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第3章 アレクを狙って
第821話 優秀な忍者と王に見えないアレク!
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アレクとノックスは、身支度を待っている間に刃を交えていた。
「師匠、これって剣の試しですよね?」
「あぁ、大剣との感覚の違いを試してるだけだな。にしても、軽過ぎる」
試しと言っているにも関わらず、ノックスは大剣を振るう以上の剣速でアレクを追い込んでいく。アレクは、ここまでの剣速で襲い掛かって来ると思っていなかったので、必死で防ぎながら後退りする。
「師匠が、その気なら俺もちょっと本気で行きますよ!身体強化」
アレクは、剣を弾いて逆にノックスを後退りさせる。だが、ノックスは持ち前のパワーで、すぐにつば迫り合いに持ち込んだ。
「くっ、アレク坊やるようになったな」
「身体強化を使って、やっと拮抗出来る感じですからね。まだまだですよ」
アレクとノックスは、つば迫り合いを一旦やめて後方に下がり離れる。
すると、家の方から大喝采の拍手が鳴り響いた。
「え!?見てたの?気付かなかったよ!」
アレクは、三人に見られていることに気付いておらず、驚きの声を上げる。
「いえいえ、妻と私と佐之助は、十分楽しませてもらいましたよ。まだ本気でないにも関わらず、体にビリビリと強さが伝わってきました」
「戦争と聞いて、忍者の里と大和ノ国がどうなるのと思ってましたが、あなた方のような人が、大和ノ国側に付いたなら、すぐに決着が付きそう......これで、息子に被害が及ばずに済みそうです」
少年の両親は、忍者の里が負けると知っても全く無く取り乱すことはなかった。むしろ、大和ノ国が勝つことを望んでいるように見えた。
「何か色々とありそうですね。もしよければ聞かせてください」
アレクは、ここまで関わった以上、この家族の憂いを解消しようと尋ねた。
「ここまでしてもらった以上、お話します。ですが、お二人もお急ぎでしょう。霊根の場所までの道中にお話します」
「本当に、話が早くて助かりますよ。行きましょう」
父親が、霊根のある場所を指差しながら先を急ぐように言った。アレクは、霊根の守護を任されるだけあり、理解の早さに優秀だったのだろうと思った。
「坊主、俺の背中に乗れ」
「はい!お願いします」
子供にはついてこられないスピードになると考えたノックスは、背中におぶって運ぶことにした。佐之助は、文句も言わずに素直に従う。
そして、佐之助の両親が先頭に、アレクとノックスは後をついて行った。
「まずは、あのような高価なポーションをありがとうございました。体の不調がなくなり、以前の肉体に戻ったように感じます。何をお返しすればよいやら......」
父親が振り返り、栄養ドリンクのお礼をしてきた。かなり高価なポーションだと思っているようだが、アレクからすると無限に作り出せるので、どうしたものかと苦笑いを浮かべる。
「霊根の場所に案内してもらうのが目的ですからね。でも、納得行かないのであれば、俺達の国に来てください。この場所に、未練は無さそうでしたし」
「他国にですか!?ですが、敵対している持東親王様が許すでしょうか?それに、そちらの国へ簡単に移住できるとも思いませんが......」
常識と国同士のことに対してもしっかり理解している様子が窺える佐之助の父親を見て、アレクはより一層移住してもらいたいと考えた。
「言っていなかったですが、移住してもらいたいのは、俺が王をしている国です。持東親王とは懇意にしているし、今回の貸しもあるから、一家族くらいなら移住は許可してもらえると思いますよ。それに、協力者として罪にも問われないはずだからさ」
アレクが、王だとは知らなかった佐之助の両親は、急ブレーキをかけて止まり、目を丸くしたあと大声を上げで驚いた。
「他国の王様とは知らず、馴れ馴れしい態度を取ってしまい、大変失礼致しました。それに、王様があれほどの強者だとは思いませんでした。名のある使い手かと......」
佐之助の両親は、片膝を突いて頭を下げた。
そして、佐之助はというと、アレクを王と知って驚きはしたが、別のことを考えていた。
「気にしてないですよ。それに、失礼なことは何もしていませんから。う~ん。詳しくはあとで話しましょう。それより、先を急ぎながら、そちらの事情も教えてください」
「はい!畏まりました!慎重かつ迅速に案内致します」
佐之助の両親は、顔を見合わせて笑みを浮かべると、先程以上に周囲へ気を配り移動を開始した。
「ノックス様も、王様なのですか?」
ノックスと佐之助は、自己紹介を済ませており、先程から疑問に思っていることを尋ねた。
「俺は、王じゃないぞ。アレク坊の護衛できた感じだな。坊主は、なんで俺が王だと思ったんだ?」
「えっと、王様に対しての言葉遣いではなかったからです。ノックス様の方が立場が上に感じました」
佐之助は、アレクとノックスのやり取りを見ていると、多少気を使うことなく素直に答えても怒るような人たちではないと感じて、思ったまま話した。
「俺は、あいつの師匠だからな。だが、舐めてるわけではないぞ。アレク坊が、王でないなら下に付く気もないしな。それに、アレク坊を害するやつがいるなら俺が叩き潰す」
