたことで命拾いしたことに気付いていない。もし、そのまま触っていたら、死に至る呪いがかけられていたのだ。神力を纏わせたお陰で、遅効性の呪いに変わり、呪いの効果も変わった。

「ワシのせいじゃろ?アレクすまんのぅ。こんなことになるなら、ワシは死を待つべきじゃったわい」

マンテ爺は、珍しく落ち込む仕草をして、あの時呪いを受けなければや自分が死ねばよかったなど自責の念にかられてしまう。

「何言ってるの!みんなマンテ爺が大事で助けたんだから、そんなこと言わないの!それに、師匠には話したけど、今回の件が終わったら、のんびり家族と過ごそうとしてたんだよね。だから、マンテ爺は気にしなくていいよ」

アレクは、マンテ爺の頭を撫でる。
マンテ爺は、人の感情を読み取ることができるので、アレクが本心で言っていることがわかり、安心した表情と感謝をする。

「すまん......」

「はい!もう謝るのは終わりだよ。謝るなら、俺達家族を守ってね。1年間、Bランクの魔物すら倒せるか危ういんだからさ」

アレクは、謝ろうとするマンテ爺の口を押さえる。マンテ爺は、モゴモゴ何か文句を言っていたが、アレクのという言葉を聞いて何を思ったのか大人しくなる。

「わかったわい。ワシが、アレク達に害をなそうとする輩を蹴散らせてくれるわ!あ、そうじゃ。神力や後から習得した転移は使えるのかのぅ?」

「神力は、問題なく使えるみたい。転移は使えないね。スキルと神力は、創造神様の手によるものは呪いも受け付けない特別なものなのかも」

アレクが話している通り、神力とスキルは創造神の特別製のようだ。魔法に関しては、なんで火魔法だけが使えるのかはわからないが、それにも何か理由があるのだろうと思った。しかし、現状不確定要素が多すぎるので創造神に出会った時に聞いてみようと考えた。

「元あるスキルと神力が使えるのは良かったわい。アレク、これでわかったことがあるんじゃが、その呪いの主よりも創造神様の方が強いということじゃ。この際じゃ、神様にも手伝わせればええわい」

マンテ爺の言い分としては、いつも高みの見物をして、アレク達ばかりに頼っている創造神以下有象無象の神達に仕事をさせろと言いたいようだ。

「アッハハハ、もうマンテ爺笑かさないでよ。神様には掟があるから無理だよ。まぁ、俺も本心では、そろそろ引っ張り出したいけどね」

アレクも、同じように感じていた。確かに、神が好き勝手介入するのは、世界のバランスを崩しかねないが、元はと言えば、神達が引き起こした出来事に巻き込まれているのだから、そろそろ尻拭いをしろと思っていた。

「う~ん?でも、この話も多分創造神様には筒抜けなんだろうし......創造神様、俺戦えなくなったので、世界の危機をどうにかしてくださいね。そろそろ、ルシファーの件の報酬待ってますから。でも、戦わせるために解呪なんてしたら、引きこもりますよ」

アレクは天井に向かって、創造神が聞いているか、聞いていないかわからないが、大声で叫んで訴えるのだった。





創造神は、家の前にある湖で釣りの真っ最中で、ちょうど大物がかかり釣り上げていた。

「これは、デカいわい。今日の夕食は、魚のソテーとワインじゃな!なかなかやるのぅ。じゃが......なんじゃ!うるさいわい!叫ぶでないわ」

創造神が、巨大魚との格闘をしている時に、天井に向かって大声で叫んだ声が、創造神の耳に響き渡った。
しかも、急な大声と怒りで、竿を強く引っ張り過ぎて糸が切れてしまい、巨大魚を逃してしまった。

「ノー!ワシの夕食が......それに、あんなデカい魚は滅多にお目にかかれんぞい。アレクにお仕置きじゃぁぁぁ!何が、尻拭いじゃ!ワシの楽しみを奪いおってからに」

創造神は、アレクが呪いによって力を失っていることも、ルシファーよりも最悪な敵が姿を現していることにも気づいていないのであった。
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