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第3章 アレクを狙って

第815話 ジキタリスの無限の挑発!

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ジキタリスは、この戦場におちいて一番厄介な敵であろう人物の前に立っていた。

「意外な相手で、少し驚いている。てっきり、使徒の国のやつが来ると思っていたからな。まさか、魔ノ国の宰相ジキタリスとは」

「魔ノ国のことも私のことも知っているとは、恐ろしいですね。それに、まさか間者が国に入っているとは思っていませんでした。これは、早急に手を打たなければいけませんね」

忍者の里の長は、魔ノ国のこともジキタリスのことも知っていた。
ジキタリスは、驚きはしたものの顔には出さず淡々と答える。

「話には聞いていたが、流石切れ者の宰相だけある。一切動揺しないとはな。その気概に一つ良いことを教えてやる。魔ノ国に間者は、もういない。信じるか信じないかはジキタリス次第だがな」

「どこで私を知ったかは知りませんが、動揺させるのであれば、もっと詳しく調べてほしいものですね。フフッ、それから貴重な情報をありがとうございます。そろそろ殺り合いますか?」

ジキタリスは、心理戦にもならないような馬鹿馬鹿しい会話に飽き飽きし始め、戦いを申し出た。

「ならば、一瞬で終わらせてあげますよ」

長は、クナイを見えない早さで4本投げて、ジキタリスの頭と首と心臓と腹に刺さる。
だが、ジキタリスは痛がることも苦悶の表情すらも浮かばない。

「私は、分身が得意でして。申し訳ございません。調査済みだと思っていたのですが、知りませんでしたか?思っていたよりも、間者は無能なのですね」

「グギッ!お、俺を挑発しているつもりか?フンッ、そんな安い挑発に乗るやつがいると思う方が無能だな」

長が、意気揚々と捨て台詞を吐こうとした瞬間、ジキタリスが分身であることを知らされ、更に追い打ちをかけるように、挑発したことで、長は一瞬苛立ちを覚える。
しかし、苛立ちを隠すように鼻で笑って、今出来る最大の挑発を返した。

「え?私は、挑発だとは一言も言っておりませんよ。まさか、勝手に勘違いをしてお怒りになられたのですか?申し訳ございません。無能なもので貴方の考えに気付く事さえ出来ませんでした」

「このクソ野郎がぁぁぁぁ!雷遁:雷蝶乱舞」

ジキタリスは、おもしろくなったのか、挑発をやめるどころか、悪びれる様子もなく追い打ちをかける。
それに、耐えきれなくなった長は、忍術を発動して、稲妻を纏った蝶を大量に出す。そして、辺り一面に放ち、無差別に感電させて、どこにいるかもわからない本体を割り出そうとした。

「忍術でしたか?なかなか素晴らしい技のようですが、果たして本体まで辿り着けるでしょうか?」

ジキタリスの声が、遠くの木の陰から聞こえる。その声を見逃さなかった長は、すぐさま木の陰を睨み稲妻を纏った蝶を放つ。

「そこか!この数からは逃げられまい!観念して死ね」

稲妻を纏った蝶達が、木の陰に突進すると、何かに当たりバリバリと凄い音を立てる。その直後、人影が姿を現し前のめりに地面へと倒れた。

「フッハハハハ、あれだけ軽口を叩いていた癖に呆気ない結末だな」

「意気揚々と大笑いしているところ申し訳ないのですが、貴方が倒したのは分身です。それから、そろそろ薬が切れるので、どういうことか、その目で確認してください」

長は、ジキタリスの声が聞こえた瞬間、どういうことだと、辺りを見渡すと、先程までいなかった場所からまた一人また一人と何人ものジキタリスが現れた。

「ど、どういうことだ!確かに、俺は......雷遁:雷蝶乱舞」

長は、無数のジキタリスがいた場所に、雷蝶乱舞を放ったはずだと言おうとしたが、そんなことを考えている暇はないと、もう一度攻撃を放った。だが、稲妻を帯びた蝶達は、ジキタリスの体に当たるも、全てがすり抜けてしまう。
そして、長は気付いていないが、一人のジキタリスの足元には、1つのポーション瓶が転がっていた。





「アレク王、夜分遅くに申し訳ございません。取り入って頼みがあり参りました」

戦争が起こるであろう当日の深夜1時頃、パスクに連れられてジキタリスが、アレクの部屋に入ってきた。

「構わないよ。事前にパスクから聞いていたからね。それで、何の用かな?」

アレクは、大和ノ国が用意してくれた甚平のような物を着用して出迎えた。

「このような時間にお願いをすることではございませんが、私にある薬を複数製作してもらえませんか?」

ジキタリスは、今までアレクに対して、このようなお願いをしたことがないので、アレクはまさかのお願いに驚いた表情をするのだった。
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