佐之助は、ノックスの言葉を聞いて、不思議な関係だなと思うと同時に、信頼関係の上で成り立っているのだと勝手に納得するのであった。
「師匠、これって剣の試しですよね?」
「あぁ、大剣との感覚の違いを試してるだけだな。にしても、軽過ぎる」
試しと言っているにも関わらず、ノックスは大剣を振るう以上の剣速でアレクを追い込んでいく。アレクは、ここまでの剣速で襲い掛かって来ると思っていなかったので、必死で防ぎながら後退りする。
「師匠が、その気なら俺もちょっと本気で行きますよ!身体強化」
アレクは、剣を弾いて逆にノックスを後退りさせる。だが、ノックスは持ち前のパワーで、すぐにつば迫り合いに持ち込んだ。
「くっ、アレク坊やるようになったな」
「身体強化を使って、やっと拮抗出来る感じですからね。まだまだですよ」
アレクとノックスは、つば迫り合いを一旦やめて後方に下がり離れる。
すると、家の方から大喝采の拍手が鳴り響いた。
「え!?見てたの?気付かなかったよ!」
アレクは、三人に見られていることに気付いておらず、驚きの声を上げる。
「いえいえ、妻と私と佐之助は、十分楽しませてもらいましたよ。まだ本気でないにも関わらず、体にビリビリと強さが伝わってきました」
「戦争と聞いて、忍者の里と大和ノ国がどうなるのと思ってましたが、あなた方のような人が、大和ノ国側に付いたなら、すぐに決着が付きそう......これで、息子に被害が及ばずに済みそうです」
少年の両親は、忍者の里が負けると知っても全く無く取り乱すことはなかった。むしろ、大和ノ国が勝つことを望んでいるように見えた。
「何か色々とありそうですね。もしよければ聞かせてください」
アレクは、ここまで関わった以上、この家族の憂いを解消しようと尋ねた。
「ここまでしてもらった以上、お話します。ですが、お二人もお急ぎでしょう。霊根の場所までの道中にお話します」
「本当に、話が早くて助かりますよ。行きましょう」
父親が、霊根のある場所を指差しながら先を急ぐように言った。アレクは、霊根の守護を任されるだけあり、理解の早さに優秀だったのだろうと思った。
「坊主、俺の背中に乗れ」
「はい!お願いします」
子供にはついてこられないスピードになると考えたノックスは、背中におぶって運ぶことにした。佐之助は、文句も言わずに素直に従う。
そして、佐之助の両親が先頭に、アレクとノックスは後をついて行った。
「まずは、あのような高価なポーションをありがとうございました。体の不調がなくなり、以前の肉体に戻ったように感じます。何をお返しすればよいやら......」
父親が振り返り、栄養ドリンクのお礼をしてきた。かなり高価なポーションだと思っているようだが、アレクからすると無限に作り出せるので、どうしたものかと苦笑いを浮かべる。
「霊根の場所に案内してもらうのが目的ですからね。でも、納得行かないのであれば、俺達の国に来てください。この場所に、未練は無さそうでしたし」
「他国にですか!?ですが、敵対している持東親王様が許すでしょうか?それに、そちらの国へ簡単に移住できるとも思いませんが......」
常識と国同士のことに対してもしっかり理解している様子が窺える佐之助の父親を見て、アレクはより一層移住してもらいたいと考えた。
「言っていなかったですが、移住してもらいたいのは、俺が王をしている国です。持東親王とは懇意にしているし、今回の貸しもあるから、一家族くらいなら移住は許可してもらえると思いますよ。それに、協力者として罪にも問われないはずだからさ」
アレクが、王だとは知らなかった佐之助の両親は、急ブレーキをかけて止まり、目を丸くしたあと大声を上げで驚いた。
「他国の王様とは知らず、馴れ馴れしい態度を取ってしまい、大変失礼致しました。それに、王様があれほどの強者だとは思いませんでした。名のある使い手かと......」
佐之助の両親は、片膝を突いて頭を下げた。
そして、佐之助はというと、アレクを王と知って驚きはしたが、別のことを考えていた。
「気にしてないですよ。それに、失礼なことは何もしていませんから。う~ん。詳しくはあとで話しましょう。それより、先を急ぎながら、そちらの事情も教えてください」
「はい!畏まりました!慎重かつ迅速に案内致します」
佐之助の両親は、顔を見合わせて笑みを浮かべると、先程以上に周囲へ気を配り移動を開始した。
「ノックス様も、王様なのですか?」
ノックスと佐之助は、自己紹介を済ませており、先程から疑問に思っていることを尋ねた。
「俺は、王じゃないぞ。アレク坊の護衛できた感じだな。坊主は、なんで俺が王だと思ったんだ?」
「えっと、王様に対しての言葉遣いではなかったからです。ノックス様の方が立場が上に感じました」
佐之助は、アレクとノックスのやり取りを見ていると、多少気を使うことなく素直に答えても怒るような人たちではないと感じて、思ったまま話した。
「俺は、あいつの師匠だからな。だが、舐めてるわけではないぞ。アレク坊が、王でないなら下に付く気もないしな。それに、アレク坊を害するやつがいるなら俺が叩き潰す」
佐之助は、ノックスの言葉を聞いて、不思議な関係だなと思うと同時に、信頼関係の上で成り立っているのだと勝手に納得するのであった。
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