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第3章 アレクを狙って
第824話 最強の男弦馬とアレクの告白!
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ピエロは、転がったあとピクリとも動かない。ノックスは、先程よりも放出している神力は弱まってはいるが、一定の空間に神力を放出したままピエロに近付く。
「お前の存在は、ルシファー以上の厄災になりかねないからな。トドメを刺させてもらう」
ノックスは、剣を振り上げて、そのまま垂直にピエロに向かい振り下ろした。
しかし、ピエロの胴体に黒い渦のような物が発生して、振り下ろした剣は飲み込まれた。更に、黒い渦から何かが現れて、反応する暇もなく攻撃を受け、ノックスはくの字に曲がって吹き飛ばされる。
「はぁ、帰りが遅いと思ったら、こんなところで油を売っていたのか。それに、コアがほとんど壊されてるな。回収して帰る......ほう、壊したのはお前達か。邪魔だ」
アレクは、目の前に現れた弦馬に対して、弾丸を連続で発射した。しかし、ノックスの時と同じように黒い渦が出てきて、いとも簡単に弾丸は飲み込まれた。
更に、黒いモヤがアレクを襲うが、神力を放出して相殺した。
「ん?もしかして、お前が総助の言っていた使徒か!ならば、今殺すわけにはいかないな。こいつを連れて帰らせてもらう。忠告だが、呪いには気をつけることだな」
弦馬は、殺す気で放った力を神力で相殺されて、総助の言っていたアレクの容姿と合致したため、争うのをやめ、その場から消えた。
アレクは、初めて恐怖で体が震え、深追いは危険だと判断して見逃した。そして、弦馬が去ったあと、アレクは震えが止まるやいなやすぐにノックスの下に向かう。
「師匠、すぐにこれを飲んでください!」
ノックスは、くの字に曲がったまま横たわっていた。神力を使い過ぎたとはいえ、ルシファーを倒したノックスを、弦馬は一撃で立てない状態にした。
アレクが、ノックスの口にポーション瓶を近付けると、意識はあったようで勢いよく飲み干して、すぐに立ち上がった。
「アレク坊、どうなったんだ?」
ノックスは、辺りの気配を探ったあと、弦馬とピエロがいないことに気付いて、アレクに状況の説明を求めた。
「あの人形......道化師を連れて消えました。師匠のこともありましたが、相対した瞬間に悪寒が走り、最初以外動けませんでした」
「アレク坊、深追いしなくて正解だな。あいつは、化け物だ。殺されなかっただけ御の字だろう」
ノックスも、倒れながらにアレクと同じで恐怖が体を包みこんでいた。そのため、いつもならすぐに思い付く、今後の対策など次に出くわした時の対応策が一切思い浮かばずにいた。
それだけ、弦馬の強さは常軌を逸していたのだ。
「お二人共、大丈夫ですか?隠れていたのですが、身震いするような邪悪な力が消えたので様子を見に戻りました」
佐之助の両親は、心配そうな顔と冷や汗を掻きながらアレク達を見る。
「もう大丈夫だ。だが、ここから早く離れた方がいい。霊根を取って逃げるぞ」
ノックスは、神力を消費し過ぎたせいで、少しフラつきながら宝物庫に歩き出した。アレクは、咄嗟にノックスを支える。
「悪いな。こりゃ、また帰ったら特訓だな」
この時ノックスは、口では修行と言ってはいるが、弦馬の強さを目の当たりにすると、どれだけ努力しようと勝てる見込みがないのではないかと考えていた。
「師匠、今こんなことを話す雰囲気ではないんですが、俺は少し戦いから離れたいと思います。そろそろ、家族との時間を大切にしたいです」
アレクは、少し前から家族を蔑ろにし過ぎているのと、毎日起こる目まぐるしい出来事に疲れを感じていた。
そして、この戦争が終わったら話そうと思っていたのだが、タイミング的には最悪だが、今を逃すとまた言えなくなると思い、素直に気持ちを伝えた。
「いいと思うぞ。アレク坊の好きにしたらいい。一国の王だが、まだ15だろ。何度も世界を救ったんだ。誰も責めたりしないだろうさ。少し諦めかけてたが、王のために頑張ってみるか」
ノックスは、いつかこんな日が来るだろうと、前々から思っていた。そして、その時は弟子の好きなようにさせると決めていた。だが、それはアレクが厳しい修行に耐えて、今までの行ってきた努力があったからこそなのだ。
そして、先程まで内心弱音を吐いていたノックスだが、弟子のために気合いを入れ直した。
「師匠......」
「そんな顔をするな!王は、どっしり構えて、俺達家臣に任せとけ!だが、まずはマンテ爺の治療が先だ。行くぞ」
ノックスは、アレクの頭を撫でて何も心配するなといった表情をする。
アレクは、安心したのか、笑顔で返事をして佐之助達が待つ宝物庫の入り口に向かった。
「お前の存在は、ルシファー以上の厄災になりかねないからな。トドメを刺させてもらう」
ノックスは、剣を振り上げて、そのまま垂直にピエロに向かい振り下ろした。
しかし、ピエロの胴体に黒い渦のような物が発生して、振り下ろした剣は飲み込まれた。更に、黒い渦から何かが現れて、反応する暇もなく攻撃を受け、ノックスはくの字に曲がって吹き飛ばされる。
「はぁ、帰りが遅いと思ったら、こんなところで油を売っていたのか。それに、コアがほとんど壊されてるな。回収して帰る......ほう、壊したのはお前達か。邪魔だ」
アレクは、目の前に現れた弦馬に対して、弾丸を連続で発射した。しかし、ノックスの時と同じように黒い渦が出てきて、いとも簡単に弾丸は飲み込まれた。
更に、黒いモヤがアレクを襲うが、神力を放出して相殺した。
「ん?もしかして、お前が総助の言っていた使徒か!ならば、今殺すわけにはいかないな。こいつを連れて帰らせてもらう。忠告だが、呪いには気をつけることだな」
弦馬は、殺す気で放った力を神力で相殺されて、総助の言っていたアレクの容姿と合致したため、争うのをやめ、その場から消えた。
アレクは、初めて恐怖で体が震え、深追いは危険だと判断して見逃した。そして、弦馬が去ったあと、アレクは震えが止まるやいなやすぐにノックスの下に向かう。
「師匠、すぐにこれを飲んでください!」
ノックスは、くの字に曲がったまま横たわっていた。神力を使い過ぎたとはいえ、ルシファーを倒したノックスを、弦馬は一撃で立てない状態にした。
アレクが、ノックスの口にポーション瓶を近付けると、意識はあったようで勢いよく飲み干して、すぐに立ち上がった。
「アレク坊、どうなったんだ?」
ノックスは、辺りの気配を探ったあと、弦馬とピエロがいないことに気付いて、アレクに状況の説明を求めた。
「あの人形......道化師を連れて消えました。師匠のこともありましたが、相対した瞬間に悪寒が走り、最初以外動けませんでした」
「アレク坊、深追いしなくて正解だな。あいつは、化け物だ。殺されなかっただけ御の字だろう」
ノックスも、倒れながらにアレクと同じで恐怖が体を包みこんでいた。そのため、いつもならすぐに思い付く、今後の対策など次に出くわした時の対応策が一切思い浮かばずにいた。
それだけ、弦馬の強さは常軌を逸していたのだ。
「お二人共、大丈夫ですか?隠れていたのですが、身震いするような邪悪な力が消えたので様子を見に戻りました」
佐之助の両親は、心配そうな顔と冷や汗を掻きながらアレク達を見る。
「もう大丈夫だ。だが、ここから早く離れた方がいい。霊根を取って逃げるぞ」
ノックスは、神力を消費し過ぎたせいで、少しフラつきながら宝物庫に歩き出した。アレクは、咄嗟にノックスを支える。
「悪いな。こりゃ、また帰ったら特訓だな」
この時ノックスは、口では修行と言ってはいるが、弦馬の強さを目の当たりにすると、どれだけ努力しようと勝てる見込みがないのではないかと考えていた。
「師匠、今こんなことを話す雰囲気ではないんですが、俺は少し戦いから離れたいと思います。そろそろ、家族との時間を大切にしたいです」
アレクは、少し前から家族を蔑ろにし過ぎているのと、毎日起こる目まぐるしい出来事に疲れを感じていた。
そして、この戦争が終わったら話そうと思っていたのだが、タイミング的には最悪だが、今を逃すとまた言えなくなると思い、素直に気持ちを伝えた。
「いいと思うぞ。アレク坊の好きにしたらいい。一国の王だが、まだ15だろ。何度も世界を救ったんだ。誰も責めたりしないだろうさ。少し諦めかけてたが、王のために頑張ってみるか」
ノックスは、いつかこんな日が来るだろうと、前々から思っていた。そして、その時は弟子の好きなようにさせると決めていた。だが、それはアレクが厳しい修行に耐えて、今までの行ってきた努力があったからこそなのだ。
そして、先程まで内心弱音を吐いていたノックスだが、弟子のために気合いを入れ直した。
「師匠......」
「そんな顔をするな!王は、どっしり構えて、俺達家臣に任せとけ!だが、まずはマンテ爺の治療が先だ。行くぞ」
ノックスは、アレクの頭を撫でて何も心配するなといった表情をする。
アレクは、安心したのか、笑顔で返事をして佐之助達が待つ宝物庫の入り口に向かった。
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